ゴミ屋敷一覧

【ゴミ屋敷】に関するニュースを集めたページです。

特殊清掃人が語る孤独死した部屋の特徴「ゴミはあるのに生活必需品がない」
特殊清掃人が語る孤独死した部屋の特徴「ゴミはあるのに生活必需品がない」
「特殊清掃」という仕事をご存じだろうか。さまざまな理由で住人が亡くなり、発見されぬまま長時間が経過した住居の原状回復を行う仕事だ。一部の特殊清掃業者は、コロナ禍になってから依頼が5倍も増えたと報じられている。 こうした清掃現場には、ある特徴があるという。特殊清掃業者・こころテラス東海代表の香川浩司さんが語る。「ワンルームから一戸建てまで依頼はさまざまですが、賃貸アパートに関していうと“ものがない”ケースが珍しくない。片づいているという意味ではなく、ゴミは部屋に散乱しているけれど、生活に必要な家具や衣類が必要最小限しかない状態です。 主には、高齢の生活困窮者で、食生活含めその生活環境はいいとはいえません。さらに、その生活困窮者がコロナによりよけいに社会から孤立する結果となり、孤独死をしてもなかなか発見されにくい状態になっているように思います。 私たちが清掃に入るのは警察の検視が終わって遺体が運び出された後なので、あくまで残された状況からの推測ですが、若くても日頃の食生活が悪く、カップラーメンやコンビニ弁当などのゴミが大量にある場合が見られます。基本的に食生活が偏っているので、知らず知らずに体を壊し、心筋梗塞や脳梗塞などの突然死で亡くなっているケースも多いように思います」 同じく、特殊清掃業者のリスクベネフィット代表の惟村徹さんは、こう指摘する。「7割近くがトイレの中やその出口、お風呂の脱衣所周辺で亡くなっている。食生活が乱れて血管が弱っている人が、寒暖差によってヒートショックを起こして亡くなるのでしょう。“孤独死”と聞くと高齢者をイメージするかもしれませんが、若者の単身世帯が増加傾向にあります」 貧困層ではなく、大手企業に勤める独身ビジネスマンの孤独死も近年は増えている。都会の単身者の遺体は、死亡して1、2か月後に発見されることも珍しくないが、そこには驚愕の光景があるという。「長い時間が経っていても、コンビニ弁当やカップラーメンは腐っていないことが多いんです。これが食べ物なのかと驚くような蛍光色に変色していることもあります。単身者の部屋の場合、キッチン周辺がゴミであふれてきたら危険サインだと肝に銘じてほしい」(惟村さん) 離れて暮らす子供がいるならば、キッチンの写真を撮って送るようにいますぐ連絡しよう。※女性セブン2022年2月10日号
2022.01.31 11:00
女性セブン
『科捜研の女』、長年愛される背景にサブタイトルの妙 時事ネタも多数
『科捜研の女』、長年愛される背景にサブタイトルの妙 時事ネタも多数
 今年で放送開始22年目となり、9月3日から劇場版も公開される『科捜研の女』(テレビ朝日系)。長寿作品となるほどの人気の理由とは? コラムニストのペリー荻野さんはサブタイトルに注目。その背景を解説する。 * * * いつかこんな日が来ると願っていた!とファンを喜ばせている『科捜研の女』初の劇場版。私も1999年のシリーズスタート以来、二十余年、ずっと見続けているおかげで、「下足痕(げそこん)」「口唇紋」といった言葉にもすっかり慣れ、うっかり日常会話にも出してしまいそうな勢いである。 今回の劇場版では、「世界同時多発 科学者不審死」という難事件に主人公の榊マリコ(沢口靖子)と科捜研の面々、そして京都府警の土門(内藤剛志)が挑む。捜査の過程で未知の細菌、近未来的な実験室でニコニコしながら目が笑ってない天才科学者・加賀野(佐々木蔵之介)が現れるが、なかなか真相にたどり着けない。なにしろ、加賀野には鉄壁のアリバイがあるし、無表情のまま口だけで話す佐々木蔵之介はとっても怖いのである。 そこで登場するのが、シリーズ「歴代レギュラー」だ。マリコの父で前・科捜研所長の伊知郎(小野武彦)、 元上司佐久間(田中健)はじめ、元夫倉持(渡辺いっけい)、かつて彼女に片思いした解剖医・佐沢(野村宏伸)、カナダで研究員となった相馬(長田成哉)らが助っ人として登場。彼らはマリコに無茶ぶりされつつも、全力で助けるのである。 みんなに愛される『科捜研の女』。その人気の秘密は、いろいろある。最先端の科学捜査、科捜研のチームワーク、科学者としては優秀だが、どこかとぼけたところもあるマリコのキャラ、土門とマリコの気になる間柄などなど、中で見逃せないのが、視聴者の心をわしづかみする「タイトル」の妙技だ。  記念すべきシリーズ第一話のタイトルは「声紋は語る! 京都大文字の夜 謎の女が…」だった。このタイトルで舞台が京都であることを示し、末尾の「…」に余韻が感じられる。 その後、巷で話題のキーワードも取り入れられるようになる。意外なモノとの事件が関連することもしばしば。シーズン2の2話は「記憶を失くした目撃者 チョコアイスが見た殺人」だったし、「顔も見ずに顔認証!?寝不足のクマが暴いた女刑事の嘘」という話もあった。まさか、クマが…。 時事ネタも多く、「美人すぎる〇〇」が話題になると「美人すぎる中居殺人 残された灰の謎!? 広報警官の闇!漏洩した捜査情報!!」(シーズン13)、リケジョの活躍が注目されると「欲望の殺人実験室!リケジョと裏金の陰謀 鑑定不能の粉末血痕」(シーズン14)、ゴミ屋敷問題にも着目「ゴミ屋敷殺人事件! 多すぎる証拠品~執念の手科学鑑定の果てに」(シーズン15)、特技もすごい「必殺シミ抜き名人の裏技鑑定!自在に色が変わる高級着物の謎」(シーズン15)、他にも「マリコ決死のヤミ鍋鑑定! 誕生日に殺された美女の謎」(シーズン16)「京都民泊おもてなし殺人!? マリコのお泊りグッズ鑑定」(シーズン17)などなど、どんなことも事件につながり、マリコに鑑定されるものなのだと感心する。「宇宙から来た凶器!? 巨大なバラと回転する遺体の謎!!」(シーズン17)宇宙とバラと回転。もはや何がなんだかわからないが、とにかく「見なくちゃ」「見逃せない」という気持ちになる。 劇場版にはサブタイトルはなし。それだけに余計気になるという作戦かも。さすがだ。
2021.09.02 07:00
NEWSポストセブン
ホールケーキ完食強制も…毒親に育てられた東大卒マンガ家の壮絶体験
ホールケーキ完食強制も…毒親に育てられた東大卒マンガ家の壮絶体験
 毒親(toxic parents)──暴言や暴力、過干渉などで子供を傷つけたり思い通りに支配したりして、「毒」となる親をこう呼ぶ。近年は毒親という言葉や概念が普及したこともあり、「私は毒親に育てられた」という子世代の告白とともに、「私は毒親だったのかも」という親世代の気づきが目立つようになった。 その毒親に育てられたのが、半自伝的マンガ『汚部屋そだちの東大生』(ぶんか社刊)の著者であるハミ山クリニカ氏だ。「母は他の毒親マンガに出てくるように子供を殴ったりすることはあまりなく、見た目はキレイな人で、私は小さい頃は“自分も大きくなったらお母さんみたいになれるかな”と思っていました。でも一方で彼女は私のあらゆる行動に干渉して、私の人生の方向をすべて決めていたんです」(ハミ山氏・以下同) 小学校の頃、ハミ山氏の学校の課題や自由研究などは母親が手直しすることがあった。その“作品”で賞をもらうと、母親はいつもお祝いとしてホールのチョコレートケーキを買ってきた。だがハミ山氏はチョコレートケーキが苦手だった。「食べるのを嫌がると母親は、『あなたのせいでゴミになっちゃった』とケーキを丸ごとゴミ箱に捨てました。当時の母親は文化的な素養はあるけど趣味がなく、日常生活で会話する相手は私だけで、喜怒哀楽の感情は全部私にかかわることでした。 私は怒られたり小言を言われたりするたびに早く終わってほしいから、とりあえず『ごめんなさい』と言うようになった。そうするうちに物事を考えることが面倒になり、母の言いなりになって何も考えない子供になっていきました」 ハミ山氏が中学生になった頃から母親は、母娘がふたりで暮らす自宅を掃除しなくなった。