薬師丸ひろ子一覧

【薬師丸ひろ子】に関するニュースを集めたページです。

薬師丸ひろ子の透明感は健在
【角川三人娘】角川春樹氏が振り返る 可能性を感じた薬師丸ひろ子の目力
 1980年代、日本映画界に彗星のごとく現れた薬師丸ひろ子(57才)、原田知世(54才)、渡辺典子(56才)。いまも第一線で活躍し続ける彼女たちの原点は、10代でヒロインを務めた『角川映画』にある。“角川三人娘“と呼ばれた彼女たちの才能を見出した編集者・映画監督・映画プロデューサーの角川春樹さんと映画宣伝プロデューサーの遠藤茂行さんが当時を振り返る──。【全4回の第1回】芸能界に憧れのある人は選ばなかった角川:薬師丸、知世、典子の3人は、オーディションで選びました。私は“アイドル”を発掘した覚えはなく、作品にふさわしい女優を選んだのですが、それがアイドルのように扱われたわけです。遠藤:薬師丸さんは高倉健さん(享年83)主演の『野性の証明』(1978年)でデビューしていますが、角川さんは彼女の目に可能性を感じたとよく話されています。角川:何と言っても“目力”です。彼女はそもそも芸能界に憧れがあって入ってきたわけではなく、他薦に近い。ある小さな芸能事務所が街でスカウトした女の子たちのスナップ写真を送ってきて、その中に薬師丸もいて、その目力に惹きつけられました。それで、『野性の証明』のオーディション前に彼女をスタジオに呼んで、アクションスターやスタントマンが所属している『ジャパン・アクション・クラブ(略称JAC)』の俳優に彼女を背負わせて映画のラストシーンを演じさせたんです。 そのとき、“彼女ならイケる”と思い、オーディションで彼女以上の逸材が現れなかったら、この子にしようと決めていました。 演技はレッスンすればうまくなりますが、『目は心の窓』といわれるように、目力だけは生まれながらに備わったものですから。 あのとき、彼女はオーディションの審査員だったつかこうへいさん(享年62)から、「ピンク・レディーを歌ってよ」とリクエストされて「嫌です」とサラリと断ったんです。その意志の強さにも惹かれましたね。遠藤:後に薬師丸さんから聞いた話ですが、当時はカメラを向けられると吸い込まれそうで、家族写真を撮るときも不機嫌な顔になっていたそうです。デビューしてからも笑った写真がほぼありません。笑顔のアイドル全盛期の中で異彩を放った存在でした。角川:知世と典子は真田広之(61才)主演の『伊賀忍法帖』(1982年)で、広之の相手役オーディションで選びました。当時、知世は14才、典子は16才。知世は広之のファンで、彼に会いたい一心でオーディションを受けたんです。ただ、この映画はベッドシーンのようなものがあり、14才の知世にはふさわしくないということで、彼女にはグランプリではなく、特別賞を与えたのです。 このオーディションでヒロインに選ばれたのが典子です。彼女は郷里の大分県から「芸能界に入りたい」とこのオーディションを受けて入りました。『伊賀忍法帖』のとき、私は映画『汚れた英雄』(1982年)の監督で、自分の映画で精一杯だったから、典子の現場にはほとんど行くことができず、彼女の成長を見ることができなかったのは、かわいそうなことをしたと思っています。代わりに遠藤さんに典子の現場に行ってもらっていました。遠藤:渡辺さんはひとりで京都の撮影所で頑張っていましたね。角川:以前、京都の撮影所で「遠藤さんの顔を見るとホッとした」と、典子が言っていたことがありましたよ。 知世は姉の貴和子(56才)と一緒に『伊賀忍法帖』の福岡予選オーディションに来て、私は最初、貴和子を選ぶつもりでした。というのも、知世は先にお話ししたように、真田広之に会いたくてオーディションに来ていたからです。でも、オーディションのときに知世がバレエをやっていると言うので、『白鳥の湖』を少し踊ってもらったらとても素敵で、“彼女がオーディションの本選で、バレエを踊ったら絵になるな”と思いました。『伊賀忍法帖』の本選オーディションは東京駅に近い『東京會舘』で行いましたが、そこで知世は八神純子さん(64才)の歌を歌い上げました。その姿を見ていると、知世から“私を見て”という声が聞こえたんです。もちろん彼女はそんなことを言っているわけではないのに、“私を見て”と言っているような気がするんです。テレパシーというのか魂の声というのか、なんとも言えない不思議な感覚でした。 私は、このオーディションでは、基本的に芸能界に憧れのある人間は選ばないと決めていました。芸能界で成功したいと思っている人間は、どうしてもガツガツしたところが目について長続きしないからです。彼女たちもこれが終わったら辞めてしまうかもしれない、このデビュー作1作で終わるかもしれないと思っていたんですが……。(第2回につづく)【プロフィール】編集者・映画監督・映画プロデューサー 角川春樹さん(80才)/角川春樹事務所代表取締役社長。出版界の風雲児として、数々のヒット作を生み出すかたわら、映画プロデューサーとして、1976年『犬神家の一族』を皮切りに、映画界に進出。角川映画として、『人間の証明』(1977年)、『野性の証明』(1978年)、『ぼくらの七日間戦争』(1988年)、『天と地と』(1990年)など70作を世に送りだす。2020年には監督作の映画『みをつくし料理帖』が公開。全人生を語った書籍『最後の角川春樹』(伊藤彰彦著/毎日新聞出版)でも『角川映画』誕生秘話を明かしている。映画宣伝プロデューサー 遠藤茂行さん(68才)/東映にて角川映画『戦国自衛隊』(1979年)を皮切りに、『セーラー服と機関銃』(1981年)、『探偵物語』(1983年)、『Wの悲劇』(1984年)など数々の話題作の宣伝を手掛ける。東映作品として『ビー・バップ・ハイスクール』(1985年)、『バトル・ロワイアル』(2000年)、『GO』(2001年)ほか数々の作品に宣伝、企画、製作などとしてかかわる。現在も映画プロデューサーとして活動する傍ら、ダンス・芸能専門学校『東京ステップス・アーツ』で講師を務める。取材・文/廉屋友美乃※女性セブン2022年3月17日号
2022.03.06 07:00
女性セブン
薬師丸ひろ子と松田聖子
松田聖子と薬師丸ひろ子 再び紅白で競演「羨望と嫉妬」のライバル物語
 結婚、出産、離婚、スキャンダル……。これだけプライベートが騒々しくとも、歌手として第一線で活躍し続けられるのは彼女だけではないだろうか。人気は衰えるどころか存在感を増して、今年も紅白歌合戦に選出された。あのライバルと一緒に──。『第72回NHK紅白歌合戦』の出場者が発表された11月19日以降、芸能関係者の間である“競演”が話題になっている。 25度目の出場となる松田聖子(59才)と、7年ぶり2度目の選出となった薬師丸ひろ子(57才)の2人だ。両者の関係性を知る芸能リポーターの石川敏男さんは、この共演を「サプライズ」と位置づけてこう口にした。「聖子さんと薬師丸さんは、デビュー当時からお互い比較されることが多く、共演NGが噂されていた時代もあったほどなんです」 聖子は、1980年4月に『裸足の季節』でレコードデビューした。人気絶頂の山口百恵さん(62才)が、突然引退を発表した1か月後のことだった。百恵さんの引退発表で寂寥感が漂う芸能界のなかで、聖子はトップアイドルへの階段を一気に駆け上がっていく。 同年10月にリリースした『青い珊瑚礁』でオリコン2位を記録すると、3枚目の『風は秋色』で初めてオリコン1位を獲得。年末の『第22回日本レコード大賞』では新人賞に輝いた。「ポスト山口百恵」は聖子に託されるはずだった。 そこに現れたのが薬師丸だ。 薬師丸は1978年に、映画『野性の証明』で女優としてデビュー。その後は『翔んだカップル』(1980年)、『ねらわれた学園』(1981年)などの映画で主演を務め、若手の映画女優として注目を集めていた。 アイドルと女優──本来ならば交わることがなかった2人が比較されるようになったきっかけは、1981年12月に公開された、薬師丸の主演映画『セーラー服と機関銃』だ。「薬師丸さんの代表作になる映画ですが、薬師丸さんはこの映画で主題歌を歌い歌手デビューしたんです。歌が本業ではない女優が歌手デビューしたことでプレミア感が増し、話題性も手伝って、映画も楽曲も大ヒット。映画の舞台挨拶には、ファンが殺到して機動隊が出動する騒ぎになりました」(前出・石川さん) 主題歌は86.5万枚のセールスを記録。これは当時の聖子の最高売り上げだった『風は秋色』の79.6万枚を超える大ヒットだった。薬師丸は一気に、歌手としてもブレークし、同世代のアイドルを凌ぐ人気を獲得していった。聖子の前に、映画界から思わぬライバルが現れたのだ。