自民党屈指の資金力を誇る小泉進次郎氏(時事通信フォト)
自民党の「解党的出直し」を掲げて2度目の総裁選に挑み、高市早苗氏に敗れた小泉進次郎氏。そのワンフレーズから、父・純一郎氏の「自民党をぶっ壊す」に重ねようとする狙いが透けて見えるのは象徴的であろう。この世襲政治家は、選挙のキャッチコピーだけでなく、金脈も人脈も、100年以上にわたる政治家家系の「血脈」に頼り切っているのが実態だからだ。【全3回の第1回】
選挙や政治資金の苦労を知らない
総裁選を通じて、改めて注目を集め続けた進次郎氏のパーソナリティは、政治家人生のなかでどのように育まれたのだろうか。
小泉家は進次郎氏の曾祖父で横須賀市長や逓信大臣を歴任し、「入れ墨の又さん」と呼ばれた異色の政治家・又次郎氏から、祖父で防衛庁長官を務めた純也氏、父の純一郎・元首相と、進次郎氏までの4代で100年以上、横須賀を中心とする神奈川11区(旧神奈川2区)で議席を得てきた一族だ。
進次郎氏は引退する父の跡を継いで2009年総選挙に出馬、自民党が200議席近く減らす大敗で政権を失ったにもかかわらず、進次郎氏は圧勝して初当選した。以来、選挙区で8割近い得票率で6回連続当選し、比例代表への重複立候補をしたことがない。
「横須賀には『選挙は小泉としか書いたことがない』という人が大勢います」(後援者)と、父祖の固い地盤で選挙の苦労を知らないのである。
世襲政治家は地盤(後援会組織)、看板(知名度)、カバン(政治資金)の「三バン」を受け継いで有利になると言われる。
進次郎氏も父・純一郎氏から政治資金を引き継いだ。純一郎氏が代表を務めていた自民党神奈川第11選挙区支部には引退時に5163万円の資金が残っていたが、進次郎氏は総選挙出馬にあたって代表の座と資金をそっくり継承している。政治資金の“相続”には、相続税がかからない。
進次郎事務所に聞くと、「政治団体の政治資金は、個人資産とは峻別されているところ、相続の脱法であるとのご批判は当たりません」と回答した。