高市氏が総裁選に勝利したことで、連立交渉の行方は(時事通信フォト)
自民党総裁選は高市早苗氏の勝利で決着がついたが、少数与党に転落している自民党にとって、“本当の権力闘争”はこれからやってくる。国会での多数派工作をめぐって壮絶な争いが繰り広げられることになるのだ。すでに総裁選を通じて党内対立はかつてないほどに先鋭化しており、その怨念が来たる首相指名で弾ける可能性がある。その驚くべきシナリオとは――。【全3回の第1回】
菅元首相と維新の会の秘密会談
今回の自民党総裁選によって、党内には修復できないほどの深い亀裂が入った。それは、総裁選の裏側で2つの連立工作が進められていたことからもよくわかる。
まず、日本維新の会との交渉を急進展させたのは、小泉進次郎陣営だ。
小泉氏は維新との連立について「その選択肢は十分あり得る」と語り、維新の吉村洋文代表(大阪府知事)も、自民党から連立参加の打診があった場合は「協議に応じるのは当然だ」と前向きな姿勢を見せた。
連立交渉に動いたのが小泉氏の後見人で維新とのパイプが太い菅義偉・元首相だ。
菅氏は9月24日に維新の遠藤敬・国対委員長と国会図書館で秘密裏に会談した。遠藤氏は維新創設者の橋下徹氏や松井一郎・元代表の側近で、菅氏が官房長官だった時代から維新の国対委員長を10年以上経験して親交がある。国会図書館は、菅氏が野党幹部との知られたくない会談に利用していた“密会スポット”だ。
会談では連立の条件やスケジュールについて突っ込んだ話し合いがなされたという。
「維新が連立の条件として考えているのは、大阪副首都構想について自公と政策協定を結ぶこと。その推進のために総務大臣ポストを要求している。それに対して菅さんは、総裁選後できるだけ早く自公維3党で連立合意を結び、臨時国会の首相(首班)指名選挙では維新に最初から新総裁に投票してもらって新たな連立政権を発足させたいと打診した」(維新関係者)