ビジネス

カナダドル 利上げの可能性もありでポートフォリオ通貨にも

 FX(外国為替証拠金取引)ではオーストラリアドルの人気が根強いが、同じ資源国通貨としてカナダドルに注目が集まっているという。酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表の酒匂隆雄氏が解説する。

 * * *
 FXの取引通貨としてカナダドルに注目している。実は、カナダは利上げをする可能性がある。

 雇用関係や小売売上高など、最近のカナダの経済指標は好調を維持。さらに、輸出先の7割以上を占める米国経済が底堅くなっていることに加え、高止まりする原油価格も支援材料となり、今後のカナダ経済の見通しが明るくなっている。

 実際、カナダの中央銀行であるBOCは、先の10月の金融政策決定会合後の声明文で、政策金利を1.00%の現状維持を決めるとともに、「現行の金融政策を通じた大幅な景気刺激の一部解除が適切になる可能性がある」とし、状況次第では利上げをする用意があることを示した。

 カナダ経済は米国の景気動向および金融政策の影響が大きい。米国の量的緩和政策によって、マネーの一部がカナダの不動産市場に流れ込んでおり、BOCはインフレ警戒感を強めている。もし、利上げが実施されれば、主要先進国の中では最も早い金融引き締めとなることから、カナダドルに対するインパクトは大きなものとなろう。

 一方、カナダドルと同じ資源国通貨である豪ドルについては、軟調な展開になると想定している。カナダとは対照的に、利下げの可能性が出ているからだ。

 豪州の経済は停滞色が鮮明。EU圏の景気後退の影響を受け、豪州の輸出先の約3割を占める中国の経済が振るわないことが足かせとなっている。豪州準備銀行(RBA)は、10月に政策金利を0.25%引き下げて3.25%としたが、打ち止め感は出ていない。

 もともと、豪州の金融当局は、豪ドル高を望んでいないことを折に触れて表明している。現状の豪ドル相場も、実体経済と比べて高いと考えている模様で、さらなる利下げに踏み切れば、豪ドルは一段安となる恐れがある。

※マネーポスト2013年新春号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に音楽ユニット「girl next door」の千紗と結婚した結婚した北島康介
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
京都成章打線を相手にノーヒットノーランを達成した横浜・松坂大輔
【1998年夏の甲子園決勝】横浜・松坂大輔と投げ合った京都成章・古岡基紀 全試合完投の偉業でも「松坂は同じ星に生まれた投手とは思えなかった」
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
「なぜ熊を殺した」「行くのが間違い」役場に抗議100件…地元猟友会は「人を襲うのは稀」も対策を求める《羅臼岳ヒグマ死亡事故》
NEWSポストセブン