コラム

東京の私大新入生の仕送り額、平均額は低水準でも住居費は増加。家賃は8割近く!?

SUUMOジャーナル

東京私大教連が公表した「2023年度 私立大学新入生の家計負担調査」によると、私大生への仕送りの額は低水準にとどまっている一方で、家賃などの住居費の負担は増えているという。入学にかかる費用も上がりつつあるというので、調査結果を詳しく見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「2023年度 私立大学新入生の家計負担調査」を公表/東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)

「受験から入学までの費用」は過去最高を更新

東京私大教連の調査の対象は、首都圏(1都3県)の私立大学・短期大学13校に2023年度に入学した新入生の家庭。受験から入学までの費用は、自宅通学者が162万3181円(前年度比で1万901円増額)、自宅外通学者が230万2181円(前年度比で4万6801円増額)となり、いずれも過去最高額となった。

特に自宅外通学者では、物価高による「生活用品費」の支出増が大きく、「家賃」や「敷金・礼金」の住居費も上昇している。一方、「受験費用」は1万1500円減額となり、受験校数を減らすなどで費用を抑えていることがうかがえる。

■受験から入学までの費用(住居別)

仕送りの平均月額は8万9300円、家賃の平均月額は6万9700円

自宅外通学の場合、「仕送り額」の平均月額は8万9300円。最近はおおむね横ばいで推移している。(5月は入学直後の新生活や教材の準備で費用がかさむため、6月以降の仕送り額で平均を算出している。)

ところが、「家賃」は上がり続けている。平均月額は6万9700円で、前年より2400円増え、過去最高となった。その結果、年々「仕送り額」と「家賃」の差が縮まり、仕送り額から生活費に充てられる金額が減少する形となっている。平均月額の差額は1万9600円なので、30日で割ると約653円となり、おおむね1日653円で生活することになる。なかなか厳しい状況だ。

■「6月以降の仕送り額(月平均)と「毎月の家賃」の推移 ~月平均の仕送り額は8万9300円

さらに、仕送り額の平均月額に占める家賃の平均月額の割合を見ると、実に78.1%を占め、過去最高の比率になった。

■「6月以降の仕送り額(月平均)に占める「家賃の割合」の推移 ~仕送り額に占める家賃の割合は8割に迫る

筆者はこのコーナーで、2016年にも同じ調査結果を取り上げた(「首都圏の私大生の平均家賃は6万1200円、どんな物件がある?」)が、2015年度の調査結果(70.6%)について書いていたので、「仕送り額に占める割合は初めて7割を超えることとなった。」としている。それからさらに上昇して、2023年度には8割近くにまで達しているのだ。

では、家賃の平均月額6万9700円で東京の賃貸を探すことを考えてみよう。SUUMOで東京都の家賃相場情報を見てみる(2024年4月10日更新情報)と、ワンルームなら23区内でも家賃相場が7万円を切る区があることがわかった。中野区、杉並区、北区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区だ。このほかの区でも、築年数が古かったり駅から距離があったりする物件なら、7万円を切る家賃のものが見つかるかもしれない。1K/1DKの広さで家賃相場が7万円を切るとなると、23区にはなかったが、立川市、武蔵野市、三鷹市、調布市を除いた東京都下の地域が該当した。

都心部から少し離れれば、希望の家賃や広さの賃貸が探せる状況ではあるようだ。ただし、セキュリティーがしっかりしているとか、宅配ボックスが欲しいなどの条件をつけていくと家賃は上がっていく。物件探しには、優先順位をしっかりつける必要があるだろう。

●関連サイト
東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)「2023年度 私立大学新入生の家計負担調査」

(山本 久美子)

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