古い自民党長老政治の再生産か(左から岸田文雄氏、林芳正氏、加藤勝信氏/時事通信フォト)
小泉進次郎・農相、高市早苗・前経済安保相、林芳正・官房長官、茂木敏充・前幹事長、小林鷹之・元経済安保相の5人が立候補した自民党総裁選では、序盤から小泉氏のリードが伝えられている。小泉陣営は、入閣を約束する“大臣手形”を切り札に、他陣営を切り崩しているという。物価高対策などの課題が解決できる新しいリーダーとして支持を集めているのであればいいのだが、内実は違う。党内の有力者の意向のままに大臣ポストが配分される、古い自民党長老政治の再生産なのである。何が起きているのか、内幕を抉る。【全4回の第4回。第1回から読む】
長老と財務省の“操り人形”
別掲のリストでは、自民党内に飛び交う小泉陣営の人事情報をもとに、「進次郎内閣」の閣僚と党役員をまとめた。
岸田文雄氏が副総理兼外相、林芳正氏は財務相、官房長官には論功行賞で加藤勝信氏というのが内閣の骨格だ。
農相には、小泉氏の当選同期の「四志の会」の盟友でともに農協改革を手がけた齋藤健・元法相、社会保障改革に関する与野党協議の矢面に立つ厚労相には過去2回厚労相を務めた田村憲久氏、トランプ関税交渉を担う経済再生相には赤澤亮正氏の再任など、麻生派3人、旧岸田派3人、菅グループ2人という布陣だ。
小泉選対顧問を務める菅義偉氏は総裁選中から勝利を見越したように連立候補の日本維新の会幹部と極秘に接触。藤田文武・維新共同代表も「交渉のテーブルに着くのは当然」と前向きだが、「連立には政策協定が必要。すぐに閣僚配分の話にはならない」(小泉陣営議員)とされる。
それでも、大臣の定員(19人)以上の手形が振り出され、入閣情報を全部その通りにするには大臣枠が足りない。同じポストに複数の名前が挙がるケースも少なくない。
財務相には林氏の他に茂木敏充氏、外相にも茂木氏の名前が流れているものの、「岸田外相、林財務相の場合、茂木氏は防衛費増額をめぐる対米交渉が焦点になる防衛相に回るだろう」(中間派議員)との情報だ。