「狛犬ポジション」と呼ばれる電車扉の両脇に立ち、てこでも動かない人がいる(イメージ)
「狛犬ポジション」や真夏の冷房下
「身動きできないほどの混雑でもないのに、他のお客さんが乗り降りしようとしても”絶対に動かない”人がいます。本当に、磁石で床にくっつけられてるんじゃないかというくらい微動だにしない」
埼玉県在住の団体職員の女性(30代)も、毎朝通勤のために混雑する電車を利用しているが、この「絶対動かない人」には、いつも不快な思いをさせられていると嘆く。
「特に扉の近辺は、車内奧が空いていようと、いち早く降りたい、という人たちがひしめき合っていて邪魔になり、乗り降りがスムーズに出来ないこともあります。あとは、冷房の下も奪いにくる人がいます。去年の夏、冷房の下に偶然いたところ、大柄な男性に押しのけられたこともありますが、冷房の下から絶対に動かない人も、これからの季節は増えるはずです」(団体職員の女性)
女性は小柄(身長150センチ台前半)なため、こうした「絶対に動かない人」がいた場合、その都度、遠回りを強いられる。また、扉の両サイド部分のスペースを陣取り、どんなに車内が混んでも「テコでも動かない」ひとたちがいる。この位置は一部で「狛犬ポジション」と呼ばれている。出入り口近くをはじめ、自分のポジションを死守する人たちが出現することで、周囲の人々に不快と不便を押しつける結果となっているのだ。
一方で、逆に「動きすぎる人」の存在も、利用客に大きなストレスを与えているという声も聞こえてくる。都内在住の公務員の男性(40代)がいう。
「走行中の満員電車内を、どんな目的があるのか、行ったり来たりする人がたまにいます。混雑を押しのけていくから、ほとんど必ずといっていいほど、他の乗客とトラブルになっているんです。これをやるのはほとんどが男性。女性だと、衛生面が気になるのか、意地でも吊り革を触らない方も見かけます。スマホをじっと眺めつつ、吊り革に捕まらないものだから、周囲の人に当たりまくっている。それでも平気とばかり、スマホからは絶対に視線を外さないんですから」(公務員の男性)
今回は、満員電車通勤歴の比較的長そうな、30代以上の男女を中心に話を聞いた。電車内で不快に感じたり、迷惑だと思う他人の言動は、男女の性別、そして体つきによって多少の差はあったが、ここでとありあげた例については、ほぼ全員が見聞きしたり、迷惑行為だと感じているようであった。やはり、本当に迷惑な人は「リュック」の人だけ、ではなかったようだ。