自分のセクシュアリティについて父親には伝えていない
しかし、カズトのなかにはカミングアウトに対し、ある考えがあるという。
「カミングアウトをすることがゴールではないと思っています。楽になるのは僕だけで、それを告白された人にとっては、共に悩みや運命を共有することになってしまいますからね。それが親となれば、子供の未来や、取り巻く社会問題について、考えずにはいられなくなってしまうと思います。なので、カミングアウトだけが正解ではないというのが僕の考えなんです。
今回はそのタイミングなのかなと思って、覚悟したわけですが、今ではないということなんだと思います。これからこういう風にインタビューやテレビに出ることもあると思うのですが、そういうことを積み重ねていくことによって、今よりもっと自信をもって父親に話せるタイミングがきっとくるはず。その時まで待とうと思います」
そんなカズトが次の目標として掲げるのは、来年自身の店を開くということだ。
「来年あたりに自分の飲食店をオープンしようかと構想しています。実は6年前から練っていたことで、ようやく実現しそうという感じです。食材のおいしさを引き出せるようなメニューをつくりたい。実家が農業をやっていることもあるので、農家さんとのつながりを大事にした食材を提供したいですね。
あとは、まだ構想中ですが(ファンの)皆さんと交流できる場もつくりたいと考えています。これはまだアイディア段階ですが……」
そう話すカズトの表情からは、大きな自信が感じられた。
撮影/平野哲郎
(了。前編を読む)