見かねたハミ山さんが「ゴミを片付けないとどんどん散らかるよ」と言っても、母は「やっといて」と答えるのみで、自宅はどんどんゴミ屋敷と化していった。 床に大量のモノが山積みになり、トイレが壊れて水が流れず、無数のゴキブリがキッチンをはい回るなど、強烈な暮らしぶりは『汚部屋そだちの東大生』で細かく再現されている。「母は思考を放棄している感じがありました。よく物語で花柄のひらひらの洋服を着たおばあちゃんが出てくるけど、ああいう感じで母の周囲だけ時間が止まっているんです。彼女の中では私は15歳になっても20歳になってもずっと3歳くらいのままだったのでしょう。 私も母と同じように思考を放棄していたので、ゴミ屋敷で自我のないふたりが暮らしている状態でした。この先も何も変わることなく、母とずっと一緒に過ごすのだろうという諦めに似た気持ちがあり、何度新年を迎えても新しいことにチャレンジする気にならなかった。だから私は、お正月がおめでたいと思ったことはありませんでした」 息の詰まるような母娘の生活の中でハミ山氏が許されていたのは勉強だけだった。母親は「東大受かるから、受けてね」と当然のように東大進学を娘に要求し、もともと勉強のできたハミ山氏はその期待通りに努力を重ねて、合格した。 しかし、東大進学後も束縛は続いた。 母親はハミ山氏の携帯電話や手帳を勝手に見ることもあった。成人になっても外泊は許されず、大学の歓送迎会や飲み会にも気軽に参加できなかった。ごくたまにハミ山氏が夜8時を過ぎて帰宅すると、母親は「こんなに遅くまで出歩くなんて正気の沙汰ではない」と叱責した。「その頃はまだ『ウチって過保護なんだな』くらいにしか思っていませんでした。今から振り返れば、私は子供の頃から母が何でもしてくれたから、自分は何もしなくてよくて楽だった。進路すら母が決めて、自分は何も考えなくていいから甘えていたんです。母は私に乗っかっていたし、私も母に乗っかっていたということで、結局のところ、私も母を利用していたのでしょう」 そんなハミ山氏が母親との関係の歪さに気づき、新しい生活を切り開くための一歩を踏み出したのは、東大を卒業して社会人になって2年目だった。「大きなきっかけになったのは、初任給でした。同僚は『何に使う?』と話していましたが、私は学生時代のバイトの時から働いてもらったお金はすべて母に渡し、社会人になってからは通帳も託していたので、自分の給料はいくらかすら知らなかった。それに昔からいらないものまで母に買い与えられて自分のお金で買い物をしたことがあまりなく、欲しいものがなかった。だから初任給の使い道をあれこれ話す同僚の会話が理解できませんでした。 そのことを周囲に話すと、『それは変だ』と指摘され、“やっぱり私は何かおかしいのかな”と思うようになった。その後に友人から『家を出ないとダメだ』と諭され、『家を出るのは難しいんだ』と返すと、友人は『家を借りてしまえば良い』と言って賃貸の物件探しを付き合ってくれました。それで実際に家を借りることになったんです」 部屋を借りてから少しずつ荷物を運び出していたハミ山氏は、ある日、置き手紙を残して実家のゴミ屋敷から“家出”した。荒療治かもしれないが、母親との関係を断ち切り、自分の心を取り戻すには、他に手段がなかったとハミ山氏は語る。「複雑な思いを抱きながらも、親のことを好きな子供は多いと思います。実際に私も母のことを好きでしたから。でもずっと親と一緒にいると互いに依存するようになってしまう。その関係性の中で事態が良い方向に進展していくことはなく、何年も何十年も閉塞的な状態が続くはずです。だから子供の人生を親が阻害するような場合は、親に悪いなと思っても、勇気を奮って切り離さないといけない。私にとって、その第一段階は家を出ることでした」 念願のひとり暮らしを始めたハミ山氏はあらゆる経験を新鮮に感じ、「何かを自分で選ぶ」という喜びを知った。壊れたトイレを使うごとに水をタンクに入れて流し、土足で家に上がることが日常だったハミ山氏は実社会でいろいろな苦労をしながらも母と離れた生活を楽しんだ。そんな彼女は数年前に結婚して、いまは子供もいる。「やっぱり子供を産む前は、『自分の母親のようになるのではないか』という不安がすごくありました。出産後も子供に手をあげてしまったらどうしようといった恐怖がありましたが、いまは私と母親の関係と、私と子供の関係は全然違うんだと思えます。『子供を東大に行かせたいか?』ってよく聞かれますが、学歴が高くなるよりも心が健康な子に育ってほしいですね」 母親のもとを離れたハミ山氏が新しく始めたもののひとつがマンガを描くことだ。2015年に単行本化された『心の穴太郎』に続いて、社会人として働き、子育てをしながら『汚部屋そだちの東大生』を描き上げた。 読者からは、「これまで自分のわがままでつらいと思っていたけど、このマンガを読んだら同じような経験が描いてあって、自分の家に問題があったことがわかった」「つらい状況から脱出できることに勇気づけられる」といった反響が続々と寄せられているという。 最後にハミ山氏がマンガの読者にメッセージを送る。「同じような経験をした人があまりつらくなり過ぎないように、マンガはマイルドに描いたつもりです。東大生は周囲から『頭がいいんでしょ』と言われるけど、たとえ学歴があっても、みんなが普通にできることが普通にできるまでには、本当につらくて苦しい経験をすることがあります。マンガを通して、そうした“普通の難しさ”も伝えられれば嬉しいです」
2021.05.26 19:00
NEWSポストセブン
実家に座布団40枚!? モノを捨てられない老親と対峙する子の苦悩
実家に座布団40枚!? モノを捨てられない老親と対峙する子の苦悩
 高齢の親が住む実家。モノを捨てないうえに、帰る度にモノが増えている――。そんな“片づけられない親”に頭を抱える人は多い。親にとっては「もったいない」という価値観や思い出があるモノでも、子にとっては不要品と感じるモノもある。なかなかモノを捨ててくれない親にどう対峙しているのか。 30代の男性会社員・Aさんは、60代の一人暮らしの母親が実家から公営住宅に引っ越した。狭くなったせいもあり、モノにあふれていると嘆く。「僕ら子どもが独立し、父が亡くなったこともあり、母は実家から公営住宅に引っ越しました。その時に、僕らがある程度は荷物を処分したのですが、それでも母の反対で捨てきれなかったモノも多く、引っ越し先にモノがあふれることに」(Aさん) Aさんは処分するかどうか迷った荷物は「とりあえず」引っ越し先に収納し、その後に片づけるという認識だったが、今思えばその考え方は「甘かった」と振り返る。「部屋が狭くなった分、モノを減らさなければならないのは当然ですが、母はその認識が低い。父の遺品や僕たちの子ども時代の写真、賞状、絵など、捨てられずに大量に保管していました。これらは可能な限りデジタル化すればいいとは思いますが、捨てられなくて仕方ないと思う側面もあります。でも、数十年前のホテルのアメニティやポケットテッシュ、父が勤めていた会社名が入ったカレンダーやタオルは、もう捨てていいのでは」(Aさん) 50代の主婦・Bさんは、80代の母親が住む実家が“プチゴミ屋敷”状態になっていたと語る。介護施設への入所が決まり、片づけなければならなかったが、気が重かったという。「ちょっとしたゴミ屋敷状態。カビ臭い年代物の服、年号が昭和や平成の新聞やチラシ、大量の紙袋、開けていないお中元など、出るわ出るわ……。昔出席した結婚式の引き出物で、角砂糖とかフォークセットなんかもたくさん出てきました。角砂糖は変にバラの装飾がしてあって、使うのがもったいなかったようです。フォークは、小さいケーキ用のフォークとスプーンのセットですが、10セットくらいあって、もう絶対使わない。他にも、絶対いらないマーガリンやヨーグルトの容器、アメや緑茶の缶などを取って置くクセがあるみたいでうんざりでした」(Bさん) なかでもBさんが一番驚いたのは、母が1つのモノを大量に所持している違和感に気づかないところだったと話す。「ホチキスが20個、ハサミは15本、ラジカセ4台、座布団40枚くらい、マッサージ機3台、そして、極めつけは、一人暮らしではありえない大量の食器と鍋の多さ……。母に聞くと、その都度『必要だと思い買ってしまう』とのこと。100円均一ショップが好きで、行く度に買ってきているようです。捨てようとすると『もったいない。いつか必要になる時が来る』の一点張り。結局、母が施設に移ってから徹底的に処理したら、軽トラック3台分でした」(Bさん)◆かつての子供部屋が物置に 70代の両親が住む実家の片づけに悩んだ40代の男性会社員・Cさんは、親に「捨てて!」「いらないから捨てるべき!」といった言葉が逆効果になると気づいたという。ではどんな言葉をかけたのか。「『捨てて欲しい』と言うと、『もったいないから』『必要な時が来る』という言葉を返されて不機嫌になるだけでした。だから、私から『これ欲しいんだけどもらっていいかな?』『必要だから少し分けてほしい』みたいな言い方をするようにしました。すると、『それなら……』といった感じでこちらに預けてくれる。例えば、古い新聞紙やチラシ、キッチングッズ、空き容器などを持ち帰り、自分の家で処分。最近は地道にそういう活動を続けています」(Cさん) 40代の主婦・Dさんも、「実家はモノが多すぎる」と嘆く。「親は70代後半。これくらいの世代って、家を買うことを目標に働いていて、何かとモノを持っていた世代なのではないでしょうか。モノを持つことがステイタス、みたいな。うちは田舎なので、無駄にだだっ広い6LDKの一戸建て。子供たちがいた間は良かったんですが、今となってはかつての子供部屋が物置と化しています。 父親が、とにかくネットでいろいろ買うんですよね。先日もなんとか焼きの骨董品とか、高圧洗浄機とかが増えていました。箱をどんどん積み上げていくので、昔のモノも捨てられない。とりあえず、自分のモノだけは自分に発言権があると思って、学習机と子供の頃集めた漫画を『使うから』『読むから』などと言って引き上げ、処分しました。でも、親のモノは本当に頭が痛いです。亡くなったら、自動的にそれらも消えてなくなると思っているのでしょうか……」(Dさん) 多くの人にとって、避けては通れない実家の片づけ問題。モノを多く所有する親世代の価値観に向き合う必要がありそうだ。
2020.11.05 15:00
マネーポストWEB
特殊清掃員が見た孤独死現場 40~60代の一人暮らしのリスク
特殊清掃員が見た孤独死現場 40~60代の一人暮らしのリスク
 東京都監察医務院の調査によると、東京23区内で、65才以上のひとり暮らしの高齢者が自宅で亡くなったケースは、2002年が1364件だったのに対し、2019年は3882件と、約3倍にも増加している。ひとりのときに自宅で死ぬことの大きな問題は、遺体の発見が遅れる点にある。日が経つほど腐敗が進むからだ。 清掃会社『まごのて』代表取締役の佐々木久史さんはこう語る。「当社では年間約1000件以上の清掃業務を行っています。特殊清掃を始めた当初は年間で数十件ほどの依頼でしたが、いまは業務全体の約2割が孤独死の案件です。孤独死が増えていることを実感しています」  佐々木さんによれば、孤独死の現場に特徴的な共通性はないという。よくイメージされるようなゴミ屋敷とは限らず、きれいに片づいた部屋も少なくない。男女比は8:2で、高級マンションから低家賃のアパートまで、現場は多種多様。さらに言えば、ひとり暮らしとも限らないという。  家族と同居していたのに関係が薄く、自室で亡くなっていたのに、数日間家族に気づかれなかった例もあるからだ。つまり、結婚していようが子供がいようが、ひとり暮らしであろうがなかろうが、誰もがひとりで死ぬ可能性がある。 「われわれが呼ばれるような現場は、実は、後期高齢者のかたが亡くなった部屋は少ないんです。高齢者はデイサービスなどを受けているケースが多く、自宅に来てくれる人がいるので、ひとりで亡くなっても数日以内に発見される可能性が高い。問題になるケースが多いのは、40~60代のひとり暮らし。現役世代のため、デイサービスなどを使うこともなく、亡くなってもしばらく気づかれないんです」  孤独死とは、たまたまひとりで死んだだけのことであり、それ自体は不幸ではないと、佐々木さんは考えている。 「多くの現場を見てきて思うのは、腐敗するまで見つけられないような死に方は、幸福だったとはいえない、ということ。“誰にも看取られずに死ぬ”ということ自体は、不可抗力だったり、自分でそういう生き方を選んだのだから、幸不幸では語れません。しかし、“見つけてもらえない”のはまた意味が違うと思います」  ひとり暮らしの場合、亡くなってから一両日中には見つけてもらうように、準備をしておくことが大切だという。 「あるひとり暮らしのかたは、あえて新聞を購読し続けていました。玄関に新聞がたまっていたら、何かあったというサインになるから、と。そういう備えは必要だと思います」  いつ、何が起こるかわからないのが人生。特にひとり暮らしなら、死んだ後について、考えなくてはならない。それこそ、幸せな最期を迎えるために、必要なことなのだ。 ※女性セブン2020年4月23日号
2020.04.19 07:00
マネーポストWEB
認知症の母の症状を好転させた思い出や大切な物との決別
認知症の母の症状を好転させた思い出や大切な物との決別
 父が急死したことで、認知症を患う母(84才)を支える立場となった女性セブンのN記者(55才・女性)が、母の介護を通して学んだことを綴る。 * * * 終活という言葉が流行り始めた年に父が急死し、人生が急展開した母には“終活しよう”などという意識はまるでない。だがその後、認知症に翻弄されつつ母がたどった道のりや選択は、来たるべき私の終活のよき手本となっている。“終活”に正式な定義はないらしいが、家の片づけ、葬儀や墓、相続、最近では終末期医療についての意思を確認しておく“人生会議”も新たな項目だろう。 しかし、母の場合は終活どころではなかった。なにしろ“終活”が新語・流行語大賞の候補に挙がった2012年に父が急死。ひとりになった母は、認知症が一気に激化し、物盗られ妄想と暴言にまみれ、家の中もみるみるゴミ屋敷に。超高齢社会の泥沼へと、自ら飛び込んでしまったのだ。 昨年末に人生会議が話題になった時には、一応、取材のつもりで聞いてみた。「もしこの先、重い病気になって、胃ろうや人工呼吸器をどうしますかって言われたら、ママはどうしたい?」「痛いのは嫌ね…」「いや、そうじゃなくて」と、命にかかわる選択をどうするか、素人なりに説明も試みたが、「…わからないから、悪いけどNちゃんに任せるわ」と、横を向いた。 認知症のせいか性格のせいかはわからないが、自分のことでも“決められない”ということがあるものだ。ここは万一の時、私が母に代わって決断できるよう、母に伴走するしかないのだ。◆思い出や大切な物との決別。それが人生を好転させた 母が9人きょうだいの大家族の中で育ったのが人生の第1章なら、父と結婚して私を産み育てた日々が第2、私が独立し父とふたりの生活が第3、そして父の死後、人生初の独居になったのが人生の第4章といえる。 こう振り返ると第4章は最悪のスタートだったが、この7年の間に母の人生は大好転したと思える。契機になったのは、第3章までの70数年間にため込まれた、大量の大切な品々との決別だろう。 ゴミ屋敷の中で認知症が激化し、激やせした母に、私が手をこまねいていたのは、“高齢者には住み慣れた家がいちばん”という思い込みがあったからだ。ましてや老人ホームを提案するなど、きっと逆上されると恐れていた。 でもついに限界を感じて、「引っ越す?…老人ホームとか」と恐る恐る切り出すと、「そうね! そうしよう」と元気に即答。 そこから施設数軒を一緒に見学して歩き、最終的に老人ホームにダメ出しをして、自由度の高いサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を選んだ。3LDKの家に詰まった物は、「全部いらない。Nちゃん捨てといて」。私への遠慮や躊躇はみじんも感じさせない、潔い意思表示だった。 驚いたのはその後、必要最低限の品だけ持って引っ越したワンルームのサ高住で、母が見事に再生したことだ。認知症のつらい妄想や暴言はピタリとやみ、部屋はもともとの母らしく、いつもきちんと片づいているようになった。「頭がすっきりして認知症も治ったわ」という、母の実感も本物だろう。記憶障害は相変わらず進行中だが、表情は身軽になって晴れやかだ。 一方の私は転居前の母の家を片づけるため、大変な重労働を強いられたが、この母の再生劇は50代の私の終活のいい手本だ。物であふれる自宅を顧みて、しみじみ思った。※女性セブン2019年12月19日号
2019.12.15 16:00
マネーポストWEB
住宅弱者のサポートを!元厚労省 村木厚子さんら全国組織を設立
住宅弱者のサポートを!元厚労省 村木厚子さんら全国組織を設立
「一般社団法人全国居住支援法人協議会」が設立された。といわれてもよく分からない人が多いだろう。住まいに困っている人を支援しようという団体なのだが、その呼びかけ人が元厚生労働事務次官の村木厚子さんやホームレス支援などで知られる奥田知志さんという、実践的な方々なのだ。どういった団体なのか、直接お二人に伺ってきた。「一般社団法人全国居住支援法人協議会(以下、全居協)」とは、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律(以下、改正住宅セーフティネット法)」で指定された「住宅確保要配慮者居住支援法人(以下、居住支援法人)」による全国組織となる。これでは分からないと思うので、もっとわ分かりやすく説明しよう。賃貸住宅の入居が難しい人たちの居住を支援する団体を組織化賃貸住宅を借りようとする場合、家賃滞納の可能性が高いとか、孤独死の危険性があるといった理由から、入居を受け入れてもらえない人たちがいる。低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯などとされ、総称して「住宅確保要配慮者」と呼ばれており、その数は増え続けている。こうした人たちの住宅として、かつては公的住宅が受け皿となっていた。ところが、家余りの今は、これ以上たくさん公的住宅を造る状況ではないため、政府は民間の住宅を活用しようと考え、住宅セーフティネット法を改正し、以下の施策を設けた。・住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度を設ける・登録住宅の改修費用や入居者の家賃などに経済的な支援をする・住宅確保要配慮者に対する居住支援の活動をする団体を「(住宅確保要配慮者)居住支援法人」に指定し、後押しをする国土交通省の資料より転載この「居住支援法人」は、2019年5月6日時点で38都道府県213法人が指定され、賃貸住宅への入居にかかわる情報提供や相談、見守りなどの生活支援、登録住宅の入居者への家賃債務保証などの業務を行っている。国土交通省の資料より転載この居住支援法人の全国組織が、今回設立された「全居協(ぜんきょきょう)」だ。全国組織の呼びかけ人のユニークさに注目全居協の設立に注目した理由は、その呼びかけ人の存在にある。呼びかけ人は、元厚生労働事務次官・津田塾大学客員教授の村木厚子さん、全国賃貸住宅経営者協会連合会会長・三好不動産社長の三好修さん、生活困窮者全国ネットワーク共同代表・NPO法人抱樸理事長の奥田知志さんだ。村木厚子さんといえば、厚生労働省で数少ない女性局長として活躍していたとき、郵便料金の割引制度の不正利用に関して虚偽有印公文書作成・行使の容疑で逮捕・起訴され、164日間も拘置所に留め置かれ、その後、無罪が確定した、という経歴の持ち主だ。村木厚子さん/生活に困っている人たちには共通の課題があります(写真撮影/内海明啓)一方、奥田知志さんは、30年以上続くホームレスの支援などで知られている人だ。こうしたユニークな人たちが呼びかけ人となっているからには、“法律ができたのでとりあえず全国組織をつくりました”といった、絵に描いた餅の団体ではないだろうと興味を持って、お二人に話を伺うことにした。奥田知志さん/好んでホームレスになっている人はいません。必ず理由があります(写真撮影/内海明啓)まず、村木さんだが、当初は労働省で障害者雇用に取り組んできた労働畑の出身だった。中央省庁再編で厚生労働省になった際、旧厚生省と旧労働省の交流人事として、障害者福祉の担当課長に任命され、そのまま児童福祉など福祉畑に留まることになる。そして、あの冤罪事件に巻き込まれる。拘置所を出たのち、生活困窮者対策の担当になると、生活に困窮する背景には、拘置所にいた人たちと同じような共通の課題があることが分かった。退官後の今も、生活に困っている人への支援を続けている。また奥田さんの場合、牧師として北九州市八幡の教会に赴任したときが、かつて街を活気づかせた炭鉱の閉山や製鉄所の縮小などにより街の活力がなくなり、野宿者が増えだしたころに当たった。彼らの支援を始めたのが原点となり、ホームレスへの炊き出しや自立支援などのボランティアを行うNPO法人抱樸(ほうぼく)を立ち上げる。現在、設立から31年目を迎え、今では半年間の自立プログラムで、9割を超える人が自立できるようになっているという。「住宅」ではなく「居住」を支援するという意味お二人とも、生活困窮者には「ハード+ソフト」の支援が必要だと口をそろえる。奥田さんには、印象深い事例があるという。最初に支援したホームレスの事例だ。活動開始当時は、野宿している人には住所がないので、生活保護も受けることができない。そこで、アパートを借りられるようにして、生活保護の受給もできるようにした。これで自立支援が終わったと思っていたら、実際には問題の解決にならなかったというのだ。その後アパートを誰も訪れていなかったら、半年後に近隣から異臭の苦情が出た。訪れてみると、部屋はゴミ屋敷と化し、電気などのライフラインも止まっていた。(画像/PIXTA)奥田さんは「経済的困窮を解消するだけでは不十分で、社会的孤立の解消も必要」と痛感したという。困窮している人の中には精神的な障害があったり自立した生活を送れなかったりする人もいるので、見守ってくれる人、サポートしてくれる人の存在も必要だ。つまり彼らに支援するのは「ハウス」ではなく「ホーム」だと。村木さんも今回、名称に「住宅」ではなく「居住」を使っていることがポイントだという。児童養護施設を出た後の子ども、刑務所を出た後の人たちが、立ち直ったかのように見えても元に戻ってしまうことがある。その理由は、例えば、児童施設で育つ子どもは、決められた献立の食事を日々提供されていて、家庭では当たり前の「明日何を食べたいか」聞かれたこともなければ、前日の残り物を食べたこともない生活をおくっている。皆で守るルールしか知らず、自分なりの楽しみを見つけたり、周囲の人と折り合いをつけたりする経験が不足しているのだ。したがって、地域の人たちとのつながりのある生活をとり戻し、そのネットワークに組み込まれるようにすることが重要なのだ。それには、住む場所(ハード)だけでなくそこに暮らす人への支援(ソフト)が必要だという。村木厚子さん/困っている人たちの尊厳や人生を大切にしたいんです(写真撮影/内海明啓)奥田さんも、家族の機能を社会化することの重要性を語る。従来の日本の社会保障制度は、企業と家族が支える仕組みになっていたが、雇用システムも変われば家族も脆弱化して、人を支える仕組みが崩れてしまった。これまで家族が担ってきた機能をいかに社会が担えるかが、支援のカギになるという。奥田知志さん/「ハウスレス」ではなく「ホームレス」なんです(写真撮影/内海明啓)国土交通省、厚生労働省の連携がなければ成立しなかった団体さて、今回の居住支援のカギになったのは、省庁の連携だ。厚生労働省の福祉分野では、養護施設や老人福祉施設、医療施設といった「施設」で受け入れるか、自宅にいながら通所施設に通う形でサポートするかになるので、施設に入れず住宅のない人へのケアができない。一方、生活困窮者が住宅を借りにくい実態を把握しているのは、国土交通省の住宅分野だ。住宅に困る人がいる一方で、近年では、空き家の増加という課題を抱えている。村木さんたちが開催していた非公式な勉強会に参加していた国土交通省の女性官僚が福祉分野に深く関心を持つようになり、両省の抱える行政課題がうまく重なって成立したのが、改正住宅セーフティネット法だ。この法律によって、居住支援法人ができ、その全国組織となる全居協が成立した。つまり、両省の連携がなければ、全居協もできなかったことになる。(画像/PIXTA)また、「行政だけでなく、それに関わる民間も縦割りになっていた」と奥田さんは指摘する。全居協の会員登録数は、7月末時点で153(総会議決権有の1号会員75、無の2号会員47、団体の賛助会員13、個人の賛助会員18)。このうち、いわゆる福祉系の法人と不動産系の株式会社が半数ずつの構成になっているのも、大きな特徴だ。さらには、刑務所を出所した人の居住支援を課題に抱える法務省も、全居協の活動に関心を示しているという。居住支援が再犯防止に役立つからだ。縦割りの行政としては珍しく、3省が連携する可能性が出てきたというのも興味深い。全居協は今後どんな取り組みをする?何に期待する?さて、全居協は立ち上がったばかりだ。今後はどういった活動になるのだろうか?村木さんによると、「ハード面では実際に使える住宅をどれだけ供給できるか、ソフト面では多様なニーズに対して既存の制度(国土交通省の住宅セーフティネット制度や厚生労働省の介護保険や障害者福祉、生活困窮者自立支援制度など)をしっかり活用できるか、また、それだけでは対応できない点もあるので、それを補う仕組みをどこまで柔軟につくれるかが課題」だという。また、「持続可能にしなければならないので、事業として継続できるモデルにしていくことが必要」だとも。そのためには「支援居住法人が、まず集まって理念を共有すること、情報交換をすること、よい事例を参考に事業モデルをつくり上げることに取り組んでいきたい」一方奥田さんは、「居住支援法人を本業とするのは難しい」と言い切る。どういうことかというと、「それぞれの本業である福祉や不動産の業務を通じて、困っている人を助ける活動に広げることで支援するのが居住支援法人。だから、本業の事業モデルの価値を多様化するしかなく、居住支援という新しい価値を創造することが必要」と、事業モデルの必要性を指摘する。ただ、「全居協に多様なプレイヤーが参加してくれた。異業種の枠組みの中でそれぞれ違う視点から事業を検討し、新しい持続性のある事業構想を持つことで、縦割り行政のハブの役割も担える」と考えている。そして、お二人共通の願いは、「全国の困っている人と全居協の居住支援法人とをつないでいくこと」だ。信頼できる人たち同士、協力し合っていかないといけないので、頼りにできる組織にしていきたいという。今後、全居協を中心とした居住支援法人が、困っている人たちの救世主になることを筆者も大いに期待している。○全国居住支援法人協議会のサイト(山本 久美子)
2019.09.17 08:00
SUUMOジャーナル
爆発火災があったアニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオ(時事通信フォト)
京アニ「大量殺人」引き起こした犯人の「被害妄想」
 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、34人が亡くなった「京都アニメーション」放火事件の青葉真司容疑者を分析。 * * * 7月18日、アニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオを襲った放火犯の炎は、またたく間に34人もの尊い命を奪い去った。 平成以降最悪の放火殺人事件を起こした犯人は、さいたま市在住の青葉真司容疑者(41)。スタジオ1階でバケツに入れたガソリンをまいた後、「死ね」と叫びながら、火をつけたとみられる。 確保された際は「小説が盗まれたからやった」と話していたという青葉容疑者は、事件前から近所で目撃されており、現場近くにはハンマーや包丁が残されていたという。強い殺意を持っていたと思われるが、京都アニメーションの社長は「名前を聞いたことがない」と話し、一方的に恨みを持っていた可能性が高い。 逆恨み、自分勝手な思い込み、そんなもので、これだけの大惨参事を起こしたのか。ニュースを見る度に憤りとやりきれなさがこみ上げてくる。 青葉容疑者は、12年にも茨城県内のコンビニで強盗事件を起こしている。自首した際、「遊ぶ金が欲しかった。オウム事件の容疑者のように自分も逃げられないと思った」などと不可解な供述をしている。昼間はカーテンを閉め切り、活動は夜。青葉容疑者の印象を「口数も少なく大人しい」と語る人もいるが、住んでいた部屋では近隣住民とたびたび騒音トラブルを起こし、警察官が駆けつけたこともあったという。 それ以前にも、当時住んでいた集合住宅で真夜中に目覚まし時計を鳴らしたり、壁を叩いたり、大音量で音楽を流すなど、住民の苦情が絶えなかった。京都府警は、「精神的な疾患があるとの情報を把握している」と発表している。 これだけの情報しかないが、おそらく容疑者には、「妄想」があったのではないかと推測されている。精神医学で妄想は「訂正できない誤った考え」などと定義される。そこでここでは、渡邉和美・高村茂・桐生正幸編著『犯罪者プロファイリング入門―行動科学と情報分析からの多様なアプローチ』(北大路書房)にある、「妄想の周辺と犯罪者プロファイリング」を参考に、青葉容疑者についてみてみようと思う。 まず、妄想の定義の「訂正できない」の部分は、「自分が誤っているとはまるっきり思っていないため、訂正のしようがない」ことをいい、「誤った考え」の部分は「客観的にみて間違っていること」を指す。この本では、どのように誤っているかによって、妄想を「奇異な妄想」か「奇異ではない妄想か」で分けており、ここでの「奇異」は、「通常の文化の中ではありえないと考えられていること」と定義している。 奇異な妄想を持つ犯罪者のプロファイリングをみると、彼らの背景や生い立ちから鑑みても、私たちには理解できないことが多く、幻聴や活動性の低下、生活能力の低さが挙げられている。閉じこもりや清潔にできない、ゴミをため込むなどもあるらしい。実際、コンビニ強盗の後、警察の立会いで確認された部屋の中は、ハンマーで壁が壊され、ガラスが割られ、パソコンも破壊され、悪臭がするゴミ屋敷の様相だったようだ。 更にこの本のプロファイリングには、「現実を検討する能力は低く、犯行の手口、計画は稚拙で綿密さを欠き、隠蔽や逃走能力も低いため現行犯逮捕されやすい」ともある。容疑者は自身も全身に重いやけどを負い、現行犯逮捕されているし、犯行当日に寝ていたという近所の公園では、ガソリンの携行缶などが押収されている。犯行までの生活状況をみても、このプロファイリングに合っているように思う。 妄想の中でも頻度が高い被害妄想では、妄想が発展すると攻撃対象が人物から組織になり、精神的に追い詰められると攻撃がより凄惨なものになり、八つ当たり、無差別的な犯行の可能性が高くなるという。壁を何度も叩かれたという隣人は、犯行の数日前、容疑者に胸ぐらを掴まれ「殺すぞ。こっちは余裕ねぇんだ」と凄まれたと話している。 このような犯罪すべてが妄想によって引き起こされるものではないし、青葉容疑者に妄想があったのかも、まだ定かではない。ネット上では様々な憶測も飛んでいるが、なぜ、こんなことをしたのか、そこをしっかり解明し、法律できちんと裁いてほしいと願う。
2019.07.24 16:00
NEWSポストセブン
親の片づけすぎは成績を落とす(写真/アフロ)
ミニマリストは成績落とす? 雑多な方が新鮮なひらめき促す