薬師丸の発言が聖子に火をつけた ついに2人の“正面対決”が実現する。 1983年7月2日、聖子主演の映画『プルメリアの伝説 天国のキッス』が公開され、その2週間後に薬師丸の主演映画『探偵物語』が公開された。 映画の内容が女子大生の恋愛物語である点や、聖子は中井貴一(60才)と、薬師丸は松田優作さん(享年40)とのキスシーンがあり、2人がそれぞれの主題歌を歌うなど、あまりに共通点が多かった。結果を比べられるのは当然だった。「聖子さんの『プルメリア〜』の興行収入が約20億円だったのに対して、『探偵物語』は倍以上の約51億円でした。主題歌は共にオリコン1位を獲得しましたが、年間チャートでは聖子さんの16位に対して、薬師丸さんは4位と、こちらでも大きな差がつく結果となりました」(映画関係者) この敗北は、聖子の気持ちを大きく変えたという。「主演と主題歌という同じ状況で、聖子さんはどちらも薬師丸さんに敵わなかった。これ以降、聖子さんは薬師丸さんの存在を、強く意識するようになったといわれています」(芸能関係者) それ以前にあった、薬師丸の“ある発言”も結果的に聖子のプライドを逆なですることになった。「薬師丸さんは、以前から聖子さんのファンだと公言していました。当時、アイドルが同性アイドルの名前を挙げてファンを公言するのは考えられないことでした。薬師丸さんは聖子さんへの羨望を隠さなかった。自分へのあこがれを口にする年下に、芸能活動を脅かされている。そんな状況を聖子さんのプライドが許さなかった」(前出・芸能関係者) ただ、聖子の“闘争心”は、当時のアイドル業界を考えれば当然だったのかもしれない。 1980年代はアイドル全盛期。歌番組も多く、アイドルが同じステージで切磋琢磨する機会も多かった。聖子と薬師丸も、そんな火花が飛び交う歌番組で共演したことがある。1988年の『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)で、こんなエピソードがある。「『夜の〜』では、オープニングで出演者がほかのアーティストの曲を歌うメドレーが定番となっていたのですが、そのメドレーで聖子さんは薬師丸さんからマイクを受け取っているんです。その様子を、当時のスタッフは見守っていました。2人の緊張関係は、スタッフも知るところだったのです」(当時を知るテレビ局関係者) その後、聖子は歌手業に重きを置き、年間4曲前後のハイペースで新曲をリリースしていく。対する薬師丸は女優業の傍ら、マイペースに年間2枚程度のリリースを続けていく。「女優でも歌手でもトップを走る薬師丸さんに、嫉妬のような感情を抱いていたアイドルも多かったと思います。ただ、薬師丸さんは1985年に角川春樹事務所から独立して以降、独自のポジションを確立し、聖子さんは王道アイドルの道を突き進んでいったので、2人はライバルというよりも、アイドルと女優でそれぞれ唯一無二の存在になっていった印象です」(前出・当時を知るテレビ局関係者) プライベートでは奇しくも結婚と離婚を共に経験。聖子は1985年に神田正輝(70才)と結婚するも1997年に離婚。その後、1998年に再婚、2012年に再々婚とプライベートでもマスコミを賑わせた。 薬師丸は1991年に玉置浩二(63才)と結婚し、1998年に離婚。現在はNHKカメラマンとの事実婚を続けている。 私生活を巡っては、聖子のリアクションは見事だった。「聖子さんはスキャンダルを肥やしにして、そのたびにステップアップしているように見えました。新しいアイドル像で、ファンをがっちり掴んでいる。それに対して薬師丸さんは、少なからず離婚で失速した流れを引き戻せなかった。その点は、聖子さんはたくましかった」(前出・石川さん) そんな2人が音楽番組で再び相まみえたのは、2014年の紅白歌合戦。聖子はアイドルの座を守り続け、同番組で大トリを務めるほどになっていた。薬師丸は前年に出演したNHK連続テレビ小説『あまちゃん』効果もあり、歌手デビューから33年を経て初めての出場だった。「リハーサルのときに2人が並んだのですが、聖子さんは控えめに後ろに下がろうとする薬師丸さんの腰に手を当てて、前に出やすいようにサポートしたのには驚きました。 2018年には、作詞家の松本隆さんを特集した番組でも共演しているので、デビュー当時のような関係性ではなくなっていたのかもしれません」(前出・当時を知るテレビ局関係者) 火花を散らし合うライバルだったのは、遠い昔のことなのだろうか。「聖子さんは今年で、デビュー41周年。薬師丸さんも歌手活動40周年の節目の年です。激動の1980年代を共に過ごし、いまもなお第一線で活躍している数少ない仲間という感覚なのかもしれません」(前出・芸能関係者) 40年目の“競演”が、いまから楽しみだ。※女性セブン2021年12月9日号
2021.11.27 07:00
女性セブン
夏木マリ、「強き女」の変遷 悪霊役から朝ドラヒロインまで
夏木マリ、「強き女」の変遷 悪霊役から朝ドラヒロインまで
 清原果耶主演のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で、百音を厳しくも優しく支えるのが資産家で“姫”と慕われる新田サヤカ。演じるのは夏木マリ(69歳)だ。ひときわ存在感を放つ夏木だが、これまでもサヤカのように芯の強い女性を演じてきた。その変遷をコラムニストのペリー荻野さんが振り返る。  * * * NHKの朝ドラ『おかえりモネ』。気象予報士デビューしたヒロイン・モネこと永瀬百音(清原果耶)は、たくさんの人に支えられているが、中で最強とも思えるのが、新田サヤカ(夏木マリ)である。モネが最初に就職した米麻町森林組合のボス的存在のサヤカは資産家で、山に詳しく、モネにさまざまなことを教える。自然を愛し、感謝を忘れない彼女は、山の神様とツーカーみたいにも見える。 夏木マリは、さまざまな形で「強き女」を表現してきた。私が最初に衝撃を受けたのは、1974年のドラマ『高校教師』だ。あ、真田広之や藤木直人のドラマじゃないです。このときの先生は、加山雄三。放送は東京12チャンネル(現在のテレビ東京)である。眉毛を細くくっきりメイクした紀子(山内えみこ)はじめ、不良女子高生ばかり出てきたが、みんな現実に怒り、人情味もあった。先輩格のスケ番役で桃井かおりも出演。個人的には学園ドラマの傑作だと思っている。 このドラマの主題歌が夏木マリの『裸の青春』。私に指図はいらない、たった一度の青春を悔いのないようにと言われるが、何もせず終わるより、過ちを悔やむ人生を選ぶといった歌詞のメッセージは、今聴いても響く。 その夏木マリは、演劇活動も開始。強烈だったのは、先日亡くなった千葉真一出演の映画『里見八犬伝』だった。妖しい妖怪一党に狙われる姫(薬師丸ひろ子)を助けるために集結した八人の犬士(千葉、真田広之、志穂美悦子、京本政樹ら)の壮絶な戦いを描く伝奇物語で、夏木は百年の時を経て蘇った悪霊・玉梓を演じたのである。 ひらひらの襟がついたゴージャスなマントを引きずりながら、生首を並べた宮殿を歩き、舌なめずりをするように悪事を重ねる妖艶な玉梓。クライマックスでは、宙を舞い、姫を狙う。『南総里見八犬伝』はもともと江戸時代の滝沢馬琴作の大長編小説。玉梓は二百年余り人々を恐れさせた存在であり、この映画では千葉、真田はじめ、パワフルな俳優を向こうに回す大悪役である。 深作欣二監督のこだわりで怨霊メイクも凝りに凝って二時間以上かかり、あまりの迫力に薬師丸ひろ子は撮影以外で玉梓に近づくことはできなかったという。この映画は1984年の邦画配給収入一位。トップアイドル薬師丸の姫とともに、玉梓も多くの人の心に残ったのだった。 平成以降では、『奥さまは魔女』で、かわいい魔女(米倉涼子)のママ役も印象的。娘が普通の人間のダーリン(原田泰造)と結婚したことが気に入らず、ママは長いまつ毛をシバシバさせて「新郎はチンパンジー、仲人はゴリラ」などと悪口を言う。 大河ドラマ『義経』では、平家や源氏を操ろうと暗躍する後白河法皇のそばにいる丹後局。歴史上、珍しく政治にも口を出した女性として知られるお局様だ。そして、岸和田育ちの小原糸子が洋装店を開き、三人の娘をデザイナーに育て上げるまでを描いた朝ドラ『カーネーション』で晩年のヒロインに。映画『大コメ騒動』では、米の高騰に怒り騒動を起こす嫁のよき理解者である姑も演じている。 いつ出てきても最強。モネもまだまだサヤカを頼りにしそうだ。悪でも意地悪でもどこか可愛いのがミソ。次に何を演じてくれるか、期待させるベテランである。
2021.08.24 07:00
NEWSポストセブン
ロレッタ・リー伝説の写真集ができるまでの経緯とは?
「香港の薬師丸ひろ子」ロレッタ・リーが伝説の写真集秘話を語る
 1994年、名実共に香港のトップ女優として君臨していた李麗珍(ロレッタ・リー)の写真集は映画ファンに衝撃を与えた。当時の本誌・週刊ポストに、宗教学者の中沢新一氏は「はつらつとしていて、可愛らしいところがとてもいい」、脚本家の内館牧子氏は「笑顔が本当に自然で良い」とコメントを寄せたほど、彼女の魅力は異彩を放っていた。 あれから27年後──まさに伝説となった写真集の当人から、海を越えてメッセージが届けられた。──当時、日本でヌード写真を撮ろうと思った理由は? 私は小さい頃から周囲に言われるままに演じていて、女優としては平凡な部類でした。27歳になっていた私は「学生の恋人(学生情人)」と呼ばれるのはもう無理だなと思っていました。それで、当時のマネージャーと相談し、1年以内に耽美的なヌード写真集を出版することと、ヌードシーンのある恋愛映画に3作出ることで、局面を突破しようと考えたんです。 最後はすべて私が決めて、人々に“キャラ変”を受け入れてもらうことができました。日本や台湾、シンガポール、マレーシア、韓国の人々にも、私のことを知ってもらうことができました。家族も、私が何度もよく考えて決めたことだと理解してくれました。──写真集を見ると、どんなことを思い出しますか? 私にとっては、映画やテレビのお仕事と同じような芸能活動の一部分でした。どれも唯一の経験だと思っています。小澤忠恭氏はさすが巨匠と言われるだけありました。あの時の少女のような気持ちは、今も私のなかに残っています。あの時は若かった! ははは!──撮影時の思い出は? 当時は2週間ほど日本に滞在し、滞在中はサーモンを食べるのが大好きでした。毎日仕事が終わったあと、スタッフの方たちがよくサーモンを食べに街へ連れて行ってくれました。──「香港の薬師丸ひろ子」という呼び名をどう思った? 嬉しくもあり、少しプレッシャーでもありました。私は香港の映画に出ていただけで、演劇のことは何も分かっていませんでした。薬師丸ひろ子さんは、当時すでに歌手や女優としてさまざまな賞を取っており、多くの支持を集めていました。私の先輩です。──写真集を買ってくれた当時のファンにメッセージを。 当時はみんな若かったし、思いついたらすぐ行動していましたね。今はみんなおじさんやおばさんになりましたが、自分の信念を持って頑張りましょう。何かをあきらめたり、やめたりする必要はありません。人生のそれぞれのステージで、輝ける場所やチャンスがあるはずです。【プロフィール】ロレッタ・リー/1966年1月8日生まれ、香港出身。1984年、18歳の時に映画『停不了的愛』の可憐な女子学生役を演じてデビュー。1987年、映画『最後勝利』で主人公の愛人を演じ、香港映画界のトップスターの地位を築く。その後日本映画界にも進出し、「香港の薬師丸ひろ子」として人気を集めた。1994年に初のヘアヌード写真集『Reminiscence 李麗珍写真集』を発表し、大きな話題を呼んだ。1996年に結婚し、1997年に女児を出産するも、2000年に離婚。約10年間の活動休止期間を経て、2019年に完全復帰。今年は主演映画2作が公開予定。撮影/小澤忠恭※週刊ポスト2021年4月2日号
2021.03.28 16:00
週刊ポスト
『エール』大団円 記憶に刻まれる作品となった10のポイント
『エール』大団円 記憶に刻まれる作品となった10のポイント
 画期的と呼べる作品だった、と言えそうである。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が総括した。 * * * いよいよNHK連続テレビ小説『エール』も最終回。総出演のカーテンコールで音楽への愛とトリビュートを表現しながら幕は閉じました。振り返って、これほど波乱万丈だった朝ドラは初めてではないでしょうか? まず、働き方改革で土曜放送がなくなり初の「週5日」放送に。しかも、ベテラン脚本家の降板あり、志村けんさんのコロナ感染・逝去とショックは続く。放送開始後もコロナ禍による撮影中断2ヶ月半。撮影できなかった分は再放送に差し替え、という前代未聞の展開……。数々の過酷な試練にさらされたキャストやスタッフたち。その混乱や落胆はいかばかりだったか。しかしその分、こうも言えるのかもしれません。「作品も役者も磨かれていった」と。 画期的で見たことのない朝ドラになった本作の余韻を味わいつつ、ロスへ捧ぐ。『エール』の魅力ポイント10項目──。【1】徹底的に「役者」を見せつけた朝ドラ 物語は古山裕一という作曲家の人生が主軸。しかし撮影中断もあり、結果として物語が断片的にならざるをえなかった。それがむしろ、役者の力を際立たせることにつながったかもしれません。特に裕一を演じた窪田正孝と、妻・音を演じた二階堂ふみの演技力はアッパレ。窪田さんは「恥ずかしがり屋」を自称するだけあり自己を強く推し出すタイプでない。真面目で朴訥で人の良さがにじみ出るような静かな「受け芝居」で優しさ、抱擁力、受容力を見事に表現しました。 一方、音役・二階堂ふみは超個性的でガンガン押し出すタイプの役者。しかし、今回の役としては一歩下がる妻。裕一と音の二人の組み合わせ、その凸凹な夫婦は絶妙で見るたびに「足りないものを互いに持ち寄り、支え合っている夫婦」を実感させられた。その姿はコロナ禍に苦しむ人々の「エール」となり癒やしとなりました。【2】舞台さながらのライブ感覚 即興が生む面白さをここまで活かした朝ドラは初めて。吉田照幸監督が大切にしたのは、細かな演技指導よりも「ライブ感”です。芝居は動きまで細かく決めず、ある程度は役者さんに委ねて、ワンシーンを細かくカットせずに流れで撮影しています。もう一つは、お約束をなるべくやらずに、“ひとひねり” する」(番組公式HP)と監督自ら方法を語っています。テレビドラマでありつつも舞台的なやりとり、その場で生まれるインプロヴィゼーションのみずみずしさ、躍動感が存分に楽しめました。【3】音楽への愛が全体を貫き、重要な転換点として機能 柴咲コウ、薬師丸ひろ子、二階堂ふみ、山崎育三郎、森山直太朗、宮沢氷魚……それぞれが劇中で歌う。その歌が転換となって物語が次へ展開していく。理屈を超えて心を揺さぶる音楽が人々を再生し、視聴者を感動させました。根底に「頭はダメと言っても心はいいと言っている」というセリフが象徴するような「音楽の力」が横たわっていました。【4】男たちの友情を描くことに成功 朝ドラの主人公は女性が多いが、今回は男性の主人公。その裕一に加えて“福島三羽ガラス”──鉄男役の中村蒼、久志役の山崎育三郎と男優たちが揃い互いにかけがえのない絆を感じさせ、作りモノではない友情がひしひしと伝わってきました。【5】シビアさと笑いの混在 戦場シーンのシビアさたるや、息を呑むほど真に迫っていた。その一方、かけあい漫才やコントを彷彿とさせるシーンも多々あり、遊び心に満ちた演出が随所に仕込まれていた。無理に笑わせようとする制作側の意識が見えると逆に視聴者は白けてしまう。しかし『エール』は、コメディ然とした作りではなくしかし結果としてふっと笑わされる秀逸な仕上がり。朝ドラにありがちな優等生的真面目さ、説教的な堅苦しさをぶっ飛ばすことに成功しました。とはいえ軸は崩れずにきちっと抑えたバランスが見事でした。【6】一人一人登場人物を大切に回収 母光子(薬師丸ひろ子)が亡くなっていることをさりげなく描き遺品のロザリオに語りかけたり、藤堂先生(森山直太朗)のお墓にお参りしたり。小山田先生(志村けん)が亡くなる直前に裕一に宛てた手紙が届けられたり。一人一人をおざなりにせずきちんと回収していくことでドラマの登場人物への愛を感じさせてくれました。【7】声優の力を見せつけた 音楽をテーマとしたドラマだけに「音」の使い方も優れていました。特にナレーションを担当した声優・津田健次郎の技術、また吹き替えだけで1人4役を演じたシーンも話題を呼び、まさしく音の力を印象付けました。【8】オープニングも最終回も自由奔放 初回のプロローグは朝ドラ史上初の紀元前1万年から始まり夫婦が原始人として登場。一方、戦場シーンの数日間は主題歌なしのオープニング、そして最終回のカーテンコールまで。朝ドラの枠を飛び超えていく型破りな演出が新鮮な驚きをもたらしました。【9】コロナ禍の「今」にきっちりシンクロ コロナ禍で来年のオリンピック開催も不安視される状況下、ドラマでやたら「五輪万歳」と持ち上げられるのには抵抗がある──そうした世の中の空気を読んでのコンパクトな表現が冴えていた。裕一の元に東京オリンピックの開会式の入場行進曲を作曲してほしい、という依頼が舞い込んでから、1964年の東京オリンピック開催という大イベントまでを短い時間内に描き上げまとめた。何より、今の状況と視聴者の気持ちに併走していく現在進行形のドラマ作りにマル。【10】監督が脚本も手がけたゆえの一貫性「視聴者の方々にエールを送り、『自分も頑張ろう!』と元気を出してほしい」という吉田監督の思いが特に後半、脚本と一体となって結晶化していた。偶然ではあっても脚本と演出が一人の人の手になったことで、最終的にブレのない着地ができたのでしょう。コロナの時代と共に記憶に刻まれる朝ドラ作品になったと思います。
