スポーツ

【パリ五輪はどうなる?】柔道国際大会への「ジュリー制度」「ビデオ判定」の導入でなくなる“誤審の涙” 柔道界の鉄人は「審判員の威厳低下」を懸念

男女合わせて14名の代表選手がパリでの戦いに挑む(全日本柔道連盟ホームページより)

男女合わせて14名の代表選手がパリでの戦いに挑む(全日本柔道連盟ホームページより)

 パリ五輪の大会初日(日本時間27日)から8月3日まで、連日予選と決勝が行なわれる柔道。柔道の試合では主審1名、副審2名が判定を行なうが、ビデオ判定の導入以来、(ビデオチェックの主体となる)「ジュリー」と呼ばれる「審判員の監督者」の存在が大きくなっている。その問題点について、柔道の国際大会で主審を務めてきた「柔道界の鉄人」正木照夫氏に、『審判はつらいよ』の著者・鵜飼克郎氏が聞いた。(文中敬称略)

 * * *
 柔道の判定には難しさが伴う。「先に倒れたほうが負け」というものではなく、その倒れ方次第でも“一本”“技あり”などに判定が分かれる。その判断は長く審判員に委ねられてきた。

 だが、そんな柔道でも他のスポーツ同様に「ビデオ判定」の導入が進んでいる。きっかけは、2000年シドニー五輪100キロ超級の決勝戦で篠原信一が銀メダルに泣いた「世紀の誤審」だった。

 全日本柔道連盟はシドニー五輪の3か月後(2000年12月)に行なわれた福岡国際女子柔道選手権でビデオ判定を試験的に導入。当初は導入に否定的だったIJF(国際柔道連盟)も2007年から採用した。

2000年の福岡国際女子柔道で試験導入されたビデオ判定(時事通信フォト)

2000年シドニー五輪「世紀の誤審」をきっかけに、同年12月、福岡国際女子柔道で試験導入されたビデオ判定(時事通信フォト)

 柔道のビデオ判定には「ジュリー」と呼ばれる審判委員が大きく関わる。ジュリー自体は1994年から制度化されていたものの、「審判員の監督者」としての役割は曖昧で、原則的には「判定への介入はしない」という立場だった。

 だが、ビデオ判定の導入によってジュリーの“権限”が増していく。導入以来、ジュリー制度による判定はたびたび騒動が起き、そのたびに運用も変更されているので本稿では詳細を略すが、要は「(ビデオチェックの主体となる)ジュリーの判断で試合が左右される」というケースが急増したのである。

 あくまでジュリーは「審判員の監督者」であって、「審判」ではない。だが、ビデオを確認し、無線機で主審に「今の判定は違う」と介入できるため、事実上の“上級主審”という性格を帯びてくる。その結果、主審や副審が判定のたびにジュリーの顔色を窺うようなことが起きるという。

関連記事

トピックス

モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン