自民党役員会に臨む(左から)茂木敏充幹事長、岸田文雄首相、麻生太郎副総裁。7月23日(時事通信フォト)

自民党役員会に臨む(左から)茂木敏充幹事長、岸田文雄首相、麻生太郎副総裁。7月23日(時事通信フォト)

 組織行動学者のジェフリー・フェファーは『権力を握る人の法則』(日本経済新聞出版社)で「権力は心理的にも肉体的にも中毒になる」と書いている。一度手にすると、それを手放すのは難しいのだ。バイデン氏の場合、それに加えて高齢からくる衰えという事実を受け入れ、認めるのが不快で、無意識に無視してしまう「否認」が働いたのかもしれない。

 永田町界隈には不祥事や問題を起こし批判され非難されようとも、利己的に政治家という地位を頑なに守ろうとする者もいる。老害と言われようと、政治家として築き上げた権力にしがみついている者が何人もいる。権力は中毒になる。ましてそれが一国のトップで、次も己がと熱望していれば、その座を諦めるという決断への苦悩はいかほどのものだろう。

 だが岸田首相にその心配は必要なさそうだ。首相に就任直後、「人の話をよく聞く」のが特技と語っていたが、その真骨頂は「究極の鈍感力」だからだ。

 首相の鈍感力には定評がある。これまでも様々なメディアや数多くの識者やジャーナリストらが、その力を評価してきた。2024年4月25日の産経新聞オンライン版に掲載された「究極の鈍感…岸田首相は非凡か平凡か」というコラムでは、文芸評論家の小川栄太郎氏が『Will』で岸田首相の資質を一種強烈な鈍さ表し、「愚直なまでに自分のペースを崩さない。吹き荒れる悪罵や世論調査の数値に全く関係なく仕事に集中できる」と指摘したと紹介している。内閣官房にいる知人も「いい意味でも悪い意味でもあの鈍感さは普通ではない」と語っていた。鈍感ゆえに事実を否認する必要がないのも特技かもしれない。

 次の総裁候補にこれ!という人材がいない自民党。世間で次にと名前の挙がるような者は有識者には人気がない。7月23日のNEWSポストセブン『有識者が選ぶ「ポスト岸田に選んではいけない政治家ランキング」1位に小泉進次郎氏「弁舌はさわやかだが中身がない」「大混乱を招いた鳩山由紀夫氏に匹敵」の評も』に詳しいが、諸手を上げて総裁選へと担げる人材がいないのだ。

 このままでは次期衆院選に勝てないとの見方が大半の自民党。バイデン氏では無理だと語ったオバマ前大統領のように、その役目を果たすのは首相経験者か自民党の重鎮か。誰が岸田首相の首に鈴をつけるのか。

バイデン氏の米大統領選撤退について報じる新聞の号外(時事通信フォト)

バイデン氏の米大統領選撤退について報じる新聞の号外(時事通信フォト)

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン