ビジネス

「株高バス」 もう間に合わぬと思う人は再考を、円高想定企業も

 ついに日経平均株価が5年4か月ぶりに1万5000円の大台を突破した。アベノミクスがあまりにうまくいきすぎて、「今からじゃもう間に合わないでしょ」と今後の投資に懐疑的な人は多いだろう。しかし、止まらない円安が利益増に結びつく企業を見分ければ、株価爆騰銘柄を掴むことは可能なのだ。

 これだけ株価が上昇してくると「乗り遅れた」と感じる人も少なくないかもしれない。だが、アベノミクスの「株高バス」にはまだまだ間に合う公算が高い。

 すでに2013年3月期決算では好業績企業が続出しているが、今期(2014年3月期)、より大きな飛躍が期待できる企業はまだある。とりわけ円安メリットを享受できる企業は、さらなる円安の進行が追い風となるのは必至の情勢だ。

 では、どんな企業が円安の後押しを受けやすいのか。簡単に見分ける指標は、「想定為替レート」にある。

 これは各企業が業績の見通しや事業計画を決める際に前提として設定するレートで、決算発表の際に開示されることが多い。主な企業の想定為替レートを次頁の別表にまとめたが、現時点ですでに1ドル=100円を超えているというのに、1ドル=90円台で想定している企業ばかりが目につく。業種別では、90円のトヨタ自動車をはじめ自動車業界は90円台がほとんど。東芝やNECなどの電機業界でも90円が目立ち、パナソニックに至っては85円とさらに円高水準で想定している。

 当然、今後も想定為替レート以上の円安が続けば、その分だけ円建ての利益が膨らむため、業績を押し上げる要因につながる。カブ知恵代表の藤井英敏氏が解説する。

「たとえ海外拠点のドル建ての売り上げが予想通りでも、決算で円に転換した時に円安が進んでいれば、円ベースでの売り上げが増える。また、海外事業のドルベースでの価格が円安によって相対的に下がるため、価格競争力も高まる。その両面で恩恵を受けるため、業績の上方修正期待が高まるわけです」

 円高想定の企業の株価はすでに割高になっているのではないかと思うかもしれないが、円安の進展度合いはまだ株価には十分織り込まれておらず、割安な水準の銘柄も少なくないという。

 そうなると想定為替レートがより円高、すなわち低ければ低いほど業績の押し上げ効果が期待できるのだが、一部に例外があるので注意が必要だ。

 1ドル=85円に設定しているパナソニックでは「中期経営計画の前提とした2012年度の平均レートの水準をそのまま使っていますが、そもそも当社では為替変動に左右されないような経営体質への転換を図っているため、円安が進んでも影響はさほど大きくない」(広報グループ)と説明。

※週刊ポスト2013年5月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
沢口靖子
《新たな刑事モノ挑戦も「合ってない」の声も》沢口靖子、主演するフジ月9『絶対零度』が苦戦している理由と新たな”持ち味”への期待 俳優として『科捜研の女』“その後”はどうなる?  
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
家族が失踪した時、残された側の思いとは(イメージ)
「お父さんが死んじゃった」家族が失踪…その時“残された側”にできることとは「捜索願を出しても、警察はなにもしてくれない」《年間の行方不明者は約9万人》
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン