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放射性物質によるパニックの素地「見えないもの」を人は怖がる

放射性物質の拡散が東京にまで広がり始めている。買い占め・関東脱出など浮き足立つ人々もいる。だが作家で五感生活研究所の山下柚実氏は「パニックはむしろ自己防衛本能から」と説く。以下、山下氏の話だ。

* * *

原発事故の危機的状況が続き、とうとう東京の浄水場からも基準値を超える放射性ヨウ素が検出されました。政府や専門家からは「ただちに健康に影響はない」というワンフレーズが連呼されるばかりで、国民の不安を払拭するには遠いように思えます。事故現場に入った消防隊員たちからは「見えない敵との戦い」という悲痛な叫びが聞こえてきます。

どこかわからない空から「目に見えない」放射性物質がやってくるとすれば、残念ながらパニックが生まれる素地は次々に準備されているのではないでしょうか。

そもそも生き物は、嗅覚や聴覚、視覚といったセンサーを鋭く使って、外から忍びよる敵や危険を察知し、対処して現在まで生き延びてきました。つまり、五感を使うことは、生き物にとって、命の生存戦略なのです。

しかし、放射性物質に対しては、そうはいきません。目にも見えず、匂いもしない。自分の身体や五感センサーをいくら駆使しても、危険を察知することができない。そんな「見えない敵」を相手に、特に子どもを持つ親はどうすればいいのか。

もちろん、パニックにはならない方がよいし、冷静さが必要だということは言うまでもありません。ですがパニックに走るのは、本能に基づく自己防衛機能が働いているから、とも言えます。

この災害を落ち着かせた先で、考えなければならない問題があります。私たちの想像力を超えた自然災害がいつ発生するかわからない日本列島の上で、しかも「目に見えない敵」に依存した暮らしをこれからも続けるかどうか、という選択です。

「敵」がいなくならない限り、この種のパニックは、形を変えて繰り返すでしょう。

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