 近年は“こんまり”ブームなどを経て、「断捨離」「ミニマリスト」などが市民権を得ている。きちんと整頓された部屋は気持ちがよく、さぞや勉強がはかどるかと思いきや、実際はそうでもないようだ。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表で塾ソムリエの西村則康さんが言う。「大人にとって快適な家と、子供にとってのそれはまったく違う。整頓されすぎて、“見る”“触る”など五感を刺激しない家は、知的好奇心が育ちにくいのです。もちろんゴミ屋敷のレベルはいけませんが、多少雑多な方が、子供は新鮮なひらめきをしやすい。特に自由研究が緻密で面白い子はある程度散らかっている家に住んでいるパターンが多いように思います。がらくた入れの中を見て、例えばかまぼこの板から船を作ろうなどと考え始める、といった思考の手助けをしてくれる」 整頓されていることが必ずしも成績向上につながるとは限らないのは、ノートやかばんの中も同じだ。 大手進学塾「市進学院」ウイングキッズ指導室室長の飯嶋洋平さんが続ける。「色とりどりのペンを使ってまるで“作品”のようなノートを作り上げる生徒もいるが、成績に反映されない。丁寧でなくても、後から見返してきちんと理解できるように書いている子は計画性があるから伸びる。 かばんの中身も同様で、親がお膳立てしてきれいに整っている子は何がいつ必要になるのか自分で判断できない。親はお子さんが自分で荷物の用意ができるように手助けをしてあげるのが重要です」※女性セブン2019年8月1日号
2019.07.24 07:00
女性セブン
防犯プロに聞く、ストーカー、DV、ご近所トラブル対策(写真/アフロ)
ご近所トラブルは必ず第三者をたてよ、DVは日記で対策
 日々発生するトラブルの多くは、緊急性がない場合が多い。そんな時は、相談先に迷ってしまうものだ。そんな相談を受け付けるため、全国の警察では、電話番号「#9110」で繋がる相談窓口を1989年に開設。相談内容により、オペレーターが担当部署やDVシェルターなど、相談場所を提案してくれる。 近所間で多いのは、騒音に関するトラブルだ。防犯アドバイザーの京師美佳さんはこう言う。「被害者が直接交渉に行くと、相手が逆上してエスカレートすることが多いので、第三者を介することが大切です。マンション住まいの場合は管理会社に相談を。最初は掲示板などで不特定多数に向け、注意喚起がされ、改善されなければ、苦情を言った人が誰かは伏せた形で管理会社から本人に直接伝えてもらえます」(京師さん、以下同) また、一戸建ての場合は#9110や、地域事情に詳しい地元の警察署へ相談を。「たとえ度重なる嫌がらせでも、現行犯以外での逮捕は難しいので、証拠集めも大切です。録音や撮影をしておく、騒音の場合は、測定器で計測しておくのもいいでしょう」 騒音は80デシベル以上は犯罪レベルだ。なお、落書きは器物損壊罪で刑事事件。長時間経っていなければ110番へ通報できる。また、朝起きたら家のドアなどに落書きをされていたり、物が壊されていた時は110番へ。近所にゴミ屋敷がある時や、たびたび嫌がらせを受けているもののそれが現行犯ではない時などは、#9110に電話しよう。 続いては近年大きな問題となっているのはストーカーに関する問題への対策だ。ストーカーの8割は知人といわれ、元夫や交際相手が多い。以前は軽視された身内のことでも、近年は相談体制がしっかり整っているが、いずれも早めの相談や被害状況の記録が大切だ。「たとえば、非通知で電話がかかってくる場合、警察ですぐに番号を照会できるわけではありません。電話会社に申請し、通常3か月くらいはかかります。その間にさらに大きな被害を招かないためにも、早めに相談すること。DVの場合も、手書きの日記などで証拠を残せば、刑事事件としてだけでなく、慰謝料請求の民事訴訟の際も有利になります」 つきまとわれたり、暴力を受けた時は110番へ通報を。さらに、近隣でDVを思わせる様子を直接見聞きした時も同様だ。一方で、無言電話が続く時。あるいは、通報時のことではないが、暴力・暴言を受けた場合は#9110に電話をしてみよう。 DVシェルターなど、警察以外で対処する機関も紹介してもらえる。まずどこに相談したらよいかわからなければ、#9110へかけてみよう。 ご近所トラブル、あるいはDVの被害を受けてしまったら、3つのことを実行しよう。1つ目は、第三者を介入させること。2つ目に、被害状況を手書きで記録すること。この場合、メモでもよい。そして、3つ目には騒音測定、病院の診断書など証拠収集を忘れずに。※女性セブン2019年6月13日号
2019.06.05 07:00
女性セブン
ダンボール箱に囲まれた書斎
株主優待達人・桐谷さん、ゴミ屋敷をキレイにすることに成功
『週刊ポスト』読者806人が回答した「GW中にやろうと思っていること」アンケート結果は、第2位の「旅行」を抑えて、「掃除、片づけ」が第1位に輝いた。そこで専門家の協力を得て、簡単で便利な最新家電・グッズをリストアップ。さらに、株主優待の達人として知られる元プロ棋士・桐谷広人さん(69)の自宅を訪問し、ゴミ屋敷と化した部屋を劇的にキレイにすることに成功した。 株主優待を使うために日々自転車で奔走する桐谷さんは、片づけが大の苦手。3年前に“ゴミ屋敷”から引っ越してきたというが、3LDKマンションはすでにものがあふれ、足の踏み場もない有り様だ。「毎日のように株主優待商品が届きますが、講演や取材で忙しく、そのままになっているものも。片づけたいとは思うのですが、時間がありません」 普段取材を受けている書斎は、わずかなスペースをなんとか死守している状態。まずは片づけのプロ・サマンサ・ホームステージングの山本真理子氏と相談しながら、モノを仕分ける。紙類や優待商品は、ファイルボックスに整理した。 リビングを覗けば、段ボール箱や衣類、優待商品が散乱。部屋を歩くことすらままならない現状に、桐谷さんは「部屋の奥に作業机がありますが、最近はたどり着けなくて使えていません」と頭を抱える。 まず山本氏は不要な段ボールや書類を捨て、床面積を確保。続いて、クローゼットにブランコ状の収納グッズを取り付け、デッドスペースだった下方にズボンを収納した。大量の本は、キャスター付きのクローゼット用本棚に。毎年2足ずつ届くという靴下やシャツは、不織布の収納ケースに整理した。 最後にトイレをチェックすると、便器や床はある程度きれいに掃除されているものの、奥の棚に様々なものが雑然と積まれている状態だった。今にも落ちてきそうなので、山本氏は一度すべてのものを外に出して分別する。棚の上段には使う頻度の高いトイレットペーパーを収納した。 続いては、デッドスペースの活用。棚に突っ張り棒を通し、棒の上にボックスを並べて完成させた収納スペースには、株主優待でもらったお掃除グッズを並べる。続いて、家電ライター・藤山哲人氏イチオシの、台所洗剤を使ってトイレを汚れにくくする温水便座を取り付けた。 片づけが終わると、家電ライター・藤山哲人氏が最新家電を使った掃除法を伝授。バキュームクリーナーで窓をピカピカに磨き、コードレスクリーナーでエアコンの汚れを吸い取っていく。最後に、株主優待でもらったという掃除機をかけると、4時間で見違えるほどきれいになった。「短時間でここまでスッキリするとは思わなかったので、驚きました。今夜から気持ちよく暮らせそうです」※週刊ポスト2019年4月26日号
2019.04.17 07:00
週刊ポスト
私が賃貸にこだわる理由 絶対に受け入れられない持ち家のリスク
私が賃貸にこだわる理由 絶対に受け入れられない持ち家のリスク
 昨今ネットで「実家の部屋に住み続けるおじさん」を意味する「子供部屋おじさん」が話題になり始めている。そんな中、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)では、「実家で貯金2000万円と賃貸で貯金ゼロどっちがいい?」論争に移り、さらには「賃貸vs持ち家」論争にも発展している。「一生家を買う気がない」と述べるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、自身の考える賃貸のメリットと持ち家のデメリットについて述べる。 * * * 人生で最大のリスクは「クソ野郎」と身近になることです。それこそ、借金癖のある家族や一族がいたら、本当に大迷惑ですし、大切に育てた我が子が犯罪者になってしまったら一家離散の危機です。 しかし、家族や親戚についてはある程度の説得や教育により、最悪の事態を回避することはできます。一方、もはやお手上げ状態になるのが「隣人」です。庭で仲間とバーベキューをワイワイやっていたら「うるせぇ!」「くせぇんだよ!」とばかりに隣の家に住む男がやってきて、刺殺された、みたいな事件もありました。あとは、「現代の八つ墓村」とも呼ばれる、2013年、山口県周南市金峰の集落で発生した5人殺害事件は、犯人を除き14人の住民しかいない地域で発生しましたが、逮捕された男はその地域で孤立していたといわれています。 マイホームについては、私の親世代(70代)からすれば、「一人前の象徴」として扱われていたところがあります。だからこそ30代で家を買うという行為に高いステータス性があり、私の親も「土地狂想曲」が発生するバブル期から数年前の1984年、38歳の時に家を買っています。 今では家の評価額も下がりましたが、ローンは完済したようなのでとりあえず老親は住む場所には困らないでしょう。そして現在45歳の自分は38歳の時の父が下した決断をすることなく、7年以上が経過しました。そして、家は買わないでしょう。 何しろ、フリーランスで暮らしている身からすれば、ローンで生活が縛られるのがイヤなのです。現在は賃貸暮らしをしていますが、所得が減ったらもっと安い賃貸に移ればいいと考えています。もしローンを組んで家を買ったら、今より所得が減った場合、分不相応な出費を毎月強いられることになります。◆「土地に縛られない人生」を送ることが可能に 過去に東京・渋谷で家賃3万円の風呂なし共同トイレの部屋に住んでいた経験もあるだけに、地方都市で家賃2万5000円の部屋に住むことも厭いません。まぁ、なんとかなるでしょう。家を買ってしまい、15年程ローンを払っていた場合、それをいかに売るか、ということにも悩まされます。さっさと新しい生活をしたいというのに、家の買い手がつくまでやきもきする。 告白しますが、実は私も一度、家を買ったことがあります。ローンの頭金に加え、リフォーム代50万円と引っ越す前の数か月分のローンで計400万円を支払ったのですが、一緒に住むはずだった女性が亡くなったため、その家は手放すことになりました。家は彼女の母親に引き継ぐことも可能でしたが、ローンを支払うのが無理なため、結局私がそれまでに支払った約400万円は消えてしまいました。その後住んだ人はリフォーム済みで良かったでしょうし、不動産屋としても、「誰も住まなかった家」の取引で稼げたので割の良い話だったといえましょう。 現在、海外への引っ越しを考えていますが、家があると、借り手を見つけたり、処分をしたりしてからの移転となります。賃貸でしたら一切そこら辺を考えないでもいいですし、あとはモノを捨てるだけです。「土地に縛られない人生」を送ることが可能となります。 そして、今の時代、かなり重要なのが、どうしようもないほどDQNな隣人がいた場合、家を所有することがリスクになる点です。冒頭で紹介したような「バーベキュー嫌い男」や「連続殺人男」が近所に住んでいたら、最悪です。あとは「引っ越しおばさん」やらゴミ屋敷の主人などがいた場合、自分の家を見るだけで「あぁ、こんな不良債権をさっさと放り出してこのアホどもから離れたいものだ……」と思うことでしょう。 固定費、土地に縛られる、貧乏になった時ににっちもさっちもいかなくなる、モンスター隣人……自宅を持つことはここまでリスクがあるので、石橋を叩いて渡る人生を送る自分には到底、無理だと考えます。「高齢になったら借りたくても借りられなくなる」なんて意見もありますが、支払い能力さえ証拠として見せておけば少子高齢化時代に完全に借りられない、なんてことはないでしょう。その日のためにも、頭のトレーニングをし、貯金をキチンとしておこうと思っています。
2019.03.09 16:00
マネーポストWEB
認知症母の施設転居で 「人のモノを捨てる」重さを痛感
認知症母の施設転居で 「人のモノを捨てる」重さを痛感
 父の急死によって、認知症の母(83才)の介護をすることとなったN記者(54才・女性)が、4年前の夏を振り返る。自宅を引き払い、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に移る際の「部屋の片づけ」をめぐる葛藤だ。 * * * 2014年夏、認知症で激やせした母を、ゴミ屋敷寸前の家から救出すべく現在のサ高住に転居させた。その結果、状況は好転したのだが、母の人生を背負った重みと容赦ない夏の暑さは、更年期の心身にガツンと響いた──。 認知症の母にとって4年前の夏は大きな分岐点となった。父の急死をきっかけに認知症が悪化し、家の中も荒れ放題。もう独居は限界だと、介護職が身近にいるサ高住への転居に踏み切ったのだ。 とはいえ、その時点で考えていたのは、悲惨な現状からとりあえず母を避難させることだけ。まず生活をコンパクトにし、将来的なことはその後…と思っていた。 引っ越し計画はこうだ。母の暮らす3LDKの家から、新生活に必要な物だけを段ボールに詰める。母の転居後、私が必要品を持ち帰り、残りは廃品業者に処分してもらう。作業は単純。サクサクやればあっという間だと思った。 ところが、その作業が曲者だった。どこにこれだけ収まっていたのかと唖然とするモノ、モノ、モノ。母が若い頃に着たよそ行きの服から、私が学校で褒められた習字まで、半世紀以上の家族の軌跡が手つかずのまま残っていた。 そして、「ボチボチ片づけるわよ」と母が言って、ついに着手されなかった父の遺品。懐かしさと切なさが押し寄せ、私の心はもうパニックだった。 それでも前に進まなきゃと、大量の物をより分けていると、「この服、捨てちゃうの? まだ着られるじゃない」と母。まったく戦力にはならない。「この巨大肩パットの服、古すぎるって! 恥ずかしい思いをするよ」と嫌みを言った。「でもこれは持って行って。ママが一生懸命に働いた思い出なの」と、母が差し出したのは預金通帳だった。昔、父が病気で休職したとき、母が働いたパートの振込口座だ。 横面を叩かれた思いだった。私は今、母の人生を解体し、母の心の糧になる品も含めてより分け、箱に詰めているのだ。最強の冷房が効いているのに、全身から汗が噴き出た。◆そんな自分も更年期 大汗と疲労感に泣く 引っ越し当日、新居行きの箱が運び出されるところを眺めながら、最後を任せた廃品業者と打ち合せしたときのことを思い出した。担当の女性が、「片づけていてつらくなったら無理しないで。物は物。代わりはあるって割り切ることも大事なんですよ」と言ってくれた。きっと多くの娘世代が苦悶の表情で片づける姿を見て来たのだろう。 新居は何もかも真新しく気持ちよい部屋。家具も計算通りに収まった。嬉々として衣類などをしまい始めた母を見てホッとする一方で、私の気持ちはそう軽くはなかった。「やってしまった…」 その日は2人で外食し、居室内のユニットバスで母が初入浴をし、パジャマに着替えるのを見届けてから部屋を出た。建物を出ると、夜9時を過ぎているのにまだ暑かった。 あっと思うと、また全身から大量の汗。鼻先から滴るほどだった。そしてもう1歩も足が前に出ない。こんな疲労感は初めてだった。幸い目の前は大きな道路で、流していたタクシーに倒れ込むように乗ると、冷房の効いた車内が天国のようだった。 母は新生活を気に入り、認知症の症状もずいぶん改善した。私の苦悶の日々も、懐かしい思い出になりつつある。※女性セブン2018年8月9日号
2018.07.29 16:00
女性セブン
作業療法士が教える「家族が心得ておくべき」認知症の知識
作業療法士が教える「家族が心得ておくべき」認知症の知識
 年をとると、体の機能が衰えたり認知症になったりして“できないこと”がどんどん増える。それを助けるのが介護だが、突然、親の介護に直面した家族はつい“できないこと”ばかりに目に行き、がっかりして悲しくて、苛立ったりもする。介護家族の気持ちは複雑で厄介だ。 作業療法士という専門職をご存じだろうか。病気や加齢による障害をケアする医療者で、生活や人生をその人らしく営めるよう技術や工夫を駆使して助けてくれる。認知症の症状や心の状態も熟知し、介護に悩む家族にとっては力強い味方だ。 今回はそんな作業療法士を育てる文京学院大学教授の大橋幸子さんに、家族も知っておきたい作業療法的介護の心得を聞いた。◆生活や人生を充実させることを重視する作業療法士 作業療法士は、理学療法士、言語聴覚士などと並ぶリハビリテーションの専門職だ。「理学療法や言語聴覚療法が主に体の機能回復を目的とするのに対し、作業療法はその人の日常生活や人生も含めた全体像を見てケアします。たとえば脳卒中で体に麻痺が残ったり、認知症で認知機能が低下したりしたら、それらの病気の部分は包含しつつ、その人の生活や人生を充実させようとするのが作業療法です。 単に介助するのではありません。体の麻痺や精神的な混乱があっても生活がスムーズに進むよう、ご本人の別の機能を引き出したり住まいの修繕などで環境を整えたりして、できるだけ自分でできるように工夫します」(大橋さん、以下「」内同) 介護ビギナーの家族は、親の代わりに“やってあげる”ことが介護だと思いがちだ。確かに現実には、代行せざるを得ない場面も多いのだが、丁寧に本人を見ていくと、「あれもできない」「これもできなくなった」のすき間に「まだまだできる」ことはある。 家族が見逃しやすい“まだできること”を探って引き出し、「自立して社会の中で生きること」につなげてくれるのが作業療法士なのだ。◆認知症介護の第1歩は不安を取り除くこと 意思の疎通がスムーズでなくなる認知症は、介護以前に家族としての対応も難しい。「老年期の認知症は、記憶障害などが一般的によく知られますが、実際には脳の機能の衰え方は人それぞれ。何がわからないのか、何ができないのかは、ご本人を注意深く見ないとわかりません。 しかも認知症の人は全般的に言葉で的確に表現することが苦手になり、また本人のプライドもあって不安や失敗を取り繕ったりするので、二重にも三重にも認知症の人への理解を阻みます。認知症に関する知識の少ないご家族には、そこが大きな難関でしょう」 そこでまず家族が心得ておくべき認知症の知識を聞いた。「認知症はいろいろな原因で脳細胞の一部が壊れることから始まり、徐々に進行します。外に現れる症状もさまざまですが、大きく分けて2種類あり、その違いを知っておくことがとても大切です。 1つは脳細胞が壊れることで直接的に発症する『中核症状』。記憶障害、時間や場所などがわからなくなる見当識障害、理解や判断力が衰え、何かを行うことがおぼつかなくなる実行機能障害などが代表的。発症の仕方に個人差はあるものの、多くの人に現れ、治すのが難しい症状です。 もう1つは『BPSD(行動心理症状)』。妄想や幻覚、徘徊、暴言・暴力、不潔行為など、さまざまありますが、周囲の接し方や中核症状が発症したときの環境、心理状態で出方が大きく左右されるといわれます。 家族を悩ませ、また一般に認知症の困難として語られるのは主に『BPSD』の方です。一見、合理性のない不可解な言動に見える上、周囲が実害を被ります。 でもこの不可解な言動を丁寧にひも解くと、必ず理由があり、その核になっているのは“できなくなったこと”による不安や悲しみです。逆に、周りの人に認知症のことが理解され、配慮されて本人の不安が和らぐと、『BPSD』が治まることはよくあります」 記者の認知症の母(83才)もそうだった。父の急死で認知症が悪化し、激しい物盗られ妄想が出現して、家がゴミ屋敷寸前になったところから、理解ある介護職に囲まれ、食生活が確保された今の住まい(サ高住=サービス付き高齢者向け住宅)に転居すると、妄想がピタリとなくなり、部屋の中も整然と管理できるようになった。 当初は奇跡のように思えたが、記憶障害は進みつつ、まさに『BPSD』がきれいに消えたのだ。「身近に接するご家族は、認知症のことを少しでも知り、認知症の親御さんの中で起きていることに思いを馳せることが大切。記憶障害などがあっても、心が平穏であれば、充分日常生活や人生を楽しむことができるのです」※女性セブン2018年6月28日号
2018.06.18 16:00
女性セブン
認知症の母が冷蔵庫の中にバスタオル収納、その言い分
認知症の母が冷蔵庫の中にバスタオル収納、その言い分
 認知症の母(83才)の介護を引き受けることになったN記者(54才・女性)。片付け上手だった母がどう変わり、そして、今どんなふうに落ち着いたのか。“おかしな場所”に収納していても、本人には本人なりの理屈があるようだ。 * * * 母がひとり暮らしをするサ高住の部屋を訪ねるとホッとする。父と暮らしていた3LDKのマンションの荷物を整理し、必要最低限の物だけを持って越してきたワンルーム。部屋では洗濯してお風呂に入って寝るだけの生活だが、いつも整然と片づいている。母が自分で片づけるのだ。 週1回、掃除援助に来てくれるヘルパーさんに「Mさん(母)に、私の家を掃除してもらいたいくらいだわ」と、ほめてもらえるほどだ。 父の急死後、ひとりには広すぎる部屋で独居になったときは認知症の症状がひどく、家中荒れ放題。母の人格が変わってしまったようで怖かった。当時のケアマネジャーのかたによると、どう片づけたらよいかがわからなくなるのだという。 環境の変化で悪化しやすい認知症だが、ゴミ屋敷寸前の生活をリセットし、最小限の物で再スタートしたことが、症状を落ち着かせたようだ。私が適当に配置した物を、母が少しずつ置き換え、だんだん母らしい部屋になってきた。最近は花も飾っている。 認知症でもこんなに穏やかに戻ることもあるのだなと思っていた矢先に、久々にギョッとする事件が起きた。母の部屋の冷蔵庫の中に、バスタオルと浴用タオルが“収納”されていたのだ。 冷蔵庫は単身者用の小さいもので、調理はしないので、入っているものといえば父に供える日本酒と、コンビニで無意識に買ってきてしまう菓子くらい。 小さな庫内が無駄に空いているのは確かだが、そこにきれいに畳たまれたタオルが詰め込まれている違和感…。ゴミ屋敷時代の恐怖が一瞬、よみがえった。 入浴後に使うタオルは、いわゆる脱衣所がないため、実は置き場所に困っていた。そこで私は、浴室の扉を開けてすぐの位置にある冷蔵庫の上に、プラスチックの棚を置いて、タオルの収納場所としたのだった。インテリアとしては少々おかしいが、必要なときに手が届いて合理的だ。それなのに、棚はいつの間にかベッドの影に撤去され、タオルはなんと冷蔵庫へ。「どうして棚をはずしたの? 冷蔵庫は食べ物を入れるところでしょ! タオルが冷たくなっちゃうじゃない!!」と、つい意地悪な正論を吐いた。 すると、ちょうど掃除援助に来てくれていたヘルパーさんが軽く目配せをして言った。「あら、お母様の工夫じゃない? すごいアイディアねぇ」 工夫? ヘルパーさんは介護職のプロ的配慮で言ってくれたのだろうが、あながち間違いではないかもしれない。 母は昔から、そんな工夫を楽しむ人だった。読書好きの自分がくつろげるようトイレに本棚を設えたり、散らかりものを箱に集めてソファの下に押し込み、居間を瞬時に片づけたり。そんな母なら、タオルを不格好な棚に収めるより、冷蔵庫にスマートに収納してしまうのも納得だ。「お風呂上がりはひんやりタオルが気持ちいいのよ」と、おもしろそうに笑う母。私の意地悪への返球か、自分のおかしな工夫へのフォローか。とにかく今は、自由な独居を存分に堪能しているようだ。※女性セブン2018年5月3日号
2018.04.23 11:00
女性セブン

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