普通の物件紹介ではダメだと幹部から指示された(写真提供/イメージマート)

普通の物件紹介ではダメだと幹部から指示された(写真提供/イメージマート)

「男性幹部の店舗でさえ、SNSの動画再生数が伸びても、営業成績は変わらない。むしろうちより悪い。例えば、九州の方が映像を見て車が欲しくなっても、うちの店舗で購入されることはありませんよね。とにかく、猫も杓子もSNSだ、という空気すらありますが、本当にそれでいいのか。本質的に間違っていないかと思うんですよね」(自動車ディーラーの男性)

社長の意向で水着で物件紹介

 SNSでバズれと幹部が現場へ無茶振りをする。「モノを売る」業界の一部で、こうした傾向が強いのかもしれない。千葉県内の住宅販売会社に勤務する女性も、会社が強要するSNS発信をめぐり、苦痛の日々を過ごしたと訴える。

「今までは時間がかかっていたお客様への説明や、内見のご案内など、SNSを使えば劇的に楽にできるようになったのは事実です。ただ、同業者が同じようなことをやりだすから、差を出そう、目立とうとして、おかしな方向に進んでしまいます」(不動産会社勤務の女性)

 女性の勤務先のSNSアカウントで新築のきれいな戸建てを紹介していたのは、上半身がビキニ、下半身は切りっぱなしデニムのショートパンツ姿の女性だった。

「社長の意向で、若い社員が水着で物件を紹介するんです。若い女性が、そして肌の露出が高ければ再生数がかなり伸びると。私を含めた多くの女性社員が、問答無用で撮影され”なんか面白いことやって”なんて無茶振りされる」(不動産会社勤務の女性)

 当初は、男性課長など、それなりの役職についていた社員が動画に出演していたが、まったく再生数が伸びなかった。ライバル他社に絶対に負けられない、ということで若い女性社員に白羽の矢が立ち、水着着用での出演を求められた。もちろん嫌だったが、その会社で仕事を続けるには社長に逆らえず、促されるまま収録、公開となった。だが、社長が期待していたものとは正反対の反応がかえってきた。

「私たちの映像に早速コメントが付きました。こんなふざけた店で家なんか買えない、水着の女がふらふらした後の家なんか住みたくない、というものです。私も本当にそう思いますが、社長も、男性幹部も、注目されるにはこれくらいやらないと、と言うばかりでした」(不動産会社勤務の女性)

 動画についたコメントはほぼ全てが批判であり、マイナスの反響が大きかったこと、のちに出演女性が退職したこともあり、動画は現在、削除されて見られなくなっている。

 携帯電話やSNSがなかったころのカーディーラーといえば、事あるごとに顧客宅へ出向き車の調子はどうか聞いて回ったり、新車のカタログを手に、玄関先で何時間も営業することが当たり前だった。不動産業者も同様に、かつての営業スタイルといえば、電話をかけまくったり、物件情報を記した大きな看板を持った「サンドイッチマン」ともいわれるスタイルで、炎天下の通りにたたずんでいなければならなかった。各業界のベテラン勢からは「SNS営業で以前よりも仕事が楽になっている」という声が聞こえてくる。だが、目的が迷子になっているようなSNS活用は、情報を受け取る人も、発信する人も不幸にしてしまうのだ。

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