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《高田馬場から葉山まで歩き続けたことも》追悼・楳図かずおさん 愛弟子・高橋のぼる氏が明かすアイデアの源「シャーロック・ホームズ歩き」

漫画家の高橋のぼる氏が楳図さんとの思い出を振り返る(時事通信フォト)

漫画家の高橋のぼる氏が楳図さんとの思い出を振り返る(時事通信フォト)

 漫画家・芸術家の楳図かずおさんが10月28日に88歳で亡くなった。楳図さんといえば、『漂流教室』『まことちゃん』『わたしは真悟』『14歳』などの代表作で知られ、ギャグからホラー、SFなど幅広いジャンルの作品で愛された。10月2日には、新作となる「連作絵画」を制作中であると発表したばかりだった。

 そんな楳図さんのアシスタントを務め、漫画のすべてを教わったと語るのが、『土竜の唄』などで知られる漫画家の高橋のぼる氏(60)だ。

「僕は実家のあった千葉県野田市から、当時楳図先生の仕事場があった高田馬場(東京・新宿区)まで1時間半くらいかけて通っていました。先生は毎朝10時、わざわざ僕が来る時間に合わせて仕事場に来てくれて。その時のアシスタントは僕だけで、遠近感を出す技法やタッチなどを勉強させてくれました。

 僕が『ペン入れ、横でじっと見てていいですか』って言うと、面倒そうな顔一つせず『いいよ』って言って、ペン入れを始めるんです。アシスタントを辞める時、『また遊びに来ていいですか』と僕が言ったら、『漫画家になってからね』と言われました。その後、無事初めての連載を獲得した時に先生と再会。ワインで乾杯してイタリアンレストランでコース料理を奢ってもらいました」

散歩しながらネームの内容を練る

 こうして楳図さんから漫画のイロハを教わり、漫画家としても成功を収めた高橋氏は、楳図さんの“アイデアの源”をこう振り返る。

「楳図先生は、散歩しながら漫画の設計図にあたる“ネーム”の内容を練り、浮かんだアイデアを書き留めていたんです。肩掛けのバッグをいつも持っていて、そこにノートと鉛筆を入れてとにかく歩いていました。

『高橋君、シャーロック・ホームズは推理をする時、大きな部屋のなかをずっと歩いてるでしょ? 歩きながらしかいい思考は巡らないよ』と言われ、よく一緒に歩いたもんです。『お昼を食べるレストランまでに考えよう』『あの喫茶店までに思いつこう』って。

 歩いて歩いて足の裏から血流を動かし続け、頭を回転させることで、新しいアイデアを思いついたり話がまとまったりするんだよ、とよくおっしゃっていました」

 そうした創作のための行動は、たびたび行き過ぎた結果を招いていたようだ。高橋氏は言う。

「仕事場のある高田馬場から平気で何時間も歩いて、神奈川県の葉山まで歩いて行っちゃったこともありました。大の花好きで、『お花を買ってくる』と散歩に出かけたはいいものの、花も持たずにボロボロの格好で帰ってきたこともあって……。道中、どんなことがあったのか心配になりましたね」

 その思索の歩みが、数々の傑作を生んだのだろう。

※週刊ポスト2024年11月22日号

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