松原が撮影した制服を着せられた木
後で聞いた話によると、この場所は自殺の名所なのだという。
「行きにはなかったものが帰りにあった、という経験は度々しているのですが、この“制服の木”同様、忘れられないのは宮城県仙台市の葛岡墓園でのことです。墓園の中心にある給水塔を反時計回りに3周すると、女性の幽霊がついてきて、心霊現象が起こると聞いて行きました。
ぼくはこの給水塔を反時計回りに13周もしたのですが、何も起こらない。この日はあきらめて墓園を離れ、帰りに、これまた心霊スポットとして知られる太白山トンネルに寄ったんです。ここは、死亡事故が多発した場所。せっかくだからトンネルに入って反対側の出口まで歩き、Uターンして入り口に戻りました。すると、入り口付近にある退避場所に長い髪の毛の束が落ちていたのです。“こんなもの、あったっけ?”と同行者と顔を見合わせましたが、誰もが首を横に振る。トンネルに入るときはなかった髪の毛……。もしかしたら、葛岡墓園から“何か”を連れてきたのかもしれないと思いました」
後日、この話を仙台出身の知人にしたところ、次の告白をしてくれたという。
「私も高校生の頃、友達と葛岡墓園に行ったんです。夕暮れどきに肝試しでね。そうしたら、塔の前に女性が立っていて、塔に向かって手を振っていた。友達が“何をしているんですか?”と彼女に話しかけると、急にこちらを振り返って、ニコッと笑ったんです。なんだかゾッとして急いで逃げてきましたが、彼女は何をしていたのかな」
いずれも見間違いかもしれない。霊の所業かわからない。というより、人が何らかの理由でやっているのかもしれない。しかし──。