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中国製2万円ガイガーカウンターの“高性能”に専門家苦笑

 何かと最近話題のガイガーカウンター。テレビではガイガーカウンターを持っては「高い値を記録しました!」と叫ぶレポーターが多数登場する。彼らが崇めたてるガイガーカウンターだが、そこには大いなる誤解がある。

 このガイガーカウンター、専門用語では、「ガイガー=ミュラー計数管」と呼ぶ(以下、GM管)。

 ガイガーカウンターなどの放射線測定器の校正(計測のずれを把握、補正すること)と販売の大手、千代田テクノルの担当者が説明する。
 
「GM管が計測しているのは放射線の『数』であり、『シーベルト(人体が放射線によって受ける影響を表す)』はわかりません。計測値から対象物の『ベクレル(物質が1秒間に何個の放射線を出すかを表わす単位)』を推計するのがせいぜいです。

 震災後は一定の計算式を用いて『シーベルト』を推計している機器が出回っていますが、GM管はそもそも生活空間の被曝量を測る機器でも、原発事故による放射能拡散を測る機器でもなく、推計値は正確とはいえません」

 震災後はこのガイガーカウンターに特需が起きた。

 メディアはもちろん、主婦までもが秋葉原やインターネットでガイガーカウンターを買い漁ったため、価格は高騰し、時ならぬ“ブーム”に目をつけた悪質な業者らは、普段は2万~3万円で売る安価品を7万、8万とふっかけたり、国産品がなくなると中国製、ロシア製などを大量に輸入したりしている。が、なかには粗悪品も多い。

「2万円程度でアルファ線から何から測れて『シーベルト』までわかるという中国製のGM管の仕様を見ましたが、私どもの常識をはるかに超える高スペックですね(苦笑)」(前出の千代田テクノル担当者)

 GM管の特性も知らない者たちが、しかも粗悪品の怪しい数値を振りかざして「政府発表より高い値が出た」と騒ぐことがいかに現実離れしているか、わかっていただけるだろう。

※週刊ポスト2011年7月8日号

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