社会人野球を引退後は、審判員として高校・大学野球のグラウンドに立ち続けた内海清氏(筆者撮影)

社会人野球を引退した後は、審判員として高校・大学野球のグラウンドに立ち続けた内海清氏(筆者撮影)

「高校野球は競技スポーツであると同時に、教育の場なんです。高校野球の審判員は判定をするだけでなく、高校球児が高校生らしくスポーツマンシップに則ってプレーしているかどうかを監督する役割もあるのです」

 大学野球の監督には審判への抗議が認められているが、高校野球では抗議するために監督がベンチから出ることができない。

「教育の現場ですから、大人(監督)がでしゃばるのではなく、子供たち(選手)に任せるという考え方です。監督がキャプテンに抗議意図を説明し、キャプテンがそれを理解したうえで、自分の言葉で審判員に質問する。そして審判員が判定の見解をキャプテンに伝え、それをベンチに戻って監督に説明する。その伝達ができるかどうかが問われるのも、高校野球らしさだと思います」

 高野連のホームページに掲載されている「高校野球みんなの手引き」では、審判について〈単にアウト・セーフ、ボール・ストライクの判定をするだけではありません。正確なジャッジと、選手を励ましつつ適正な行動を促して、きびきびとした清々しい試合運びを高校生とともに作り出すことを心がけています。控え選手が代打や代走で出場してきた時も、適宜間をとって、スコアボードに選手名が表示されるよう配慮する場合もあります〉とある。また、各都道府県高野連の審判員募集要項には〈高校野球も審判員は選手の教育的指導が重要な役割です。ですから、審判員としては常識ある社会人であることが絶対条件となります〉と記されている。

第2回に続く

※『審判はつらいよ』(小学館新書)より一部抜粋・再構成

【プロフィール】
鵜飼克郎(うかい・よしろう)/1957年、兵庫県生まれ。『週刊ポスト』記者として、スポーツ、社会問題を中心に幅広く取材活動を重ね、特に野球界、角界の深奥に斬り込んだ数々のスクープで話題を集めた。主な著書に金田正一、長嶋茂雄、王貞治ら名選手 人のインタビュー集『巨人V9 50年目の真実』(小学館)、『貴の乱』、『貴乃花「角界追放劇」の全真相』(いずれも宝島社、共著)などがある。高校野球の審判員のほか、柔道、飛び込みといった五輪種目を含む8競技のベテラン審判員の証言を集めた新刊『審判はつらいよ』(小学館新書)が好評発売中。

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