国際情報

五輪での竹島PRに韓国内無批判 国際的マナー欠如してるから

 オリンピックで領土問題をアピールし世界中から批難を浴びた韓国サッカー選手。自分たちだけで騒いで勝手に興奮し、よその国からはひんしゅくを買うという、いつもの“自家発電”だと産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏は指摘する。しかし韓国国内では批判の声がほとんど聞かれなかったのはなぜか、黒田氏が解説する。

 * * *
 五輪サッカー事件直前の李明博大統領の“竹島上陸”も、人気挽回のための国内向け愛国パフォーマンスという“自家発電”だったが、もう少しサッカー事件の方を紹介しておく。

 長年のコリアン・ウオッチャーとして残念なのは、国際舞台でのあの田舎臭い愛国パフォーマンスより、そのことをたしなめる声が韓国国内でほとんどなかったことだ。
 
 国を挙げて世界化や国際化が叫ばれ続け、世界の有力経済国になったと誇り、「世界に広がる韓流ブーム」が毎日のように報じられ、今や「世界が注目する国」と自画自賛していながら、国際的マナーの観点から事件を見る客観的姿勢がまったくないのだ。

 これは驚きであり、こちらの方がニュースだろう。「たしなめる」あるいは自己批判、反省はおろか、逆にマスコミやネットでは「あれのどこが悪い!」「ソウルは韓国の首都と、当たり前のことを言ったようなもので政治的行動ではない!」などとみんな居直っているのだ。

 しかも、韓国選手が問題にされた腹いせだろうか、日本の女子体操選手のユニフォームのデザインが「日本軍国主義の象徴である旭日昇天旗に似ている。なぜあれを問題にしないのか!」とマスコミは大真面目に伝えている。

 有力紙の中央日報などは現地でロゲIOC会長をインタビューし、わざわざ「日本のユニフォームも違反ではないのか?」と質問し「そんな話は初耳だが」と一笑に付されている。ちなみに「旭日」とは朝日のことで、日本の海上自衛隊は今も軍艦旗に使っている。あえて韓国マスコミに助言してあげれば、韓国マスコミが「日本の良心」として大好きな朝日新聞の社旗がそれなんですがね。

 お笑いというか、いや深刻というべきエピソードはまだある。今回の一件で韓国のサッカー協会は日本サッカー協会に「申し訳ない、今後気をつけたい」といった趣旨のメッセージを送った。協会は世界を見ているから国際的マナーがある。

 ところがこのメッセージが屈辱的だといって世論の袋叩きに遭い、何と元慰安婦の老女まで協会に抗議にきたというのだ。元慰安婦は今や“愛国者”の代表なのだ。

 IOCには今回、ぜひ処分してもらわねば困る。でないとまたやりますから。李明博大統領は任期中最後となった「8.15記念演説」でまだ慰安婦問題にこだわっていた。格調が無いことはなはだしい。筆者を含め日本では当初、評価と期待の高かった大統領だったが、これだけメッキがはげるのは珍しい。

※SAPIO2012年9月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“ATSUSHIものまね芸人”として活動するRYO
【渦中のRYOを直撃】「売名じゃない」橋幸夫さん通夜参列で炎上の“ATSUSHIものまね芸人”が明かした「反省」と「今後」…「100:0で僕が悪者になっている」との弁も
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月7日、撮影/JMPA)
《再販後完売》佳子さま、ブラジルで着用された5万9400円ワンピをお召しに エレガントな絵柄に優しいカラーで”交流”にぴったりな一着
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(共同通信)
《やる気スイッチ講師がわいせつ再逮捕》元同僚が証言、石田親一容疑者が10年前から見せていた“事件の兆候”「お気に入りの女子生徒と連絡先を交換」「担当は女子ばかり」
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷が“即帰宅”した理由とは
《ベイビーを連れて観戦》「同僚も驚く即帰宅」真美子さんが奥様会の“お祝い写真”に映らなかった理由…大谷翔平が見計らう“愛娘お披露目のタイミング”
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが、「選挙」と「投票」について綴った(撮影/松田忠雄)
渡邊渚さんが綴る“今の政治への思い”「もし支持する政党がパートナーと全く違ったら……」
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《山瀬まみが7ヶ月間のリハビリ生活》休養前に目撃した“スタッフに荷物を手伝われるホッソリ姿”…がん手術後に脳梗塞発症でICUに
NEWSポストセブン
自民党屈指の資金力を誇る小泉進次郎氏(時事通信フォト)
《小泉進次郎氏の自民党屈指の資金力》政治献金は少なくても“パーティー”で資金集め パーティーによる総収入は3年間で2億円、利益率は約79%
週刊ポスト
イベントキャンセルが続く米倉涼子
《新情報》イベントのドタキャン続く米倉涼子を支えた恋人の外国人ダンサー、日本を出国して“諸事情により帰国が延期”…国内でのレッスンも急きょキャンセル 知人は「少しでもそばにいてあげて」
NEWSポストセブン
小川晶市長“ホテル通い詰め”騒動はどう決着をつけるのか(左/時事通信フォト)
《前橋・小川市長 は“生粋のお祭り女”》激しい暴れ獅子にアツくなり、だんベぇ踊りで鳴子を打ち…ラブホ通い騒動で市の一大行事「前橋まつり」を無念の欠席か《市民に広がる動揺》
NEWSポストセブン
歴史ある慶應ボート部が無期限で活動休止になったことがわかった(右・Instagramより)
《慶應体育会ボート部が無期限活動休止に》部員に浮上した性行為盗撮疑惑、ヘッドフォン盗難、居酒屋で泥酔大暴れも… ボート部関係者は「風紀は乱れに乱れていた」と証言
NEWSポストセブン
元大関・貴景勝
断髪式で注目の元大関・貴景勝 「湊川部屋」新設に向けて“3つの属性の弟子”が混在する複雑事情 稽古場付きの自宅の隣になぜか伊勢ヶ濱部屋の住居が引っ越してくる奇妙な状況も
NEWSポストセブン
京都を訪問された天皇皇后両陛下(2025年10月4日、撮影/JMPA)
《一枚で雰囲気がガラリ》「目を奪われる」皇后雅子さまの花柄スカーフが話題に 植物園にぴったりの装い
NEWSポストセブン