ライフ

赤ちゃん 喋ることできぬから泣き声で怒り・恐れ・痛み伝える

 漫画家のさかもと未明さんが、飛行機の中で泣いていた赤ちゃんの泣き声がうるさいと、航空会社にクレームを入れたことが大きな話題となった。確かに、赤ちゃんの泣き声を不快に思うことは多いだろう。でも、いったいどうして不快に感じるのだろうか? 『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が解説する。

 * * *
 電車やバスなどの交通機関や、レストランなど公共の場で、赤ちゃんの泣き声が気になり、その声に不快感を抱いたことがある人も少なくないでしょう。実際、アメリカのある調査では、「不快な音」ベスト10の中に赤ちゃんの泣き声が入っています。

 人間は、周波数域が2000~5000Hzの音にもっとも敏感で、特にこの音域内のノイズ(雑音)を不快に感じます。例えば、黒板を爪で引っかく音がその典型ですが、実は、赤ちゃんの泣き声にもこの周波数のノイズが含まれているため、不快に感じてしまうのです。

 ちなみに、人が心地よく感じる音は2000Hzより低い周波数の低音で、例えば、川のせせらぎがその代表です。そして実は、赤ちゃんの“笑い声”はこの音域内なので、泣き声とは反対に心地よく感じます。赤ちゃんは、発する声ひとつとっても“天使”と“悪魔”というわけです。

 人間がこうした快や不快を感じる脳領域は、側頭葉の内側にある扁桃体です。一方、音を処理しているのは側頭葉にある聴覚野です。ある音を不快と感じるかどうかは、扁桃体と聴覚野の相互作用に依存します。そしてどの程度不快と感じるかは、扁桃体の活動状態によります。

 しかし、そこには個人差があるため、同じ音でも人によって感じ方に差が出るのです。同じ赤ちゃんの泣き声でも、扁桃体がその音に対してあまり活性化しない人には、さほど不快に感じられないし、扁桃体が大きく活性化する人にとっては、とても不快に感じられるというわけです。

 赤ちゃんが泣く頻度は生後6~8週でピークを迎え、3~4か月くらいでかなり落ち着きます。ピーク時には、1日あたり2.6時間も泣くというデータがあります。

 赤ちゃんは言葉を使うこともできないし、歩くこともできません。自分の状態を泣くことで示します。

 それは大きく分けると、怒り・恐れ・痛みの3つです。周りの大人は、赤ちゃんの泣き声や表情から、これら3つの状態を区別します。赤ちゃんの泣き声に対する成人の反応を調べた研究では、赤ちゃんの「痛み」による泣き声に、大人はもっとも強く反応することがわかっています。

 赤ちゃんは自分の状態を泣くことでしか伝えられませんが、同時に表情、特に「目」によって自分がどのようにつらいかを表現しています。多くの場合、怒りや恐れのために泣いているときには目を開けています。一方、痛みで泣いている場合は目を閉じています。つまり赤ちゃんは、泣いて自分に注意を向けさせ、目で状態を伝えているのです。

※女性セブン2013年2月7日号

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
人気格闘技イベント「Breaking Down」に出場した格闘家のキム・ジェフン容疑者(35)が関税法違反などの疑いで逮捕、送検されていた(本人SNSより)
《3.5キロの“金メダル”密輸》全身タトゥーの巨漢…“元ヤクザ格闘家”キムジェフン容疑者の意外な素顔、犯行2か月前には〈娘のために一生懸命生きないと〉投稿も
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン