推し活が話題のコシノジュンコ(時事通信フォト)
アイドルや俳優、スポーツ選手、好きな作品やキャラクター、動物など自分が好きなものを応援する活動「推し活」が若い熱狂的なファンのものだったのは過去のこと。年代や性別、国境も超えて推し活が広がるなか、コシノジュンコ(86才)と黒柳徹子(92才)、世界で活躍してきた二人の推し活ぶりが話題だ。著名人でもある彼女たちと”推し”との距離や交流の在り方は、よく言われる推し活とは少し違う側面がありそうだ。臨床心理士の岡村美奈さんが、コシノさんと黒柳さんの推し活について分析する。
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世界的デザイナーのコシノジュンコさん、そして放送50周年を迎えたトーク番組『徹子の部屋』の司会でも有名な黒柳徹子さん。人生の大ベテランである2人の”推し活”が今、話題になっている。
その理由は名声もお金も芸術などへの見識も高い彼女たちの推しが、年齢差のあるイケメンアーティストだから。その彼らに対して、推しの心理にあるという「疑似恋愛感情」以上のものを妄想したくなるからだろう。
推しの心理には、アーティストとしての価値やその作品の評価のほかに外見的な魅力、尊敬やあこがれ、疑似恋愛感情や自分との類似性や同一視などがあるといわれる。あこがれの対象と自分や自分の過去との共通点をどこかしらに見つければ、それだけで近しい感じがするものだ。さらに推しとして見聞きするだけでなく、アーティストとコミュニケーションが取れたなら、推し活にも力が入る。ファンサービスがあっても、一般人ならアーティストと単なる1ファンの関係で終わりだが、大御所の彼女たちは違う。推しに惚れ込む姿が注目されるが、推される側からも大ベテランを評価し尊敬しているといっていい。
コシノさんは86才、その彼女が情熱的に推し、寵愛しているとさえいわれているのはシンガーソングライターの川島ケイジさん。年齢は非公表だが、コシノさんとは40才ほど離れているという。2人の出会いは2019年頃で、コシノさんが知人に連れられて川島さんのコンサートを鑑賞したのがきっかけ。一目で彼を気に入ったのだと、『女性セブン』の記事に書かれていた。コシノさんといえばいつもクールで辛口な印象だが、川島さんのことは物心両面でサポートしているというから、ファンというよりもはや”パトロン”的存在として、川島さんを支えているらしい。