ライフ

湿布が効かない神経障害性疼痛 飲み薬の選択肢ありと医師

 痛みに関する大規模な調査によると、慢性的な痛みを感じている人は20~69歳人口の26.4%にも及び、なんと、そのうち4人に1人は、神経障害性疼痛の疑いがある。

 整形外科などに通っても痛みがとれず、治療をあきらめた人が57.9%。約6割もの人が痛みを我慢していることがわかった(2010年『わが国における慢性疼痛および神経障害性疼痛に関する大規模実態調査』より)。

「痛みには種類があります。頭痛や腹痛、打撲、ケガなど、いわゆる炎症による痛みのほかに、“神経障害性疼痛”という神経に原因がある痛みがあるんです」

 と話すのは、痛みの治療に詳しい日本大学医学部・加藤実医師。

「歯痛や打撲、切り傷などは、重くズシーンとした痛み方をしますが、神経障害性疼痛の場合は、強いしびれ、電気が走る、焼けるように痛い、ピリッとくるなど、鋭い痛みを訴える人が多いです。一方で、感覚が鈍くなって痛みを感じないという症状の人もいます。

 患部を見ても、赤くもなっていないし、腫れてもいない。熱も持っていない。にもかかわらず、鋭く痛む。こういった症状も神経障害性疼痛の場合、湿布や鎮痛剤などのいわゆる痛み止めが効かないケースが多いんです」(加藤医師)。

 前述の調査では、整形外科を受診しても改善せず、マッサージや整体に通って一時的にしのいでいる人も多いという結果が出ている。

「最近では『リリカ』という薬を処方することが多くなってきています。これは、日本で初めて認可された神経障害性疼痛の治療薬で、保険が適用されます。

 人が痛みを感じるとき、痛みを伝える神経伝達物質が放出され、これが脳に伝わって”痛み”として認識されます。神経障害性疼痛の原因のひとつとして、この伝達物質の出過ぎがあることがわかってきました。『リリカ』は、痛みの信号が出過ぎないように抑え込む働きをします」(加藤医師)。

 神経による痛みは、原因が特定されにくいため、どのクリニックに行けばいいのか分からない人も多いのが現状だ。

「神経障害性疼痛の原因となる病気の中でも、代表的なのは帯状疱疹後神経痛です。そのほかにも、糖尿病によるものや坐骨神経痛などさまざまな原因が考えられます。痛みが腰や首、膝などに出るなら整形外科、疱疹などを伴う場合は皮膚科を受診してみてください。

 特に中高年の男性は、自分にしかわからない、言ってもしょうがない、みんなそんなもの、と思っている人が多いのですが、痛みの症状を積極的に伝えることが緩和の第一歩。『腰に針で刺すような痛みがある』『首すじがピーンと電気が走るように痛む』など、痛みが出ている部分はもちろん、どのように痛むのか、その痛み方を具体的に伝え、正しい薬を選ぶことが大切。

 痛みがあると、歩くのが億劫になるので運動不足になり、体力が落ちてさらに痛みがひどくなると言う悪循環に。痛みが続く場合は、早めの受診がおすすめです」(加藤医師)。

 最後に、神経障害性疼痛か自己診断の手助けになるセルフチェックを紹介しよう。以下の項目に該当するものがある場合は、早めに治療を始め、痛みのない快適な生活を送ろう。

■針で刺されるような痛みがある
■電気が走るような痛みがある
■焼けるようなヒリヒリする痛みがある
■しびれの強い痛みがある
■衣類がこすれたり、冷風に当たったりするだけで痛みが走る
■痛みの部位の感覚が低下したり、過敏になっていたりする
■痛みの部位の皮膚がむくむ、赤や紫に変色する

関連キーワード

関連記事

トピックス

「木下MAOクラブ」で体験レッスンで指導した浅田
村上佳菜子との確執報道はどこ吹く風…浅田真央がMAOリンクで見せた「満面の笑み」と「指導者としての手応え」 体験レッスンは子どもからも保護者からも大好評
NEWSポストセブン
石破首相と妻・佳子夫人(EPA=時事)
石破首相夫人の外交ファッションが“女子大生ワンピ”からアップデート 専門家は「華やかさ以前に“上品さ”と“TPOに合わせた格式”が必要」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ノックでも観客を沸かせた長嶋茂雄氏(写真/AFLO)
《巨人V9の真実》王貞治氏、広岡達朗氏、堀内恒夫氏ら元同僚が証言する“長嶋茂雄の勇姿”「チームの叱られ役だった」
週刊ポスト
中村芝翫の実家で、「別れた」はずのAさんの「誕生日会」が今年も開催された
「夜更けまで嬌声が…」中村芝翫、「別れた」愛人Aさんと“実家で誕生日パーティー”を開催…三田寛子をハラハラさせる「またくっついた疑惑」の実情
NEWSポストセブン
現場となったマンホール
【埼玉マンホール転落事故】「どこに怒りを…」遺族の涙 八潮陥没事故を受けて国が自治体に緊急調査を要請、その点検作業中に発生 防護マスク・安全帯は使用せず
女性セブン
ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
安倍昭恵夫人に「出馬待望論」が浮上するワケ 背景にある地元・山口と国政での「旧安倍派」の苦境
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《秘話》遠野なぎこさんの自宅に届いていた「たくさんのファンレター」元所属事務所の関係者はその光景に胸を痛め…45年の生涯を貫いた“信念”
週刊ポスト
政府備蓄米で作ったおにぎりを試食する江藤拓農林水産相(時事通信フォト)
《進次郎氏のほうが不評だった》江藤前農水相の地元で自民大敗の“本当の元凶”「小泉進次郎さんに比べたら、江藤さんの『コメ買ったことない』失言なんてかわいいもん」
週刊ポスト
川崎、阿部、浅井、小林
女子ゴルフ「トリプルボギー不倫」に重大新局面 浅井咲希がレギュラーツアーに今季初出場で懸念される“ニアミス” 前年優勝者・川崎春花の出場判断にも注目集まる
NEWSポストセブン
6年ぶりに須崎御用邸を訪問された天皇ご一家(2025年8月、静岡県・下田市。撮影/JMPA)
天皇皇后両陛下と愛子さま、爽やかコーデの23年 6年ぶりの須崎御用邸はブルー&ホワイトの装い ご静養先の駅でのお姿から愛子さまのご成長をたどる 
女性セブン
「最高の総理」ランキング1位に選ばれた吉田茂氏(時事通信フォト)
《戦後80年》政治家・官僚・評論家が選ぶ「最高の総理」「最低の総理」ランキング 圧倒的に評価が高かったのは吉田茂氏、2位は田中角栄氏
週刊ポスト
スーパー「ライフ」製品が回収の騒動に発展(左は「ライフ」ホームページより、みぎはSNSより)
《全店舗で販売中止》「カビだらけで絶句…」スーパー「ライフ」自社ブランドのレトルトご飯「開封動画」が物議、本社が回答「念のため当該商品の販売を中止し、撤去いたしました」
NEWSポストセブン