2020.11.27 16:00
NEWSポストセブン
濡れ場で“圧勝”だったという二階堂ふみ
朝ドラ『エール』のハイブリッド演出 韓流ドラマと共通点も
 ドラマは時代を映す鏡、その最先端で支持される作品には共通点が垣間見えることも珍しくない。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。 * * * 新型コロナの影響で撮影休止となった朝ドラ。すでに撮影ストックも尽き6月29日から再放送に入るというアナウンスがありました。感染症拡大という100年に一度の出来事だからドラマが変則的になるのも仕方がない。そして今週(56~60話)は特別企画「アナザーストーリー」、いわば本筋以外のお話を紡ぎ合わせるショートストーリー編が流れました。ただこちらはコロナの影響というより、当初からスピンオフを挿入するという計画がなされていたようです。「アナザーストーリー」のスタートは、事故で亡くなった音(二階堂ふみ)の父親、安隆(光石研)の物語から。白装束、頭に三角形をつけお定まりの“あの世”ファッションのまま現世に蘇ってくる父。その姿に、つい笑いが出てしまう。一見するとバカバカしいコント風です。 でも、白装束は「お約束」を可視化する仕掛け。家族には父の姿が見えるけれども他人には見えない。という設定を一瞬にして際立たせるための衣装です。見える人と見えない人がいるからこそ、そこにすれ違いや勘違いも生まれ、笑った後にはしっかりと泣きが入る。 かつて、幼い音が父と一緒に食べたお団子。親子でもう一度味わうシーンに心を揺さぶられた人も多かったはず。幼少期がフラッシュバックされ、音は目をうるませて父に抱きつく。さすがは二階堂さんと光石さん、じんわりと沁みてくる優しいシーンでした。続けて、母(薬師丸ひろ子)の素っ頓狂だけれど温かい人柄や、夫婦で助け合って生きてきた絆も15分という短い時間の中に浮かび上がりました。 本編の中に突如挿入されるスピンオフは、これまでの朝ドラでもありましたが、中途半端に入ってきて浮いてしまったり、ドタバタの空騒ぎになったりと違和感も。しかし今回は心が温まるポイントを外さず、各回をコンパクトにまとめあげ、伏線の回収も上手。さすが『サラリーマンNEO』の演出陣だけあるな、と唸らされました。 そもそも『エール』というドラマは、本編においても単純なファミリードラマではありません。紋切り型に陥ることなくコミカル、シリアス、ミュージカルと異質なものを組み合わせる手腕に長けています。 例えば音を演じる二階堂さんの個性を最大限のびのびと弾けさせ、夫・裕一を演じる窪田正孝さんの引っ込み思案かつ全力で音を支える力強さをカリカチュアして描く。スタートから2ヶ月半の間に、味わいのある不思議な夫婦像が浮かび上がってきました。 また、ミュージカル的要素も随所に取り込み、歌が披露される場面もたびたび。喫茶店「バンブー」の中で「劇中劇」が展開されたりと演出も凝っています。シンミリあり、ドタバタあり、歌ありの複合型、いわば「ハイブリッド」なドラマ作りはもしかしたら新たな潮流なのかもしれません。 というのも、今世界で大ブレイクしている韓流ドラマ『梨泰院(イテウォン)クラス』がまさにハイブリッド型の代表です。純愛物語かつ外食産業を舞台にしたビジネスものであり、ハードなアクションにドロドロの復讐劇と、異なる要素を多彩に組み合わせジャンル横断で飽きさせない。振り返れば、かつての『冬ソナ』は純愛モノに括られましたが、今はさまざまな要素を混在させていくハイブリッド手法がひときわ光る時代なのかもしれません。 共通点として付け足しにもう一つ。『エール』のヒロインの二階堂ふみと、『梨泰院クラス』のヒロイン、キム・ダミには重なる点を感じます。いわゆる美形で誰が見ても美人の女優というよりは、個性派で躍動感がありチャーミング、自由奔放な勢いが魅力の女優をメインにキャスティング。こうした点も最先端ドラマの特徴と言えるのかも。 ハイブリッド演出、個性派ヒロインはともに、型を破っていくエネルギーに転換するのでしょう。
2020.06.20 16:00
NEWSポストセブン
わさおの隣にはいつもお母さんがいた(共同通信社)
わさお、タレント犬と一線を画す行動指針「わさお三原則」
 青森県の海沿いにある小さな町で、ひとりぼっちだった犬。自分にちょっと似た、やさしい母さんと出会い、商店の看板犬になったことからその物語は始まった。人気は全国区になり、住まいは“観光名所”になり、映画にも出演。多くの著名人も会いに来た。しかし、2017年に母さんがいなくなり、年下の“妻”も昨年空の旅に。そして今年6月8日、人間で言うなら90才を過ぎたとき、わさおは眠るように大好きな家族のもとへと走っていった。 2007年、青森県西津軽郡鰺ケ沢町で焼きイカ店を営む故・菊谷節子さんに保護されたわさお。長毛種の秋田犬で、ライオンのような見た目から菊谷さんは「レオ」と名付けた。レオが「わさお」として“ブサかわいい”と全国に名が知られるきっかけになったのは翌年春だ。旅行中にわさおを見かけた女子大生がブログに記事をアップ。名前を知らず「わさお」としたが、菊谷さんがその名前を気に入って“改名”したのだという。長年にわたってわさおをサポートしてきた「わさおプロジェクト」代表の工藤健さんが話す。「私も初めはブログを見て会いに行ったんです。ブログを印刷して『こちらのワンちゃん、わさおと呼ばれて話題になってますよ』って。母さん(菊谷さん)は『え、まさお?』って言ってましたね(笑い)。『いい名前だ、いい名前だ』と言って、そのままわさおになったんです」 テレビや新聞、雑誌などで次々とその愛らしさが取り上げられ、国民的マスコット犬になったが、いわゆる“タレント犬”とは一線を画した。「わさおも母さんもお金のために商品を宣伝したりするのはもう絶対に向いていないと思っているので、“わさお三原則”を行動指針にしてきました。“お互い様の精神であると”“地域性社会性があること”、そして“わさおと母さんが無理をしないこと”です」(工藤さん)“わさおらしく、母さんらしく”──。一貫したそのスタイルこそ、“わさおブーム”が一過性ではなく長く愛された最大の理由なのだろう。 わさおに会いに来た人は数え切れないが、わさおにとっては「母さん以外はみんな一緒」なのだとか。「どんなに有名人であっても、とびきりのわさおファンであっても、わさおにとっては母さんかそうじゃないかです。人間は母さんしかいないと思っていたかもしれない(笑い)。母さんが亡くなってからはぼくと散歩にも行ってくれますが、おやつという見返りがないと全然ダメ。50m置きくらいに振り返って“わかってるよな”という顔でこっちを見るんですよ」(工藤さん) 菊谷さんが亡くなった後、わさおの面倒を見ていた長男・忠光さん(56)もこう話す。「そもそも敵同士ですから。病院で手当てするほど噛まれてね。でも、母親が亡くなったときに枕元で“わさおを頼むな”と言われて。“わかった、おれに任せろ。なーんも心配ない”って答えた。わさおも警戒してたけど、わさおが好きそうなちくわをたくさん買ってきて散歩するときに1本ずつやったんだ。そうするうちに仲よくなれた(笑い)」 わさおに変化が見られたのは昨年暮れのことだ。だんだんと老化が進み、今年4月には立ち上がることができなくなってしまった。毎朝、おやつとともに薬をのませていた工藤さんは、6月8日の夕方もいつも通りわさおのもとを訪れた。「おじいちゃんが縁側で陽だまりの中で穏やかに眠りに落ちて『おじいちゃん』と呼ばれても返事をしなくなって…という“こんなふうにいけたらいいな”と思うシーンそのものでした。18時前頃、『ワウ、ワウ』と文句を言うようにして、眠りに落ちて。また起きて『ワウ、ワウ』と。それを何回か繰り返して、あぁまた寝たなぁと思ったら背中の波打ちが止まっていました。母さんから“最後まで面倒見なさい”と言われていましたが、まさに最期を看取れて、わさおをひとりぼっちで旅立たせるようなことにならなかった。最後まですごいやつです、わさおは」(工藤さん) わさおの物語は鮮やかなエンディングとともに幕を閉じた。工藤さんは、わさおの不思議な魅力をこう語る。「わさおはひとつの宇宙です。どんな望遠鏡を使うか、どんな気持ちで見るかで宇宙が違って見えるように、わさおの魅力もいくつもの答えがあるんです。大きな星空の下に立って、空を眺めたときの圧倒的な美しさに感動するような、わさおはそんな存在です」 住民票を特別に交付され、観光大使も務めたわさお。その隣にはいつも母さんがいた。「母さんが亡くなって最初の頃は、よく姿を探していました。散歩から帰ってきてまっすぐ小屋に入らずに、お店に寄っていつも母さんが座っていたところを確認して、それを何日も繰り返して“いないんだな”とわさおなりにわかったようです。そのうえで“ここで母さんを待つ”と決めた。それがわさおの生きる活力だったんだと思います。そんな姿に我々は救われました」(工藤さん)『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ)のロケでは、故・志村けんさんも訪れた。「志村さんは愛犬のちびと一緒にロケに来てくれたんです。志村さんはシャイな人だから、あんまりわさおにベタベタすることはなかったね。でも心は通じ合っているというか、お互いにリスペクトし合っているなというそういう雰囲気でした」(忠光さん)撮影/末並俊司※女性セブン2020年7月2日号
2020.06.18 16:00
女性セブン
朝ドラ『エール』での名演が涙を誘う
薬師丸ひろ子、事実婚夫と地方移住 両親は近所の別荘暮らし
 感染リスクに怯えながら電車に揺られ、密集するスーパーで買い物──ここ最近、そんな「3密」な都会暮らしを避け、地方暮らしを希望する人が増えてきているという。そんな憧れの生活を、薬師丸ひろ子(56才)はすでに送っていた。トップ女優の意外な素顔。 東京から車で2時間。落葉広葉樹に囲まれたその土地は、一年を通じて豊かな四季を感じられる。 6月上旬、都内が30℃を超える真夏日でも、その地の最高気温は20℃ちょっと。新緑が目に眩しい昼下がり、色とりどりの別荘が点在する林間の小道を、向こうから男女ふたりが、ほどよい距離で並んで歩いてきた。 その女性は、現在放送中のNHK連続テレビ小説『エール』で、ヒロイン・音(二階堂ふみ)の母親・関内光子を好演する薬師丸ひろ子(56才)だった。「薬師丸さんは2013年に大ヒットした『あまちゃん』に次ぐ2度目の朝ドラ出演を楽しんでいるようです。歌手になるという夢を持つヒロインが熱唱するシーンの収録では、『歌声を聴いていて、私も歌いたくなっちゃったわ』とおどけていましたよ」(ドラマ関係者) 薬師丸は過去にインタビューでこう語ったことがある。「私は実生活で母親になった経験がありませんから、固定観念がないぶん、母親役を自由に演じられるんです」『エール』では、子供がまだ幼いときに事故で夫を亡くし、女手ひとつで3人娘を育てる、強くて優しいシングルマザーの役どころだ。 時に「女が男に黙って従う時代じゃないで!」と男性にタンカを切る強い女性。時に「お父さんは、目には見えないけれど、ずっとあなたたちのそばにいる」と涙ながらに娘を励ます母親。家業の馬具製造を苦労しながら切り盛りし、娘の成長にも真っ直ぐ向き合う光子の姿に、「朝から泣けてしょうがない」(50代主婦)という声も少なくない。 柔和な表情の中にも強い芯を感じさせる女優・薬師丸のハマり役なのだろう。◆自宅には昼夜問わずファンが殺到した ドラマではリアルな演技を見せる薬師丸だが、プライベートをあまり表に出さない女優としても知られている。 1964年に東京・港区で2人姉妹の次女として生まれた薬師丸は、14才にして映画『野性の証明』でスクリーン・デビュー。1981年には代表作となる名作『セーラー服と機関銃』のヒロインを務め、主題曲で歌手デビューを果たすと、その曲は160万枚を超えるメガヒットを記録した。「清純派女優として人気が爆発し、角川映画の看板女優へと駆け上がりました。そのため、自宅には昼夜を問わずファンが殺到しました。学業への支障を恐れた母親は、父親を自宅に残したまま薬師丸さんを連れて家を出て、当時薬師丸さんが通っていた高校の近くに引っ越したほどでした。 自分のせいで両親が離れ離れに暮らすことが心苦しかった薬師丸さんは、20才で独立して個人事務所を立ち上げ、家族と一緒に暮らすため横浜に豪邸を建てたそうです」(芸能関係者) 1991年、27才で玉置浩二(61才)と結婚して芸能界をセミリタイアするも、1998年に離婚。当時、薬師丸の誕生パーティーの席上で玉置が「今日で別れます」と前代未聞の離婚宣言をしたことが、スキャンダラスに報じられた。「離婚後に薬師丸さんは芸能活動を再開しましたが、恋愛話については口をつぐむようになりました。玉置さんがその後も派手な恋愛で世を賑わせ続けたのとは対照的に、薬師丸さんはあえて私生活を封印しているようにも見えました」(前出・芸能関係者)◆いつでもすぐに両親に会える距離 新型コロナウイルスの喧騒をよそに、薬師丸は地方に建てた、緑に囲まれた別荘で過ごすことが多いようだ。モダンな外観の2階建てで、家の裏にはストーブ用の薪が積まれている。 薬師丸は都内一等地にも、かつて玉置と暮らした豪邸を所有しているが、「最近は庭先の手入れもされていないし、めったに姿を見かけない」(近隣住民)という。 東京都心育ちのシティーガールのイメージが強い薬師丸が、なぜ田舎暮らしを選んだのか。地方でのゆったりとしたスローライフの傍らには、そっと寄り添う恋人がいる。「薬師丸さんの恋人は、50代後半のNHKのカメラマンAさんです。2001年に薬師丸さんが出演していたBSドラマ『コウノトリなぜ紅い』の撮影を担当した縁で薬師丸さんと知り合い、ほどなくして東京の彼女の自宅で半同棲するようになったようです。 職人気質の仕事人でありながら温和で優しいAさんは、薬師丸さんのご両親とも良好な関係だそうですよ」(テレビ局関係者) 長らく事実婚の関係にあるA氏とは、近年になって地方移住をしたようだ。地方とはいえ、東京まで車でおよそ2時間。10代から東京でキャリアを積んだ女性が、50代に入って自分らしいゆったりとしたペースで仕事を続けるにはちょうどいい。 地方移住には、もう1つ大きな理由があった。薬師丸の両親がすぐ近くの別荘で暮らしているのだ。「Aさんが薬師丸さんと暮らすようになった頃に、ご両親は別荘地に拠点を移して田舎暮らしを始めました。ひょっとして、玉置さんのときに二世帯同居につまづいたので、娘のために距離を置こうという気持ちがあったのかもしれませんね。 お母さんは高齢で足が悪いので薬師丸さんがしばしば東京から様子を見に行っていましたが、5~6年前にAさんが別荘を購入して、近くに住むようになりました。Aさんも薬師丸さんのご両親の近くに住むことには大賛成だったそうです」(薬師丸を知る関係者) 5~6年前といえば、東北・岩手の三陸海岸の町を舞台にした『あまちゃん』の放送直後。東京生まれ、東京育ちの薬師丸だが、そのドラマをきっかけに地方暮らしのスローライフに親近感を持ったのかもしれない。 ましてや新型コロナに見舞われているいま、薬師丸のような暮らしをうらやましいと感じる女性がとにかく増えている。「都会に住むということに、こんなに大きなリスクがあるとは思いませんでした。リモートで仕事ができる環境も整ってきたし、月に何度か東京に出てくれば充分に仕事は続けられる。住みやすい地方の物件を本気で探しています」(40代フリーランス女性)「田舎で暮らす80代の両親のことが気になるのに、感染症を防ぐため、東京の人は地方に行くことができません。いま倒れられたら、死に目にも会えないのではないかと、気が気でないです。こんなことなら夫の退職を機に、住み慣れた地元に帰っておけばよかった」(60代主婦) 薬師丸は10年以上前のインタビューで、理想の生活についてこう語っていた。「年齢を重ねて、自分がどうやったら居心地がいいのかが、だんだんわかってきたような気がします。先のことをあまり思い煩わずに、淡々と、できれば死ぬまで仕事を続けていきたい。毎日を穏やかに暮らしながら、そこでいただける仕事や、仕事をとおして味わうことのできるドキドキ感が、わたしにとってはご褒美みたいなものなんです」※女性セブン2020年6月25日号
2020.06.11 11:00
女性セブン
抜群の演技力を見せる
朝ドラでも爪痕を残す二階堂ふみ 「感性の化け物」の魅力
 若手の中ではオファーが引きも切らない役者の一人である。朝ドラに舞台を移しても「爪痕」をしっかり残しつつある二階堂ふみ(25)について、作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。 * * * NHK朝ドラ『エール』は、滑り出し頃の子ども時代の描写に比べてずいぶんとコメディタッチが目立つ展開になっています。これを「朝から騒々しい」と避ける視聴者もいるもようですが、単純にそうとも言い切れない。このストレスフルな状況下で、しばしの間、明るいドタバタ喜劇を楽しむことは精神衛生上良い作用があるかもしれません。 ただし、本当の笑いを生むためには、何よりも役者陣の頑張りと才能が問われる。演じる側に少しでも躊躇や迷い、余計な自意識(面白いだろう、という押し付け)があったりすると、視聴者はそれを鋭く感じとり、白けてしまう。それこそナンセンスな振る舞いを、平静な顔で平気の平左でやり切らないと、笑いは湧いてこないはずです。『エール』の出演者を眺めると……男性陣もものすごく頑張っていますが、私が今押したいのは薬師丸ひろ子さんと二階堂ふみさんの母と娘。薬師丸さんの役者としての素晴らしさは前のコラムでも触れましたが、先週注目したのが裕一の妻・関内音役の二階堂ふみさんの存在感です。 怒鳴ってもがなっても、どんなにオーバーアクションをしても「絵になる」。「さまになる」役者だと痛感させられました。二階堂さんの、誰にも似ていない不思議な魅力。その力の根源とは、いったいどこにあるのでしょうか? ●思い切った振り幅 十代でファッションモデルとしてデビューした二階堂さん。凄いのは、25才という若さに似合わずNHK大河ドラマ『平清盛』『軍師官兵衛』『西郷どん』とすでに三本も出演していること。そこで王道の「保守正統派」を歩むのかと思えば、いやいや。ものすごく守備範囲が広いのも、この役者の特徴でしょう。 民放ドラマにも多数出演し記憶に残る演技はいくつもあります。例えば『Woman』(2013年日本テレビ)では満島ひかりの義理の妹・栞を演じ、その情緒不安定ぶりがすごい迫力で視聴者をびっくりさせました。あのとき名前を記憶に刻んだ人も多かったはず。かと思えば、『この世界の片隅に』(2018年TBS)では薄幸の遊女・白木リンをしっとりと悲しく浮き上がらせてみたり。ドラマだけではありません。バラエティにもレギュラー出演。『ゴチになります』に出た動機を「知名度を上げたくて」と語る。その振り幅の広さ、すさまじさすら感じさせてくれます。●透明な器 振り幅の広さとも通じますが、「自分へのこだわりのなさ」「自分に対する距離感」も特筆すべき点でしょう。どんな奇妙な世界にも飛び込んでいけるし、どんな役も成り立たせてしまう。映画『脳男』で眉毛を剃った連続爆弾魔になり、『私の男』では育ての父と男女関係に堕ちていく少女のような遊女のような存在に。『蜜のあわれ』では老作家を翻弄する赤い金魚に。かと思えば、大反響を呼んだ埼玉県自虐ギャグ映画『翔んで埼玉』で金髪おかっぱ姿の壇ノ浦百美という男役を演じ切ったり。先生から娼婦、殺人犯まで演じられるのは、透明な器だからではないでしょうか。●孤独を知っている「友達がひとりもいなかった」と過去を語る。社交的な性格ではなかったそうで「みんなと同じ服というよりは、好きな服が着たい」。孤立と孤独を知っている、だから強い。自分の足でしっかりと立ち、何にも頼らない芯がある。●過去から多くを学んでいる 憧れの俳優を聞かれてブリジット・バルドーや高峰秀子の名前が出てくるあたり、過去作からたくさんのことを学んでいそう。愛読書は室生犀星にハイデガー。役者はすべてが芸の肥やしになる職業です。自分について「ルックスは普通ですよ。芝居に関しては誰にも負けない自信があります」と語る理由もそのあたりにありそう。 大河ドラマで西郷役の鈴木亮平さんから「感性の化け物」と称賛された二階堂さん。実に言い得て妙です。今回、朝ドラといういわば保守本流の本陣の中で、その「感性の化け物」がいったいどれくらい破壊的創造をしてくれるのか。二階堂さんの感性を通してスタンダードナンバーの朝ドラがどう変わっていくのか、今後が楽しみです。
2020.05.04 07:00
NEWSポストセブン
ドラマ評論家の多くが評価
今見たいドラマ『泣くな、はらちゃん』 評論家もマイベストに
 新型コロナの影響で、楽しみにしていた新ドラマの放送も延期となり、悶々とする日々──。そんなあなたの心を満たすため、放送作家の山田美保子さんが「昔といまを見比べる」をテーマに過去の名作ドラマをセレクト。今回は、多くのドラマ評論家をうならせた『泣くな、はらちゃん』を紹介します!【『泣くな、はらちゃん』】・日本テレビ 2013年1月~・出演:長瀬智也・麻生久美子・菅田将暉・薬師丸ひろ子 ほか・主題歌:『リリック』TOKIO・脚本:岡田惠和・あらすじ:かまぼこ工場に勤務する独身女性の越前さん(麻生久美子)はノートに漫画を描くことだけが楽しみ。ある日、漫画の登場人物・はらちゃん(長瀬智也)たちがノートから飛び出して実体化。越前さんが幸せになれば自分たちの世界も明るくなると現実の世界で奮闘するが、いつしかはらちゃんは越前さんに恋心を抱く。以下、山田さんの解説だ。 私が心の中でずっと“追っかけ”をしている脚本家・岡田惠和さんのオリジナル作品。いまはドラマの多くが「原作モノ」であり、やや厳しいことを言わせていただけば、「リライター」というか、それが得意で局側から呼ばれる脚本家さんも少なくないのです。ちなみに、『東京ラブストーリー』で名を上げた坂元裕二さんは、いまはオリジナルにものすごくこだわっていらっしゃいます。で、『泣くな、はらちゃん』ですが、この作品は、特に、イラストも描かれるドラマ評論家のかたの多くが「マイベスト」に挙げる名作です。 ヒロインの麻生久美子サン(41才)が描く漫画の主人公(長瀬智也クン・41才)が実体化して現実の世界に現れて、創造主であるヒロインに恋をするファンタジー。岡田さんが漫画原作者でもあるからこそ誕生した作品と思われます。このとき、麻生サンの弟役が菅田将暉クンで、次クールの『35歳の高校生』へと連続出演し、そこからいっきにスターへの階段を駆け上がっていきました。 実は岡田さんの作品の中で私のベストであり、これまでに「好きなドラマ」と聞かれたら必ず挙げていた『輝く季節の中で』(1995 年・フジテレビ系)について書かせていただこうと思っていたのです。医大のポリクリ(臨床実習課程)で同じグループになった石田ひかりサン(47才)、保阪尚希サン(52才)、中居正広クン(47才)、篠原涼子サン(46才)、井森美幸サン(51才)による青春群像劇の名作中の名作。ですが、「VHSしか出ていない」ということで断念いたしました。 岡田さん作品は『若者のすべて』(1994 年・同)や『ビーチボーイズ』(1997 年・同)、『バンビ~ノ!』(2007 年・日本テレビ系)、さらにはNHK連続テレビ小説(朝ドラ)にも『ちゅらさん』(2001 年)、『おひさま』(2011 年)、『ひよっこ』(2017 年)と、主人公やその周りの人たちを応援したくなる作品だらけ。“追っかけ”なので(笑い)、舞台『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』(2017 年)や、映画『いちごの唄』(2019 年)など、岡田惠和さん脚本と聞けば、もれなく拝見しております。◆構成/山田美保子『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ~テレ)、『アップ!』(同)、『バイキング』(フジテレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。※女性セブン2020年5月7・14日号
2020.05.01 07:00
女性セブン
朝ドラ『エール』で主人公が住む福島の古山家
『エール』、細部まで作り込まれた豊橋の関内家セットを全貌公開
 現在放送中のNHKの連続テレビ小説『エール』。第4週では、古山裕一(窪田正孝)と関内音(二階堂ふみ)が音楽に導かれ、手紙を通して知り合うこととなった…。今作ではセットに対するこだわりがかなりのものだという。主人公・裕一が生まれた古山家のセットもすごいが、音が住む愛知県豊橋市の関内家もまた細部まで作り込まれている。◆ハイカラなインテリアは母・光子の趣味 音の家は、住居スペースと馬具店が隣接。父・安隆(光石研)亡き後も母・光子(薬師丸ひろ子)が商いを続けている『関内馬具店』は、軍に卸す鞍などを製作している。美術チーフの日高一平さんはこう話す。「この時代、どんなふうに馬具を作っていたか不明な部分もあったので、北海道で昔ながらの手法で鞍を作っている馬具工房を取材させてもらいました」 住居部分は、ハイカラな光子のキャラクターが反映されていて、和洋折衷。畳の上に絨毯を敷いた居間には、洋風の置物が飾られていて、その中には馬モチーフのものも。 籐椅子が置かれたサンルームの床をタイル張りにするなど、細部まで作り込まれている。2階は、3姉妹の部屋。8畳ほどの和室をシェアしていて、それぞれ壁や窓を向いて座る配置となっている。 机まわりの小物には性格が反映されていて、おしゃれ好きの長女・吟(松井玲奈)はかわいい雑貨を、文学少女の妹・梅(森七菜)はたくさんの本、そしてサッパリした性格の音はシンプルに。「画面には映らないようなところにまでこだわりました。演じる俳優さんたちが驚いたり喜んでくれると、やりがいを感じますね」(日高さん) 3姉妹の成長と共に変化していく小物も楽しめそうだ。【1階・玄関】 裕一と文通するようになった音は、毎日ポストをのぞくのが日課に。ちなみにこのポストは、馬具の職人が作って子供たちが馬の絵を描いたという裏設定があるとのこと。 玄関に吊してあるのは、豊橋名物の手筒花火。使い終わったものを魔除け・厄除けとして軒下に置く風習があるという。 馬具店と自宅共用の門はレンガ造り。パーゴラに植物をはわせるなど、洋風なエクステリアも取り入れている。音はここを通って学校や歌のレッスンへ。【1階・サンルーム】 レースのカーテンが掛けられたサンルーム。窓からは梅の木と、光子が丹精する花壇が見える。【1階・居間】 食事は座卓で。豊橋名物のちくわは、おかずはもちろんおやつとしてもよく食べる。【1階・台所】 コンパクトだが、当時としては最新式の氷式冷蔵庫があるなど、使い勝手はよさそう。【1階・馬具店作業場】 作業場には、北海道の工房から借り受けた昔の軍馬用や、当時と同じ手法で番組用に作ってもらった鞍が。道具も、実際に作業ができるものが揃っているという。【2階・3姉妹の部屋】 2階には納戸もあり、子供の頃に使った楽器や小さくなった服などを収納。年頃になった音がひとりになりたいとき、こもることも。 仲よく相談したり、時にはケンカしたりと、3姉妹が多くの時を過ごす部屋。ふすまに貼ってある千代紙は、年代によって柄を変えるというこだわりよう。 吟のスペースは女の子らしさいっぱい。当時のファッション雑誌に似せて作ったものなども登場。左の音スペースには、子供の頃に出会った歌手・双浦環(柴咲コウ)からもらったレコードが大切に飾られている。“サブカル女子”梅は、自分の世界を大切にしたいため本棚で囲って半個室のように使っている。妖怪グッズなど、ちょっと変わったものも置いてあるので、目を凝らしてチェック!■イラスト/別府麻衣※女性セブン2020年5月7・14日号
2020.04.28 07:00
女性セブン
番組公式HPより
朝ドラ『エール』の薬師丸ひろ子は「まるでミューズ」の存在感
 こういう時節柄、物語が果たす役割は小さくない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が朝ドラを分析した。 * * * NHK連続テレビ小説『エール』もスタートから1ヶ月近くが経過し、物語の骨子が見えてきました。今回のモデルは作曲家・古関裕而と妻・金子。昭和という激動の時代の中で、全国高等学校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」、阪神タイガース応援歌「六甲おろし」など、広く大衆の心に響く曲を生み出した作曲家と妻の人生が描かれていく。ちなみに男性が主演する朝ドラは6年前の『マッサン』以来です。 作曲家の主人公・古山裕一には窪田正孝、ヒロインで歌手になる夢を追い続ける関内音には二階堂ふみが抜擢されました。いずもインパクトのある人気役者だけに、いったいどんな夫婦像が出現するのか注目です。とはいえ、まだ二人は恋愛関係にまで到達せず、文通しつつ互いの距離を詰めている最中です。 これまでの放送で際立って見えてきたのは、「古山家」と「関内家」という二つの家の「対照」でしょう。 裕一の家・古山家は、福島の由緒ある老舗呉服屋。しかし経営危機に瀕し、父・三郎(唐沢寿明)はやむなく裕一を銀行経営の伯父・茂兵衛(風間杜夫)の養子に出す。茂兵衛は裕一を跡継ぎにするつもりで、裕一の音楽への興味や挑戦する気持ちを全く理解していない。 一方、音の暮らす関内家は馬具製造を手がけてきたが父が急逝し、母と三人姉妹で家業を盛り立てることに。女ばかり四人、明るく自由な雰囲気。特に愛情深くてのびやかな母・光子(薬師丸ひろ子)が、関内家全体を包み込んでいるようです。 まるでミューズのような薬師丸さんの存在感がすごい。父を失い不安に包まれている娘たちに向かって「お父さんはいる。目には見えないけれど、ずっとあなたたちのそばにいる」と力強く断言。あるいは、「歌手になりたい」と夢を語る音に向かって「夢をかなえる人は一握り」と厳しい現実を突きつけて、「あとの人たちは人生に折り合いつけて生きていくの」と冷酷なリアルを語る。そして「私の分も頑張ってね」と娘の背中を押す。「女の子だから~してはいけない」「どうせ女だから~仕方ない」と辛気臭いブレーキなんて一切踏まない。「今は不幸みたいに思えるかもしれんけど、私はあんたたちのおかげで幸せ」とさらりと言う。平凡な母という「今」を肯定できる明るさに、視聴者は救われています。 夢も諦め結婚し平凡に生きてきたが、果たせなかった夢は娘たちに託そう。そんなおおらかさ、肯定感、慈愛に満ちた母を演じる薬師丸さんが、太陽のように温かくて癒やされます。ふっくらとした光子の横顔はまるで観音菩薩かミューズか。 薬師丸さんといえば、やはり朝ドラ『あまちゃん』(2013年)の鈴鹿ひろ美役が思い出されるでしょう。ドラマの中で「潮騒のメモリー」を歌い上げたその瞬間、日本中が「神回」と感動した。のびやかで透明で天へと響くような歌声。ドラマの舞台は東北・北三陸鉄道等で東日本大震災を描く側面もあり、暗くて辛い出来事が思い出されたりしたけれど、薬師丸さんの声を思い出すたびに過酷な現実が浄化されていくようにも感じました。 そして今。コロナ禍で暗く澱んだこの世の中を明るく照らすミューズ。まさしく私たちに「エール」を送ってくれている。 朝ドラ『エール』には、来月もまた注目の場面が出てくるはずです。5月1日から登場予定の故・志村けんさんが、「赤とんぼ」「待ちぼうけ」などで知られる大御所作曲家・山田耕筰をモデルとした小山田耕三を演じるという。日々流れるドラマは人々と寄り添い、時代と併走しながら走っていく。ドラマを見ながら「今」というこの時代を噛みしめることになりそうです。
2020.04.25 16:00
NEWSポストセブン
2020年の芸能界で注目は斉藤由貴ら80年代アイドルの怪優化
2020年の芸能界で注目は斉藤由貴ら80年代アイドルの怪優化
 東京オリンピックが開催されるオリンピックイヤーでもある2020年。芸能界ではどんなことがブームになるのか? コラムニストのペリー荻野さんが独自の視点で分析する。 * * * そんなわけで明けました2020。ここでは今年、テレビでこんなことが起きるかも?ということを考えてみたい。 まず、「ドラマは忘れた頃にやってくる」ということ。昨年末、『ドラゴン桜』続編製作という話が出てきた。『ドラゴン桜』といえば三田紀房の人気漫画を原作に2005年、阿部寛演じる元暴走族のリーダーだった弁護士が、個性的な講師とともにダメ生徒たちを徹底的に指導して、東大合格を目指すというドラマ。独自の勉強法も話題になり、生徒役の新垣結衣や山下智久、小池徹平らがブレイクするきっかけともなった。 今観ると、茶髪にルーズソックス、だれーんとした制服姿の生徒たちの姿に懐かしさを感じるが、阿部寛はほとんど変化してないことに驚く。昨年の『結婚できない男』と同様、ドラマは忘れた頃にやってくるが、阿部寛はいつもそこに同じ顔でいた…。続編では長澤まさみが教師役といわれるが、当然、各芸能事務所一押しの若手を生徒役に推薦しているはず。その顔ぶれに注目だ。 阿部寛とは対照的に大いに変化して今年活躍しそうなのが、80年代デビューのアイドルたち。「怪優化に注目」だ。 年末に放送されたフジテレビの『悪魔の手毬唄』。加藤シゲアキの名探偵金田一耕助第二弾で、かつて金田一を演じた古谷一行との共演も話題になったが、それよりも目立ったのは、それぞれワケアリの娘を抱えた三人の母親たち。斉藤由貴、国生さゆり、有森也実だ。三人に事情を聞こうとしても、フンと鼻であしらわれるシゲアキ金田一。殺された娘の父親の写真がないかと聞けば「そんなもんありゃせん!!」と吹き飛ばされそうになっていた。そりゃそうだ。なんたって元スケバン刑事とおニャン子とキネマの天地なのである。貫禄が違うというものだ。 1966年生まれの斉藤、国生、1967年の有森。アイドル時代をよく知る世代としては、彼女らが母親役で貫禄を見せ、犯人でもないのに妖気を漂わせるというのは、なかなかに感慨深いが、今後、朝ドラの母親役や深夜ドラマの不思議ムードのおばさん役など、活躍の場は広がる。おお、向こうから薬師丸ひろ子(1964年生)が手招きしているではありませんか! かつては飛んだり跳ねたりドラマを軽やかに盛り上げた彼女らが、今や出てくるだけでどっしりと濃厚なキャラに。どんどんドラマを騒がせてほしい。 そしてもうひとつ今年のテレビで注目は、誰が東京オリンピックを盛り上げるか。開催中は各局、オリンピック一色になり、それぞれ独自のサポーターを用意するが、その中で誰が面白くするのか。調べてみれば、前回1964年の東京オリンピックの開会式当日は、日本テレビの司会者が坂本九、TBSにはゲストに石原慎太郎、フジテレビには木下恵介監督、テレビ東京は司会が高橋圭三、有吉佐和子、NETテレビ(テレビ朝日)は、『いだてん』の主役になった金栗四三ほか元五輪選手や森繁久彌、三波春夫らが出演している。渋い。チャラチャラ感ゼロ。この顔ぶれが時代を現しているといっていい。 今大会では、新年早々NHKでオリンピック番組を担当する「嵐」の動き、開催時に各局誰をゲストに招くのか。よくよく記憶しておきたい。
2020.01.02 07:00
NEWSポストセブン
舞台『里見八犬伝』は個性的な俳優が勢揃い(公式HPより)
タッキー、真田広之も 俳優育てる名作『里見八犬伝』
 映画、ドラマ、舞台で繰り返し上演される時代劇は多いが、その1つが『里見八犬伝』だ。この『里見八犬伝』、これまで多くの有名俳優を輩出してきた。その最新作の魅力と、過去の意外な出演者についてコラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。 * * * 明治座で東京凱旋公演中の舞台『里見八犬伝』(12月8日まで)。「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」八つの不思議な光る玉を持つ八犬士が、この世を闇で支配しようとする悪霊集団と熾烈な戦いを繰り広げるというスペクタクルな物語。原作は約200年前に滝沢馬琴が執筆した長編小説『南総里見八犬伝』だ。 なんと江戸時代、馬琴先生が執筆している最中にすでに歌舞伎になったという人気シリーズ。これまでも数多くの映画、ドラマ、舞台作品になってきた。今回の作品では、主役の犬塚信乃を佐野勇人、仲間となる八犬士が犬川荘助(松田凌)、犬田小文吾(岐洲匠)、犬江親兵衛(神尾楓珠)、犬坂毛野(塩野瑛久)、犬村大角(上田堪大)、犬飼現八(結木滉星)、犬山道節(財木琢磨)という顔ぶれ。原作者もワンコ名前八人考えるだけでも大変だったに違いない。 ペリーは70年代にNHKで放送された人形劇『新八犬伝』でこのストーリーを知ったが、こども心に「毛野って…」と名前だけですっかりケノファンになってしまった。ちなみに毛野は、美貌の女芸人なので女装して登場。塩野も魅惑のメイクで現れる。毛野だけじゃない。レッドやブルーと明確な色分けはしていないものの、八人は「仁」「義」と持つ玉の意味に合わせて個性がはっきりしている。また、敵は全員悪霊とはいえ、頂点に女親玉の玉梓(白羽ゆり)がいて、その下に武将幹部ふたり、そして戦闘員と組織ができている。世界を守るために若者が悪の組織に立ち向かうというこの展開。これはまさに200年前に生まれた戦隊ヒーローだ。 八犬士は、とにかく出てくるたびに大立ち回りの連続。岩山や洞窟など起伏が激しい舞台装置の上り下りだけでも大変だが、加えて武器も刀やら槍やら、棒、斧を持つ者もいたりしての大暴れである。聞けば、殺陣は初めての佐野勇人は稽古を半年以上続けたという。佐野勇人といえば、映画『ちはやふる-結び-』や『小さな恋のうた』、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』など学園と女子がらみの作品の印象が強いが、信乃はまるで別人だ。 1983年の映画『里見八犬伝』では、八犬士親兵衛(真田広之)とヒロインの姫(薬師丸ひろ子)のラブストーリーとおどろおどろしい悪霊(恐るべき夏木マリ)にすっかり目を奪われそうになったが、犬塚信乃はこの後に必殺シリーズでブイブイ言わせることになる京本政樹が演じていた。2006年のドラマ『里見八犬伝』の信乃は、前の年に大河ドラマ『義経』に主演したばかりの滝沢秀明だった。かつては新人時代にドラマや映画で時代劇を経験し、キャリアを積んで大御所になるケースも多かったが、近年、舞台で初時代劇という出演者も増えている。なお初演より演出は1983年映画版の深作欣二監督の息子・深作健太。舞台では父と息子の葛藤も描かれ、作品との縁の深さを感じる。今回の八人は、かなりのチャンバラ好きになったと見た。『南総里見八犬伝』はさまざまに形を変えつつ、令和の今も俳優を育てている。名前は馬だけどワンコヒーローを考えてくれた馬琴先生に感謝!
2019.12.04 07:00
NEWSポストセブン
のん、香取慎吾も NHKが独立芸能人を積極起用する背景
のん、香取慎吾も NHKが独立芸能人を積極起用する背景
「やっとテレビで見られた!」──朝ドラ『あまちゃん』(2013年放送)でブレイクしてから6年、久しぶりに能年玲奈こと「のん」(26)がNHKに“カムバック”し、ファンを歓喜させている。 のんは主演声優を務めたアニメ映画『この世界の片隅に』が8月3日にNHKで放送されたのに続き、翌週10日には『#あちこちのすずさん』という映画の関連番組に出演した。 これがテレビ界に衝撃を与えている。というのも、のんは『あまちゃん』でブレイクした後、所属契約を巡って事務所と対立、独立後はCMを除けばテレビ出演がほぼない状態が続いていた。最近になってのんのマネジメント会社が、「テレビ局の若手から出演のオファーが来ても、上層部によって潰されることが繰り返されてきた」と声明を出したほどだ。 それがここに来て2週続けてのNHK出演。いったい何があったのか。「NHKは公正取引委員会が元SMAP3人の出演に圧力をかけた疑いでジャニーズ事務所に注意したことを報じるなど、独立した芸能人の出演問題に関心が高い。 その後、元SMAPの香取慎吾が萩本欽一の『欽ちゃんのアドリブで笑(ショー)』(NHK BSプレミアム、8月18日放送)に出演することが発表されるなど、民放と違い独立したタレントを積極的に起用しようとしている。のんの出演もその流れではないか」(芸能関係者) そうなればやはり期待されるのが、のんのドラマ出演である。芸能評論家の三杉武氏はこう話す。「NHKでドラマ復帰となれば、やはり大河ドラマ『いだてん』でしょう。『あまちゃん』を手がけた宮藤官九郎の脚本で、橋本愛、小泉今日子、薬師丸ひろ子と、のんを除く主要キャストは軒並み出演している。すでに撮影は大詰めですが、最終回の1回限りでもいいからサプライズ出演を期待したい」 大河ドラマのワースト視聴率を更新している『いだてん』だが、のんの出演が大逆転の“ラストスパート”となるか。※週刊ポスト2019年8月30日号
2019.08.19 16:00
週刊ポスト

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