芸能

高田文夫氏が感嘆 1か月舞台に立つ87歳の喜劇王・伊東四朗とCMソング5000曲の名作曲家キダ・タローさん

現在の「東京喜劇王」伊東四朗と、「浪花のモーツァルト」キダ・タロー(イラスト/佐野文二郎)

現在の「東京喜劇王」伊東四朗と、「浪花のモーツァルト」キダ・タロー(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、現在の「東京喜劇王」伊東四朗と、「浪花のモーツァルト」キダ・タローについて綴る。

 * * *
 中年層にも少し希望を与える漫才の『THE SECOND』。出てくる連中はみな40前後。がっついてないから見やすくていい。『M-1』もいいけど短い時間でピリつきながら闘っているから見てて息苦しい。その点キャリア20年なんて連中は落ち着いてて全員が面白かった。

 あまりテレビの中に「芸」は求めないのだが、どの組も磨きあげた「芸」と「実績」があったのにびっくり。「ガクテンソク」の優勝は文句なしだが、敗れた「ザ・パンチ」が久し振りすぎて大笑いしてしまった。16年ぶりに聞いて嬉しかった「砂漠でラクダに逃げられて~ッ」。あれが流行った頃(流行ったのか?)面白くて何回も私のラジオに来てもらった。たしかパンチ浜崎じゃなくてノーパンチ松尾の方が神楽坂近くの呉服屋の息子で、近いので私も何回かここで着物を仕立てたことがある。どこか親しみがわく。君らの人生も「お願いセカンドで優勝に逃げられて~ッ」

「芸」といえば現在の東京喜劇王・伊東四朗(もうすぐ87歳)。久しぶりにスタジオでお会いしたがさすが現役、きっとタフマンが効くのだろう。6月2日から三宅裕司の「熱海五郎一座」でなんと1か月近く「新橋演舞場」の舞台に立つ。東京の“笑芸”ファンの間では今その話題でもちきりである。

 そんな折も折、まだ44歳という若さでとことん伊東四朗のことを調べあげちゃった男がいる。笹山敬輔なる人物で以前にも『昭和芸人七人の最期』『ドリフターズとその時代』など入魂の書を出している。で、今回は『笑いの正解 東京喜劇と伊東四朗』(文藝春秋)。何回か当人に取材のインタビューはしたらしく「高田さんの前だけどネ、いやぁ~アタシよりアタシのことが詳しいんだ」とおどろきのニンッであった。若い人が古い人の話をきいておくというのが大切なことなのだ。

「浪花のモーツァルト」であり『探偵!ナイトスクープ』の最高顧問だったキダ・タローが死去した。誰からも愛されるあの人柄がほほえましかった。「アホの坂田」やらCM「かに道楽」「日清出前一丁」など5000曲を量産。その中に歌謡曲のヒットソングもあって古い人は分かるだろう北原謙二の『ふるさとの話をしよう』。甘ずっぱい、いい曲。立川談志がこの曲が大好きで、新年会などで皆なが集まるとこれを一同で合唱した。噂をききつけ翌年、北原謙二が宴席にやって来たことがある。

※週刊ポスト2024年6月7・14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン