ビジネス

酒々井アウトレット開業 成田空港の外国人を呼び込む仕掛け

敷地面積約19万7000平方メートルの酒々井アウトレット

 ゴールデンウイーク(GW)間近。少し郊外まで羽を伸ばしてアウトレットモールで買い物の予定を立てている人も多かろう。いまや全国に40近くあるアウトレットモールの売り上げ規模は、年間6000億円をはるかに超える。

 そして、4月19日――。大型施設がまたひとつお目見えする。千葉県・酒々井町の「酒々井プレミアム・アウトレット」(三菱地所・サイモン)だ。御殿場(静岡)を先駆けに、佐野(栃木)、あみ(茨城)など次々とアウトレットモールを展開してきた同社。酒々井は9番目にあたる。

 酒々井アウトレットの特徴は、なんといっても立地の良さにある。成田空港から車で約10分、東関東自動車道にアウトレットインターチェンジともいえる「酒々井IC」も開通した。ずばりメインターゲットは外国人観光客である。流通コンサルタントの月泉博氏がいう。

「成田は日本の玄関口。特に外国人観光客にとっては、一刻も早く東京に移動したい場所ではあるけれど、東京に行ってもないような面白い店が空港近くに集まっていれば、かなりのインパクトになるのは間違いありません」

 空港や周辺ホテルと連携したシャトルバスの運行、世界7種類の外貨両替所(京葉銀行)設置、スーツケースなど大型荷物の預かりサービス、外国人を対象にした公衆無線LANの無料提供、「セイコー」「シチズン」「サマンサタバサ」など外国人に人気の日本ブランド配置……どれを取ってもインバウンド(外国人旅行者を自国へ誘致すること)狙いであることは明らかだ。

 同モール支配人の南昌孝氏は、「年間350万人を想定している来店客の2~3%が海外からの観光客」と見ているが、想定外の上積み期待もにじませる。

 そして、前出の月泉氏は121店舗がひしめくテナントの中でも、飲食・フードコートの充実ぶりが、近年のアウトレットモールの特色だと話す。

「日本にアウトレットができたばかりの頃は『来た人も腹が減るだろうから』と必要に迫られて作ったフードコートですが、最近は買い物と同じく飲食自体を来店動機の魅力にしてしまおうと、さまざまな店を戦略的に誘致しています。いってみれば、何も買わない客に対しても時間消費性を高めようという考え方です」

 確かに酒々井でも、他のアウトレットでは味わえない飲食店が数多い。以下、担当者のコメントとともに紹介する。

●成田ゆめ牧場(食品・ソフトクリーム)
「成田で歴史ある観光牧場。新鮮な牛乳を使ったアイスクリームは絶品。施設内には『コールド・ストーン・クリーマリー』さんも入っていますが、負けないよう頑張ります」
●ギャレット ポップコーン ショップス(ポップコーン)
「2月1日にオープンした原宿1号店は行列ができるほど好評。2号店となるアウトレット内では、ファミリー層向けに原宿では売っていない大型サイズも用意しています」
●和洋食堂 山下晴三郎商店(和洋食)
「人気のカップケーキをはじめ、コロッケやオムレツなど洋食も提供します。イスラム教徒の外国人の方々のために、豚肉を使わないメニューもあります」
●どうとんぼり神座(ラーメン)
「大阪・道頓堀からスタートした店は酒々井で25店目。アウトレット限定ラーメンには千葉県産のモヤシやチャーシューの端材を使用したそぼろがのっています」
●蒼龍唐玉堂(中華)
「運営は『紅虎餃子房』など全国で約300店の飲食を経営する際コーポレーション。中国では当たり前の『汁なし坦々麺』や酒々井限定の『ピーナッツ味噌らーめん』もあります」

 ファッション、雑貨、飲食など数々の注目テナントを配して、「成田の旅行客だけでなく、車で60分圏内にある東京都心部のお客さんにも来てもらいたい」(前出の南支配人)と意気込む三菱地所陣営。年間の売り上げ見込みは約180億円だという。だが、今後アウトレットモール業態に吹く風は、いつまでも順風満帆とは言い難い面もある。

「日本のアウトレットは三菱地所と三井不動産(三井アウトレットパーク)の2強が切磋琢磨してきたおかげで、本家アメリカより完成度の高いモールとなっていますが、これから他社と重ならない商圏で新規開発する立地はほとんど残っていません。となると、今後は既存施設のリニューアルで勝負するしかありません。また、近隣にあるイオンなど大型ショッピングセンターとの戦いも一層激しくなるでしょう」(月泉氏)

 酒々井も「もちろん先々の増床・リニューアルは考えている」(南支配人)と虎視眈々。アウトレットモールの将来を占う意味でも、GWの客足はその試金石となろう。

関連キーワード

トピックス

レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
《訃報》「生きづらさ感じる人に寄り添う」遠野なぎこさんが逝去、フリー転向で語っていた“病のリアルを伝えたい”真摯な思い
NEWSポストセブン
なぜ蓮舫氏は東京から再出馬しなかったのか
蓮舫氏の参院選「比例」出馬の背景に“女の戦い”か 東京選挙区・立民の塩村文夏氏は「お世話になっている。蓮舫さんに返ってきてほしい」
NEWSポストセブン
泉房穂氏(左)が「潜水艦作戦」をするのは立花孝志候補を避けるため?
参院選・泉房穂氏が異例の「潜水艦作戦」 NHK党・立花孝志氏の批判かわす狙い? 陣営スタッフは「違います」と回答「予定は事務所も完全に把握していない」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《真美子さんの艶やかな黒髪》レッドカーペット直前にヘアサロンで見せていた「モデルとしての表情」鏡を真剣に見つめて…【大谷翔平と手を繋いで登壇】
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と浜辺美波のアツアツデート現場》「安く見積もっても5万円」「食べログ予約もできる」高級鉄板焼き屋で“丸ごと貸し切りディナー”
NEWSポストセブン
誕生日を迎えた大谷翔平と子連れ観戦する真美子夫人(写真左/AFLO、写真右/時事通信フォト)
《家族の応援が何よりのプレゼント》大谷翔平のバースデー登板を真美子夫人が子連れ観戦、試合後は即帰宅せず球場で家族水入らずの時間を満喫
女性セブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と全身黒のリンクコーデデート》浜辺美波、プライベートで見せていた“ダル着私服のギャップ”「2万7500円のジャージ風ジャケット、足元はリカバリーサンダル」
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落の原因は》「なぜスイッチをオフにした?」調査報告書で明かされた事故直前の“パイロットの会話”と機長が抱えていた“精神衛生上の問題”【260名が死亡】
NEWSポストセブン
亡くなった三浦春馬さんと「みたままつり」の提灯
《三浦春馬が今年も靖国に》『永遠の0』から続く縁…“春友”が灯す数多くの提灯と広がる思い「生きた証を風化させない」
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《タクシーで自宅マンションへ》永瀬廉と浜辺美波“ノーマスク”で見えた信頼感「追いかけたい」「知性を感じたい」…合致する恋愛観
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン