初Vからの2週連続優勝は史上4人目の快挙 (時事通信フォト)
振り切ることでボールをコントロール
竹田の武器といえるのが、ドライバーの飛距離だ。2023年のドライビングディスタンスは258.91ヤードで2位。飛ばし屋の勲章ともいえるイーグル数9も2位で、パー5の平均スコアではツアー史上最少となる4.6300を記録している。
「ダイヤモンド世代」には“飛ばし屋”が揃っている。竹田が2位だった2023年のドライビングディスタンスで、1位を獲得したのは神谷そら(260.82ヤード)、3位は櫻井心那(258.59ヤード)だった。飛ばし屋ベスト3がいずれも「ダイヤモンド世代」なのだ。プロゴルファーの沼沢聖一氏が解説する。
「新しいギアを使いこなしている。あとボールを打つだけでなく、筋トレで足腰や腕力を総合的に鍛えている世代といえます。強い体幹を活かし、体のターンを使って振り切っているのが特徴です。これまでは置きにいくプロが多かったが、この世代は振り切ることで左へのミスを減らしながら安全に遠くへ飛ばそうとしている」
ただし、ゴルフは飛ばせばいいというわけではない。飛ばし屋は基本的にフェアウエーキープ率が低く、逆に飛距離が小さいほうがフェアウエーキープ率は高くなる。
「飛ばし屋はより短い番手を持つことができるが、ラフに捕まればランが計算できずピンを狙うのが難しくなってしまう。一方、飛ばなければフェアウエーのいいポジションから2打目が打てるわけです。実際、フェアウエーキープ率が高いプロがコンスタントに成績を残してきています。山下美夢有(22)はフェアウエーキープ率が79.0841で1位。ドライビングディスタンスは238.26ヤードで53位ですが、2022年、2023年と2年連続で年間女王に輝いている」(前出のゴルフ担当記者)
ベストはフェアウエーキープが高く、かつ飛距離が出ること。誰もがそう思いながらもなかなか実現できないわけだが、竹田はその部分のバランスが理想的なのだという。
「LPGAが公表しているツアー記録にトータルドライビング(ドライビングディスタンス順位とフェアウエーキープ率順位を合算した値)がある。この順位が上位のプロほどバランスがとれているということになり、2023年の1位は稲見萌寧(24)、3位が原英莉花(25)、年間女王の山下美夢有も5位タイと、安定した成績を残すプロが名を連ねています。そうした面々に続いて、竹田は8位に入っている。『ダイヤモンド世代』の飛ばし屋3人を見ても、櫻井は23位、神谷は38位と、竹田が一番上でした」(同前)
前出の沼沢氏も「飛ばし屋の竹田が国内屈指の難コースである川奈で勝った意味は大きい」と指摘する。“飛んで曲がらないプロ”の道を進もうとしている竹田麗央から目が離せない。