カラスよけのネットをかき分け、ゴミを漁るカラス。(写真/PIXTA)

カラスよけのネットをかき分け、ゴミを漁るカラス。(写真/PIXTA)

CDや警戒音、ペットボトルの水は効果なし

 活発化するカラスの被害は、人間への直接的な攻撃だけではない。松原さんは、カラスによる「ゴミ問題」についても指摘する。

「カラスを観察していると、巣に産み落とされた卵のうち、巣立ちまで成長できるのは半分程度。『都会のカラスは生ゴミをたらふく食べている』というイメージを持っている人も多いですが、実際は慢性的に栄養不足です。厳しい競争を勝ち抜いてエサに辿り着くため、カラスも死に物狂いでゴミを漁っているのです」

 しかし、生ゴミの散乱は衛生上避けたい。中村さんは「ゴミを“見えない状態”にするのがいちばん」と話す。

「カラスは目で見てゴミを探すので、蓋付きのゴミ箱で『見ることもできない、開けようもない』状態にするのが大事です。蓋付きゴミ箱の設置が難しいところでは、丈夫なブルーシートで覆い隠して重しをしっかり置き、カラスがめくって荒らすことを防ぎましょう」

 生ゴミに加え、田畑や家庭菜園を荒らされる被害も後を絶たない。松原さんによると、カラスにとって家庭菜園は「魅力的なビュッフェ会場」なのだという。

「実はカラスはフルーツが大好きで、特に柿やびわが好物です。大切に育てた作物を守るためにはまず、防鳥ネットを張ること。もう1つは、透明な細い糸である『テグス』を使う方法もあります。

 カラスは羽を広げると約1mの大きさになるため、菜園全体にテグスを1m程度の隙間で張り巡らすと、羽が触れる可能性を嫌がってカラスは近づかなくなるといわれています。その際、地面から15cmほどの高さにテグスを張ると被害が最も少なくなるという研究結果もあります」(松原さん・以下同)

 市街地では難しいが、カラスの「死体」を吊るすことでも一定の効果がある。「畑ばかりの郊外であれば、猟師さんにカラスたちの目の前で一羽撃ってもらいます。その死体を吊るせば、カラスたちはそれを見るたびに仲間が撃たれて死んだ場面を思い出すため、長く効果が続きます。この場合は、銃のおもちゃを見せることでも同様の効果が出ます」

 一方、カラス用の警戒音を流す、CDをぶら下げる、ペットボトルに水を入れて置いておくなどの一般的に知られた対策は、その場しのぎにしかならないそう。

「カラスにとって実害がないものは、慣れてしまうので一時的な効果しかありません。カラスは警戒心が強いと同時に、見慣れないものが置いてあっても諦めずに観察し、害があるか見極めます。さらに記憶力もよい。創意工夫が必要です」

 一説には、小学校低学年程度の知能を持っているともいわれるカラス。人間側も絶えず知恵を絞って対抗していくしかないようだ。

※女性セブン2024年7月25日号

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