1997年の第70回選抜大会前、甲子園で開かれた審判員の講習会(産経新聞社)
日本高等学校野球連盟(高野連)にもアマチュア野球規則委員会の公認審判員ライセンス制度を導入する動きはあるが、現時点ではライセンス取得は義務付けられていない。
高校野球の審判員になるには、まず各都道府県の高校野球連盟に登録する(地域によって細かい違いがある)。公募されることもあるが、基本的に連盟理事や野球部部長の推薦が必要となる。
登録された審判員は、各都道府県の高野連が主催する審判講習会で基本動作やルールを習得し、練習試合で経験を積んでいく。都道府県大会で公式戦デビューとなるが、塁審を任されるまでには登録から1年、球審は2〜3年かかるのが一般的だ。
同じアマチュア野球の審判であっても、高校野球と大学野球では異なる面があるという。
「大学野球は審判員が少ないこともあり、ライセンス制度導入前から審判の技術に寛容さがあると感じます。一方、高校野球は毎週のように勉強会が行なわれ、ミニテストもある。成績が悪いと“もっとルールブックを読んできなさい”と叱られます。特に甲子園球場がある兵庫県はレベルが高く、甲子園で松坂大輔がノーヒットノーランを達成した決勝戦(1998年夏)で球審を務めた岡本良一さんのような先輩方から鍛えられました」
そうした環境で切磋琢磨し、内海は兵庫県高野連審判部の幹事長にまでなった。
正確な判定に加えて「教育的指導者」の役割も
高校野球の審判には他のカテゴリーとは異なる「役割」もある。日本高野連が発行する『高校野球審判の手引き』には、高校野球審判員の要件として〈優秀な審判技術の持ち主であると同時に、高校野球らしさを正しく教える指導者でなければなりません〉と記されている。