記者団の質問に答える自民党の高市早苗総裁(左)。右は鈴木俊一幹事長=7日午後、東京・永田町の同党本部(時事通信フォト)
「日テレは当該の映像をすぐ削除し、問題の音声がついていない部分のみをネットに再度アップロードし、隠ぺいではないかと叩かれ続けています。現場でも、なぜネット配信中だとわかるよう、周囲に配慮しなかったのかと、日テレへ不満を漏らす者もいます」
テレビの中継であれば、オンエアに「乗る」(※放送される)タイミングがわかるため、記者はもちろん、カメラマンやビデオエンジニア(VE)を含めた誰もが声を押し殺し、雑音が入らないように心がける。しかし今回は、ネット向けの配信をしていることが、周囲にうまく伝わっていなかった。発言そのものが問題なのだが、中継体制のせいだという声も一部ではあがっているというのだ。
問題発言をしたカメラマンの所属会社が隠さず謝罪をしたからといっても、騒動に収束の気配は見えない。ネット上では、このカメラマンだけではなく「別の声も聞こえた」という指摘があり、ほかに問題発言をしていた報道関係者がいるのではないかと、さらなる「犯人捜し」が始まっている。
取材への影響も出ているようだ。前出の日テレ関係者が続ける。
「先の総裁選ではマスコミが小泉進次郎氏の優勢を伝えていたにも関わらず、結果的に高市氏が選出されました。その結果、マスコミはうそつきだとか、情報操作をしていると批判されました。それに加えてこの騒動ですからね。特に自民党に関する取材や報道が、かなりやりづらくなってしまうでしょう」
今回のネット生配信された発言が大炎上した理由には、世論の形成に大きな影響力を持つマスメディアが持つ力を濫用すると宣言しているような横暴さがあったからだろう。「マスコミが情報操作し世論形成している」とネット上で陰謀論的に語られてきたことが、裏付けされてしまったような格好だ。今回のような、度を超した軽口によってマスコミへ信頼が一気に失墜したことは間違いない。