(時事通信フォト)

2014年の5月場所で、控え力士の白鵬が物言いをつける珍しい場面(時事通信フォト)

「行司は“どちらが先に土俵に倒れたか”“どちらの足が先に土俵から出たか”を見ますが、“勝負中に髷を摑んだかどうか”の判定はしません。基本的には勝負審判が指摘して、ビデオ判定で反則負けかどうかを判断する。反則負けは行司の差し違えではありません」

 この取組でも判定の決め手となったビデオ判定だが、実は日本のメジャースポーツで最初に映像判定を取り入れたのは大相撲である。

 きっかけは1969年3月場所2日目、大鵬対戸田の取組だった。立行司・式守伊之助(第22代)は大鵬に軍配を上げたが、物言いで判定が覆り、大鵬の連勝記録は45でストップしてしまった。ところが翌日の新聞に掲載された写真で戸田の足が先に出ていたことがわかると、相撲協会には抗議の電話が殺到した。この“誤審”を受けて、翌5月場所からビデオ判定が導入されたのだ。

“送り足”がビデオ判定で“勇み足”と判断されるケースも

 畠山は「木村三治郎」を名乗っていた時期で、この歴史的な一番を土俵下の控えで見ていた。それから40年以上も映像に“監視”されてきた畠山は、ビデオ判定をどう考えていたのだろう。

「導入してから、物言いの協議はビデオ頼りになった。コマ送りできるので、どちらの体が先に落ちたかは判別しやすい。その結果、“同体取り直し”は減ったように思います。

 とはいえ、相撲の勝敗には“死に体”や“生き体”、“かばい手”や“かばい足”という判断もあるから、単にどちらが先に落ちた(出た)だけでは決められない。相手をつり出した力士の足が先に土俵から出るのは本来、“送り足”で負けにならないのに、ビデオ判定に頼るあまり“勇み足”と判断されるケースがあったりする。利点は多いけれど、もう少し人間の目を信じてもいいかもしれないね」

行司に「威厳」「権限」は必要か

 中学卒業から半世紀にわたる行司人生を過ごした畠山は、引退してから他のスポーツ中継を観る機会が増えたのかもしれない。取材中、プロ野球の話題が出たことがある。

 2022年のプロ野球で、「審判」に注目が集まった試合があった。日本人最速165㎞を誇る令和の怪物・佐々木朗希と、白井一行球審の“一触即発騒動”だ。

 4月24日のオリックス対ロッテ(京セラドーム大阪)。佐々木は前々回の登板(4月10日)で完全試合を達成、前回登板(同17日)も8回まで完全試合のまま降板という圧巻の投球を見せたばかりだった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「王子と寝ろ」突然のバス事故で“余命4日”ののち命を絶った女性…告発していた“エプスタイン事件”【11歳を含む未成年者250名以上が被害に】
NEWSポストセブン
人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
ナンバープレートを折り曲げ集団走行する「旧車會」=[福岡県警提供](時事通信フォト)
《各地で増える”暴走”》駐車場を勝手に旧車會の集合場所とされた飲食店主「100台以上も…他のお客さんが入って来られん」と怒り
NEWSポストセブン
世界中を旅するロリィタモデルの夕霧わかなさん。身長は133センチ
「毎朝起きると服が血まみれに…」身長133センチのロリィタモデル・夕霧わかな(25)が明かした“アトピーの苦悩”、「両親は可哀想と写真を残していない」オシャレを諦めた過去
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
エライザちゃんと両親。Facebookには「どうか、みんな、ベイビーを強く抱きしめ、側から離れないでくれ。この悲しみは耐えられない」と綴っている(SNSより)
「この悲しみは耐えられない」生後7か月の赤ちゃんを愛犬・ピットブルが咬殺 議論を呼ぶ“スイッチが入ると相手が死ぬまで離さない”危険性【米国で悲劇、国内の規制は?】
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン