抗日の英雄について語り合うやり取りも
1937年の南京事件について同教科書にはこうある。
〈日本の侵略者が向かう先では必ず焼く、殺す、姦淫する、略奪するという行為が行なわれ、悪の限りを尽くした。日本軍は南京を占領すると、南京人民に対し血生臭い大虐殺を行なった。この罪の大きさは天まで届くほどである〉
さらに小学校5年生が学ぶ『道徳と法治』には、「家庭を大切に」「公共の秩序を守りましょう」という一般の道徳観念と共に、以下の記述がある。
〈九一八事変と南京大虐殺は、ひとりひとりの中国人の心の中に最大の屈辱として記憶されています。それは民族の苦難であり、国家の災難です〉
これらの記述を確認した西谷氏が語る。
「日本の歴史教科書は淡々と事実を羅列するが、中国の教科書は日本を明確に『敵』と形容する場合もあり、情緒的な表現が目立ちます。また、自国礼賛と国威発揚も多く、愛国心と反日感情が密接に結びついています」
※週刊ポスト2024年10月11日号