有罪判決を受けた今も、ドパルデュー被告本人は控訴し罪を否認し続けている(EPA=時事)
法廷でもドパルデュー側は猛反撃を試みている。
「ガーディアン」によれば、弁護士は被害女性らに対して「過度に厳しい」態度をとり、彼女たちは「真の被害者ではなく嘘つきだ」と述べたほか、「過激なフェミニズムの理念のために活動している」と非難した。担当した判事はこうした主張に対し、女性たちの名誉が傷つけられる2次被害に繋がったとして、ドパルデュー被告に各女性へ1000ユーロの支払いを命じている。
ドパルデューは一連の事件を受けて、執行猶予付き禁錮と罰金の判決がくだされたが、それに加えて、性犯罪者名簿への登録も命じられた。これは毎年住所確認などが義務付けられ、犯罪の重大さにおいてデータは最長30年まで長期にわたり保管される厳しい内容となっている。
「こうした処分は厳しく感じますが、アメリカの方がフランスよりさらに厳しい。一般市民がアクセスできる性犯罪者の公開データベースがあり、サイト上で氏名や住所などの個人情報が検索できるなど厳しい政策の運用が進んでいます。
一方、日本では2024年に保育園や学校など、子どもと関わる職に応募する人の性犯罪歴を確認できる『日本版DBS』の導入が決定されました。もちろん、更生の観点から、アメリカのように厳しくすることには議論が必要ですが、国際的な潮流からも、性犯罪者への向き合い方について日本でも真剣に議論する時期が来ているのでしょう」(前出・国際ジャーナリスト)
有罪判決を受けた今も、ドパルデュー被告本人は控訴し罪を否認し続けている。フランスの誇りとも呼ばれた名優の転落劇は、まだ終わりを迎えてはいない──。