エスコンフィールド北海道(時事通信フォト)

エスコンフィールド北海道(時事通信フォト)

 そうした歴史を経てきた札沼線だが、現状では大学生を中心に桑園駅―北海道医療大学駅間の利用者が増えたこともあり、2012年に同区間を電化。札沼線の隆盛に大学が貢献したといえるが、2023年9月にキャンパスを北海道北広島市へ移転させると発表した。5年後の2028年に北海道医療大学は同地を去る。

 北海道医療大学が所在する当別町は人口が約1万5000人と少ないが、札幌市から約30キロメートルの距離にある。決して不便な地とまでは言えない。

 移転先となる北広島市も札幌市から近く、2023年には北海道日本ハムファイターズが同市内に新設したエスコンフィールドへ本拠地を移した。また、北海道の玄関口としても機能する新千歳空港からも近い。当別町も北広島市も札幌市からの距離はさほど変わらないものの、北海道以外へのアクセスを考えると、北広島市が利便性で大きく上回る。

 北海道医療大学がキャンパス移転を発表した翌月、JR北海道の社長会見で北海道医療大学が移転する際に駅名を改称するとの見解が示された。かなり迅速な対応といえるだろう。

「社長会見でも示されたように、北海道医療大学駅の駅名は変更する予定です。しかし、どういった駅名にするのか? いつ変更するのか?といった具体的なことは決まっていません。そもそも新しい駅名へと変更するにしても、その駅名を公募によって決めるのか?といったことも決まっていません。ただ、現在は学生利用が多い駅ですが、大学関係者以外の利用もありますので、キャンパス移転後も駅を廃止する予定はありません」(JR北海道広報部)

 駅名の由来になっている施設が移転することや廃止されることは珍しくない。なにより、駅名につけられた施設が移転や廃止をしたからといって、必ず駅名を変えなければならないといった決まりはない。東京都と神奈川県を走る東急電鉄は、都立大学駅や学芸大学駅のように移転してから長い歳月が経過していても駅名をそのまま使用している。

 大学は鉄道会社にとって定期収入を確保できる大口顧客だが、そうした収入面以外のプラスもある。例えば、大学名を冠した駅名は、地域のイメージ向上にもつながるとして自治体や地元住民からも支持される傾向が強い。

 少子化の傾向は改善する気配がなく、それに合わせて大学の生き残り競争も激化するだろう。大学が、便利な場所へとキャンパスを移転させる動きも活発化することは間違いない。そのとき、大学名を冠した既存の駅名は変更する・しないの判断を迫られることになるが、そこには鉄道会社の価値観や文化、企業としての戦略などが見え隠れすることになる。

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