国内

着信表示に実在の警察署番号が出る特殊詐欺が急増 今後危惧されるAIを活用した巧妙な「なりすまし」の出現

電話番号が「非表示」や海外からであれば警戒するが(写真提供/イメージマート)

電話番号が「非表示」や海外からであれば警戒するが(写真提供/イメージマート)

 警察を騙る詐欺電話がかかってきた、という報道が続いている。警察官のふりをするだけでなく、着信した側で表示される電話番号が、実在の警察署の代表番号なのだ。生活を便利にするために生み出された技術が悪用されている現実と、将来、予見される不穏な可能性について、ライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
 警察署の番号を装った詐欺電話が全国で相次ぎ、福岡市在住の高齢男性が「札幌の警察署」を騙るニセ電話に応じ、約1000万円を奪い取られるなどの被害も出ている。事件を取材する、大手紙警視庁担当記者が解説する。

「一般市民のスマホなどに、主に警察署で利用されている末尾0110で終わる電話番号が表示される着信があり”こちらは警察署だ”とか”あなたは捜査対象者になっている”など、ありもしないことを告げられ、脅されるんです。動揺した市民はニセ警察を信じてしまい、LINEなどの別アプリでやりとりを続け、最終的に多額の金を奪われます」(警視庁担当記者)

 電話をかけた際、相手側に表示される自身の番号を「設定できる」という事実が報じられ、驚いた人も多かったかもしれないが、実はこの手法「犯罪的システム」というわけではなく、ある正当な理由のために開発された「技術」でもあるという。大規模なコールセンターで現役のスーパーバイザーをつとめる男性社員(50代)は、可能性が高い技術について説明する。

「いわゆる”スプーフィング”という技術で、例えば、コールセンターなどから荷電する際に相手側にこちらの代表番号を表示させるなど、現在も日常的に使われています。この技術を使うことは違法な行為でもなんでもありませんが、見ず知らずの人物や団体になりすますのは、当然御法度です。今回、このような形で報じられると、まともな技術に対しても偽装である、という印象は強くなりそうですね」(コールセンターのスーパーバイザー)

 本来の目的のために使われるぶんにはトラブルにはならないが、「なりすまし」や「偽装」のために一部の不届き者たちがスプーフィングを悪用している、というのが実情らしい。今回の件で見過ごせないのは、意図的に警察署の番号を表示させた技術ではなく、その不届き者たちが「警察官」になりすましていることである。前出の大手紙警視庁担当記者が続ける。

「今までも警察になりすますことは簡単に出来たのですが、さすがにリスクが大きすぎると、多くの犯罪者が実践に移してこなかった。警察になりすました犯罪を、警察自身が絶対に許さないということは、犯罪者なら誰でもわかる。彼らとしても、警察の敵と認識されるのは避けたいところでしょう。ところが現在、全国に”ニセ警官”が続出している。これは犯人たちが、日本の警察や司法権限が及ばない海外にいる可能性が高いことを示しています」(警視庁担当記者)

関連記事

トピックス

夜逃げした「郷土料理 たち川」に、食品偽装があったという(左はinstagramより、右は従業員提供)
「飛騨牛はホルスタイン、天然鮎は養殖モノ…」岐阜・池田温泉、町が委託したレストランで“食品偽装疑惑”「仕入れ先が減り、オーナー自らスーパーで割引の商品を…」【7月末に夜逃げしていた】
NEWSポストセブン
痩せる前のエヴィヤタルさん(インスタグラムより)
「弟はもはやガイコツ」「この穴は僕が埋葬される場所だろう」…ハマスが“人質が自分の墓を掘る”動画を公開し世界各国から非難噴出《飲まず食わずで深刻な飢餓状態》
NEWSポストセブン
本州に生息するツキノワグマ。体長120~180センチほど。最近では獣害の被害が増えている(イメージ)
《襲われる被害が多発》クマに悩まされる養蜂家たちが告白 「今年はあきらめるしかない…」「槍を作って山に入るヤツもいる」
NEWSポストセブン
デコラファッションで小学校に登校していたいちかさん、中学生となり衝撃の変貌を遂げていた…!
《デコラ小学生が衝撃の変貌》グリーン&ゴールド髪が“黒髪少女”に大転身「ほぼスッピンのナチュラルメイクで中学に登校する」意外な理由とは
NEWSポストセブン
昨年に第一子が誕生したお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行、妻・沢井美優(右・Xより)
《渋谷で目立ちすぎ…!》オレンジ色のサングラスをかけて…ティモンディ・高岸、“家族サービス”でも全身オレンジの幸せオーラ
NEWSポストセブン
“原宿系デコラファッション”に身を包むのは小学6年生の“いちか”さん(12)
《話題のド派手小学生“その後”》衝撃の「デコラ卒アル写真」と、カラフル卒業式を警戒する学校の先生と繰り広げた攻防戦【『家、ついて行ってイイですか?』で注目】
NEWSポストセブン
収監の後は、強制送還される可能性もある水原一平受刑者(写真/AFLO)
《大谷翔平のキャスティングはどうなるのか?》水原一平元通訳のスキャンダルが現地でドラマ化に向けて前進 制作陣の顔ぶれから伝わる“本気度” 
女性セブン
「池田温泉」は旅館事業者の“夜逃げ”をどう捉えるのか(左は池田温泉HPより、右は夜逃げするオーナー・A氏)
「支払われないまま夜逃げされた」突如閉鎖した岐阜・池田温泉旅館、仕入れ先の生産者が嘆きの声…従業員が告発する実情「机上に請求書の山が…」
NEWSポストセブン
バラエティ、モデル、女優と活躍の幅を広げる森香澄(写真/AFLO)
《東京駅23時のほろ酔いキャミ姿で肩を…》森香澄、“若手イケメン俳優”を前につい漏らした現在の恋愛事情
NEWSポストセブン
柳沢きみお氏の闘病経験は『大市民 がん闘病記』にも色濃く反映されている
【独占告白】人気漫画家・柳沢きみお氏が語る“がん闘病” 今なお連載3本を抱え月産160ページを描く76歳が明かした「人生で一番楽しい時間」
週刊ポスト
芸能界の“三刀流”豊田ルナ
芸能界の“三刀流”豊田ルナ グラビア撮影後に語った思い「私の人生は母に助けられている」
NEWSポストセブン
ラーメン二郎・全45店舗を3周達成した新チトセさん
「友達はもう一緒に並んでくれない…」ラーメン二郎の日本全国45店舗を“3周”した新チトセ氏、批判殺到した“食事は20分以内”張り紙に持論
NEWSポストセブン