今年は遺族による墓参に際して携帯電話とカメラの持ち込みが禁止
中国人民解放軍が中国の民主化実現を叫ぶ多くの学生や市民を銃撃した1989年の天安門事件から36周年となる今年6月4日、事件で殺害された180人以上の学生らの母親たちによる市民団体「天安門の母」グループが、北京市内の万安墓地を訪れ、犠牲者の冥福を祈る追悼活動を行った。しかし、今年の追悼は例年と異なり、当局による厳重な封鎖と監視のもとで実施されたことが明らかになった。
今年は、初めて遺族による墓参に際して携帯電話とカメラの持ち込みが禁止され、当局によって外部との通信がすべて遮断された。また、メディア関係者の立ち入りもすべて排除されたという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
「天安門の母」グループは毎年6月4日に同墓地で追悼活動を行っている。今年はこれまでと違い、同日早朝に北京市公安局が手配した特別車両で墓地に向かい、墓参などの追悼を行った。
公安当局は、「天安門の母」の参加メンバーに対して、メディア関係者には公安局手配の車両で墓地に向かうことを口外しないことや、携帯電話やカメラなどは携帯しない、さらに当日の模様についてもメディア関係者には話さないことなどを厳しく求めたという。
RFAによると年配の母親たちが白い菊を手に持ち、静かに墓地に入り、犠牲となった子供たちの墓前に花を捧げるなど冥福を祈っていた。墓地周辺は厳重に警備されており、私服警官が墓地の門とその周辺道路を固めるなどの警戒態勢が敷かれていたという。
「天安門の母」グループは、事件の真相究明、犠牲者名簿の公開、責任者の処罰、そして国家による謝罪と補償を求め続けている。2025年の声明では、「政治問題は法律で解決すべき」とし、政府との対話を改めて呼びかけている。