高市早苗氏はどうなるのか(写真/EPA=時事)
小泉進次郎・農相、高市早苗・前経済安保相、林芳正・官房長官、茂木敏充・前幹事長、小林鷹之・元経済安保相の5人が立候補した自民党総裁選では、序盤から小泉氏のリードが伝えられている。小泉陣営は、入閣を約束する“大臣手形”を切り札に、他陣営を切り崩し、麻生太郎氏、岸田文雄氏、菅義偉氏という3人の長老も味方につけているという。まさに、党内の有力者の意向のままに大臣ポストが配分される、古い自民党長老政治の再生産なのである。総裁になった場合は、総裁に出馬したその他の候補にもポストを与える意向を示している小泉氏だが、最大のライバルである高市氏はどうなるのか──。【全4回の第3回。第1回から読む】
悩ましい総裁戦後の高市の処遇
小泉氏にとって悩ましいのは高市早苗氏の処遇だ。前回総裁選の後、石破茂首相は2位の高市氏に自民党総務会長就任を打診したが、“幹事長以外は受けない”と断わられたことはよく知られている。
幹事長は党の資金を握り、党人事についても大きな権限を持つ。政敵の高市氏を幹事長に起用すれば、政権に火種を抱え込むことになりかねない。
「小泉さんが一致団結を公約した以上、高市氏が2位になれば『幹事長をお願いします』と言わざるを得ないでしょう」
そう語るのは時事通信社で政治部長、取締役を歴任したベテラン政治ジャーナリストの泉宏氏だ。
「ただし、少数与党の状況では野党との交渉が幹事長の重要な役割になるが、野党と信頼関係を築いていない高市氏には荷が重い。そこで小泉氏は野党各党に太いパイプを持つ森山裕・現幹事長に野党との交渉を担ってもらうでしょう。小泉氏は森山さんと関係が良いし、信頼している。森山さんは参院選敗北の責任を取って幹事長辞任を表明しているから、幹事長代行や国対委員長での起用が考えられる。そうなれば、高市さんは幹事長になっても野党交渉には関与できない立場になる」