菅野智之がメジャーでなぜ打たれないのか(写真=Imagn/ロイター/アフロ)
佐々木朗希や今永昇太など日本人投手の不調が続くなか、35歳でメジャー初挑戦の“オールド・ルーキー”菅野智之が圧巻の投球を披露し、下馬評を覆している。メジャー平均球速よりも遅い菅野が「打たれない理由」について、ノンフィクションライター・柳川悠二氏が迫る。
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ボルチモア・オリオールズ移籍1年目の菅野智之が、ア・リーグ東地区の断トツ最下位に沈むチームで孤軍奮闘の活躍だ。アトランタ・ブレーブスにも在籍した元中日ドラゴンズの川上憲伸氏が好調の要因を解説する。
「菅野君はもともとスライダーピッチャーでしたが、巨人でMVPを獲得した昨年途中から、スプリットを主体とする投球にスタイルチェンジしました。それにより拍車がかかっている印象です。米国の球場は日本と違って、各球場間でマウンドの固さや傾斜が一定しているのを鑑みて、横の変化球より縦の変化球のほうが有効だと判断したのでしょう」
加えて打者に的を絞らせない緻密な投球術が白星につながっていると指摘する。
「大きな強みは、同じ球種でも球速や曲がり幅にアレンジを加えられることです。菅野君のスプリットは、真下方向、シンカー方向(投手側から見て斜め右下)、斜め左下方向の3種類があり、打者の反応を見ながら投げ分けられています」