まだまだあるぞ!「市長の不祥事」マップ
2つ目が「拒否権」だ。
議会が議決した事項に異議がある場合、首長は「拒否権」(地方自治法176条)を行使し、議会に再議を求めることができる。米国大統領にも同様の権利が認められている。
そして米国大統領にもない首長の強大な権限が、議会の「解散権」(同178条)だ。
地方議会で首長の不信任が成立すると、不信任された首長は議会を解散し、選挙に持ち込んで有権者の判断を仰ぐことができる。
国政では首相の解散は「伝家の宝刀」とされるが、解散総選挙に踏み切った場合、首相本人を含めて衆院議員全員が議席を失う。しかし、首長は議員ではないため、議会を解散しても立場を失うのは議員側だけである。
首長のなかでも都道府県知事は所掌事務の範囲が非常に広く、すべてを1人で決裁するのは難しい。その点、市長は行政の細部まで自ら判断できるとされる。それだけに政界では「知事より市長のほうが利権に介入しやすい」(市長経験者)とも言われる。そんな強大な権限と多くの利権を持つ市長が、“ミニ・トランプ”化して与えられた権力に酔うから、不祥事が絶えないのである。
※週刊ポスト2025年10月10日号