人脈も父・純一郎氏(左)からの“世襲”(時事通信フォト)
自民党の「解党的出直し」を掲げて、2度目の総裁選に挑み高市早苗氏に敗れた小泉進次郎氏。そのワンフレーズから、父・純一郎氏の「自民党をぶっ壊す」に重ねようとする狙いが透けて見えるのは象徴的であろう。この世襲政治家は、選挙のキャッチコピーだけでなく、金脈も人脈も、100年以上にわたる政治家家系の「血脈」に頼り切っているのが実態だからだ。【全3回の第3回。第1回から読む】
将来の総理の“先物買い”と接近
進次郎氏を支える経済人にも、父・純一郎氏や後見人として知られる菅義偉・元首相の人脈が見え隠れしている。
まず、有力後援者として知られる大物経営者がキヤノンの御手洗冨士夫・会長だ。
「御手洗さんは純一郎氏が首相時代の最後のほうで経団連会長を務め、財界から小泉構造改革を推進した。退陣後も純一郎氏が設立した国際公共政策研究センターの理事を務めるなど関係が深く、進次郎氏のことは初当選の頃から目を掛けてきた」(財界関係者)
また、菅元首相と親密な関係で知られる楽天の三木谷浩史・会長も昨年の総裁選から進次郎氏を応援すると公言し、進次郎氏が農相に就任すると、大臣室で会談。楽天市場で備蓄米を販売するなど小泉政策を支援した。三木谷氏の部下だった経験のある人材サービス・ビズリーチの創業者でビジョナル社長の南壮一郎氏も、昨年の総裁選からSNSで進次郎氏を応援し、DeNAの岡村信悟・社長も球団社長時代に進次郎氏とともに二軍施設のオープニングセレモニーに出席するなど交遊が知られる。
「御手洗さんなど進次郎氏の財界系企業人脈は、親父さんの人脈を受け継いできたものが何より基盤にある。そこに、あまり表には出ていませんが、菅──三木谷ラインから広がるベンチャー経営者の人脈が加わるようなかたちです」(同前)
地元経済人では後援会長の富士オイルの森洋・会長がいる。全国石油政治連盟会長などを歴任した業界の大物で、父の代からの支援者だ。現在は進次郎氏の関係政治団体「経泉会」代表を務め、経泉会は会費収入から合計300万円(2021年)を進次郎事務所や政党支部に献金していた。
今回の総裁選出馬にあたって、進次郎氏が「地元の意見を聞きたい」と面会したのは森氏だったという。
官界人脈も豊富だ。
総理の息子で4世議員の進次郎氏は早くから「将来の総理」と嘱望されていただけに、霞が関の官僚たちは“先物買い”で接近した。