容疑者が立てこもった、青木家の邸宅
「この事件を起こしてなかったとしても、他の場所でバカな人間を…」
検察側は、当時妄想症に罹患していたとしても、責任能力は十分に保たれていたとして、完全な責任能力があったと主張。それゆえの死刑求刑となったわけだが、9月11日に行われた公判では、被告人が逮捕当初に応じていた取り調べで「死刑になるのが宿命」と話していたことが、調書の内容から明かされている。この公判も傍聴していた前出・高橋氏が解説する。
「調書によると、被告は取り調べで殺害した2人の女性に対し、『いい歳こいて悪口を言うようなロクでもない人間』と断罪していたといいます。先に説明した通り、被告が聞いた“悪口”は、被告の妄想だったわけですが。
当時通っていた大学の学生など、身の回りの多くの人から悪口を言われていると思い込んでいた被告は、『世間の人に悪口を言われて、世の中から排斥され、殺人犯になって、死刑になるのが宿命だと理解している。この事件を起こしてなかったとしても、別の日に、他の場所で、私の悪口を言うバカな人間を殺した可能性は高かったと思います』と供述していたそうです」
今回の求刑を受け、弁護側は26日の最終弁論で、刑を軽くするよう求める見通しだ。判決に注目が集まる。