一部区間の運行を終えるJR北海道・札沼線の最終列車2020年4月17日、北海道新十津川町。これにより、札沼線は北海道医療大学駅が終着駅となった(時事通信フォト)
板倉町が固定資産税を課したことで跡地利用の議論が加速するとの希望的観測も出ているが、キャンパス移転はほかにも問題を内包している。それが、東武鉄道日光線の板倉東洋大学前駅の存在だ。
同駅は地元から要望を受けて開設された請願駅で、1997年から供用を開始した。板倉キャンパスが開設されたのが1997年だから、要するに同駅の開設は東洋大学への通学の便を確保する目的が強かった。同地から学生が去ったことで利用者数は大幅に減少することが予想されるが、なによりも駅名が実態とそぐわない。
「板倉東洋大学前駅の駅名については、そもそも変更する・しないといった話も出ていません」と一蹴するのは東武鉄道広報部の担当者だ。
教育機関としての機能を失ったもの、いまだ東洋大学の建物群は残っている。それらを東洋大学の施設とみなせば、駅名が実態に合っていないとまでは言い切れないが、だからと言って長く使い続けられる駅名とも考えられない。
「大学関係者以外の利用もありますので」
駅名を改称する議論すら出ていない東武鉄道のような鉄道会社がある一方、大学が移転することを表明して間もなく、駅名を改称すると宣言したJR北海道のような鉄道会社もある。
北海道当別町に所在する北海道医療大学は、その前身である東日本学園大学が1974年にキャンパスを開設。東日本学園大学が国鉄に請願して、1981年に大学前仮乗降場が開設された。
仮乗降場とは一般的に馴染みの薄い言葉だが、駅を設けるほどではない場所ではあるものの、利用者の利便性を確保するために仮に設置されるのりばのことで、北海道内には多く設置されている。
仮乗降場としてスタートした大学前は、翌1982年に早くも正式な駅へと昇格した。そして1994年に東日本学園大学が北海道医療大学へと改称すると、翌年には駅名も歩調を合わせるように北海道医療大学駅と改称されている。
北海道医療大学前駅が属している札沼線は、北海道札幌市の桑園駅と北海道医療大学駅までを結ぶ約28.9キロメートルの路線だが、かつては沼田町の石狩沼田駅までを結んでいた。札沼線の札は札幌、沼は沼田を意味するが、その末端区間は利用者が少ないことから段階的に路線が廃止された。それでも路線名称として札沼線がそのまま存続している。