広陵高校は1896年に創立された
甲子園出場校でなくとも、毎年のように各地で、高校野球部への処分は下されている。暴力問題をはじめ、部員の飲酒、喫煙、窃盗や万引き──その中には、「イジメ事案」も含まれる。
広陵高校の出場辞退を受けて8月10日に会見を開いた宝馨・高野連会長は、そうしたトラブルを含めた各学校からの報告が「年間1000件以上になる」と、高校野球に不祥事が蔓延っている実態を明かしていた。もちろん、程度や悪質性によって処分に差があるようだが、果たして適切に判断されているのだろうか。
「高野連は、不祥事に対してあくまで受け身で、学校側の報告のみを判断材料にしています。今回の広陵高校の件も同様で、そのために矮小化された内容に対して、“厳重注意”で済ませたところがあったのではないか」(別のスポーツ紙記者)
それでは第三者が積極的に調査に乗り出せばいいとも思えるが、そう簡単な話でもないという。
「出場停止処分などを乱発する事態になれば、全国的な知名度を誇る強豪校にも波及しかねない。甲子園に出場する強豪校の数が減れば、必然的に盛り上がりに欠ける大会になる。
高校野球は教育の一環である一方、もはや日本の夏の風物詩といえる存在です。運営サイドとしては、全国的にファンがいる高校がしのぎを削る“死闘”を演じて盛り上がってほしい、という思いもあって、処分を乱発しにくい状況にあるとも言えます」(前出・別のスポーツ紙記者)
その体質が最悪の結果を招いた。
「仮に今年1月の段階で不祥事が詳らかにされ、しっかりとした処分が科されて公表されていれば、途中辞退という前例のないことにはならなかったはずです。
結果的に広陵高校の3年生選手たちは、最後の試合をプレーすることなく引退となりました。さらに考えを巡らせば、甲子園の1回戦で戦った旭川志峯高校(北北海道)や広島大会で広陵高校に負けた高校にとっては“辞退するならおれらが試合したかった”と思うでしょうね。大人たちの都合に振り回されて、別の“被害者”も生み出したわけですから、責任は重大ですよ」(前出・別のスポーツ紙記者)
栄光の裏側にある“もう1つの夏”として波紋を広げ続けている。
※女性セブン2025年9月4日号