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ボーイングB787運航停止 エアバス社にとって日本進出の好機

 さる3月28日、安倍晋三首相に超大物の来客があった。米ボーイング社と世界の空を二分する欧州の航空機最大手・エアバス社のファブリス・ブレジエCEOだ。ブレジエ氏は日・EUビジネス・ラウンドテーブルの次期会長(EU側)就任が決まっており、文字通りEUの経済界代表でもある。

 この重要な会談に外務省幹部は誰も立ち会わず、安倍首相の傍らには通訳が同席しただけだった。

「タイミングから考えてもエアバスの売り込みと見て間違いないだろう。航空機の選定は国策に直結するから、政府の意向が大きく影響する。ブレジエ氏はB787の事故を商機と見て、ボーイングが事実上独占している日本の空に風穴をあけようとやってきたんでしょう」(自民党運輸族議員)

 折しも鳴り物入りで導入された日米共同開発の新型機B787が今年1月に発火事故を起こし、現在、日米両政府による調査中ですべての運航が中止されている。運輸安全委員会の報告書(3月27日発表)によると、〈現時点では、根本的な原因の解明には至っていない〉と、いつ運航再開できるかの見通しも立っていない状況だ。

 B787は1機約250億円。全日本空輸(ANA)がローンチカスタマー(*注)として66機を契約し、すでに17機が納入されている。日本航空(JAL)も55機を契約(7機納入)しており、合わせると機体だけでざっと3兆円の取引だ。保守部品を合わせると調達額はその2倍以上になると見られている。

 それが事故によって両社ともに運航数の削減を余儀なくされており、このまま原因究明と対策が長引いてB787が飛ばせなければ、航空機が足りなくなる。

 エアバス社にとっては絶好のチャンスなのだ。ブレジエCEOの官邸訪問は、日経新聞が〈日本航空は欧州のエアバス製大型旅客機「A350」を購入するための本格的な検討に入った。2017年以降に20機程度導入し、現行の大型機ボーイング777型機の後継機として欧米路線に就航させる計画だ〉(3月24日付)と報じた直後のタイミングだった。

「A350」はエアバスがB787に対抗して開発している新型機で、今年中の運航開始が予定されている。1機約200億円、20機なら4000億円の大型商談になる。

 安倍首相とブレジエCEOとの会談は日本の空の景色を変える「欧州からの黒船」になるかもしれない。

【*注】航空機メーカーに対し、新たな飛行機の製造開発に踏み切らせるだけの十分な規模の注文を行なって、その新型製造計画を立ち上げる後ろ盾となる顧客。

※週刊ポスト2013年4月26日号

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