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国内流通のカニの12%はロシアの密漁品 規制強化で品薄懸念

 農水省は10月より、輸入小麦の政府売り渡し価格を3%値上げする。

「うどんやパン、味噌、醤油などのメーカーは、いまのところ価格転嫁を見合わせているが、転嫁しなければ企業の業績、従業員の給料に響くし、転嫁すれば消費者を直撃する。どちらにしても痛いです」(食品メーカー関係者)

 値上げは米国の干ばつの影響によるものだが、輸入小麦の売り渡し価格は年2回改定され、そのつど買入価格の平均値に、マークアップ(輸入差益)と呼ばれる金額を上乗せする。マークアップとは、国内消費量の1割に満たない国内小麦農家への補助金である。これは1キロあたり17円で、年間850億円にも上る。

「これにより輸入小麦は、国際価格の倍ほども割高になっている。農家対策は必要ですが、世界的な穀物高騰のなかで、政府はいつまで食品メーカーや消費者に負担を強いるつもりか」(同前)

 政府の無策によって、カニも値上げされる。9月8日、ウラジオストクで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)会議で、水産物の密漁・密輸出対策に関する日露協定が結ばれた。ロシアから輸入されるカニのうち、密漁分の輸入を厳しく規制する協定だ。

 ロシア漁業庁長官が「ロシア産のカニの5分の1が密漁」と嘆くほど、ロシアでは密漁が横行してきた。

「北方領土問題で点数を稼ぎたい日本政府が、ロシアにおもねる形で締結した協定ですが、違法行為とはいえ、日本国内で流通するカニの12%程度がロシアの密漁ガニとされ、規制されるとタラバガニやズワイガニなどが品薄になる可能性がある。業者対策など何も考えず外交得点に走ったということ」(水産業界誌記者)

 ある食品商社は「年末に10%値上げしてもおかしくない」と悲鳴を上げた。

※週刊ポスト2012年10月19日号

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