フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告（EPA＝時事）
「私にとってこれは勝利です。正義が実現したのです」──そう勝訴の知らせに歓喜した女性は性被害者だった。彼女の訴えで浮かび上がったのは、フランスが誇る国民的俳優ジェラール・ドパルデュー（76）の裏の顔だ。
2025年5月13日、パリの裁判所はドパルデュー被告に性的暴行の罪で執行猶予付き禁錮1年6か月、2万9000ユーロ（約480万円）の罰金を命じた。だがドパルデュー本人は法廷に現れず、この判決を不服として控訴を表明。あくまでも罪を認めない姿勢を貫いている。
「ドパルデュー被告はフランスでは知らない人はいない存在で、日本で言えば晩年の高倉健さんや三國連太郎さんレベルの名優です。50年以上にわたり、150本を超える映画に出演し、カンヌ映画祭の主演男優賞やセザール賞を受賞しており、オスカー候補になったこともあります。
一方で、今回の性犯罪に限らず、芸術性と紙一重のスキャンダラスな一面も持ち合わせていました。かつてはそれも魅力のうちと許容されていましたが、ついに時代は彼のような存在を許さなくなった。芸能界の性加害問題が顕在化した日本と同様、フランス社会も大きく変わってきています」（国際ジャーナリスト）
現場で一体何があったのか。1人目の被害女性は、冒頭の発言をした映画スタッフの女性（54）。彼女の証言は、まさに衝撃的だった。
