芸能

誰からも愛された西田敏行さん 大御所然としたところはなく誰に対しても物腰柔らか「ご近所さんから講演を頼まれてもふたつ返事でOK」 

10月17日、東京・世田谷区の自宅で亡くなった西田敏行さん

10月17日、東京・世田谷区の自宅で亡くなった西田敏行さん

 俳優の西田敏行さんが10月17日、天国へと旅立った。76才だった。「ハマちゃん」「猪八戒」「玄太」あるいは「局長」──いまから54年前に初舞台を踏んだその日から、多くの人の心にそれぞれの「西田敏行さん」のイメージが刻まれてきた。そんな西田さんの功績は、芸能史に燦然と輝くものだ。 

 福島県出身の西田さんは1963年、中学卒業後に上京。その後、日本演技アカデミー夜間部に入学して本格的に演技の道を志すと、早くも1967年に『渥美清の泣いてたまるか』(TBS系)でドラマデビューした。 

 1978年の『西遊記』(日本テレビ系)の猪八戒が当たり役になり、一躍人気俳優に。特にNHK大河ドラマにはこれまで12作に出演し、『翔ぶが如く』(1990年)、『八代将軍吉宗』(1995年)など3作で主演を務めた。 

 1988年には映画『釣りバカ日誌』の第1作が公開。三國連太郎さん(享年90)とのタッグは特別編を入れると22作も制作される国民的シリーズになった。その間、歌手としても活動し、『もしもピアノが弾けたなら』が大ヒットしNHK紅白歌合戦に出場したこともある。 

「西田さんは現場の雰囲気をとにかく大事にしたい人。ピリピリとした空気を嫌い、緊張している共演者には積極的に話しかけていました。 

 面倒見のよさは役者相手にとどまらず、長らく局長(MC)を務めた『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)では、共演する芸人たちを収録後によく飲みに連れて行っていました。芸人たちは最初、“あんな大物の俳優さんが局長になるなんて”とかなり緊張していましたが、そんなものはすぐに吹き飛んだ。MCを降板してからも、芸人たちは親しみを込めて西田さんのことを『局長』と呼び続けていました」(テレビ局関係者) 

 それでいて、大御所然としたところはなく、柔らかい物腰は誰に対しても変わらなかった。西田さんの自宅の近隣住民が明かす。 

「うちの娘と西田さんのお嬢さんが同じ小学校だったよしみで、小学校での講演をお願いしたことがあったんです。いま思えば事務所を通さないといけなかったのでしょうが、当時、映画『植村直己物語』(1986年公開)の撮影が終わったばかりで、真っ黒に日焼けしていた西田さんは、ふたつ返事でOKしてくれて。芸能人のかたって、気難しそうっていう先入観があったんですが、西田さんは微塵もそんなことはありませんでした」 

 何事にも真摯な姿勢は、演技にも向けられた。西田さんの伝家の宝刀は、突然見せる「アドリブ」だった。 

「時には共演者を混乱させるほどのアドリブを披露しました。ただ、西田さんのアドリブは決して思い付きでやっているわけではなく、計算し尽くされたもの。それを共演者たちはわかっていたから、どんなに大変な思いをしても西田さんのアドリブに食らいついていったんです」(映画関係者) 

 そのひたむきさが、西田さんをコメディーからシリアスまで幅広く演じられる、唯一無二の名優にしたのだ。 

女性セブン2024117日号 

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト