アメリカには戦争を商売のタネにする勢力がある。第二次世界大戦以来、彼らは戦争とは儲かるものだと味をしめてしまった。しかし、ケネディは全く違う考えだった。常にグローバルな平和を説き、それを実行に移した。そしてソ連とのデタント(緊張緩和)に成功した。
ケネディは彼ら戦争を望むエスタブリッシュメントにとって天敵と映った。両者はその世界観、ヴィジョンに圧倒的なギャップがあった。戦争のチャンスを失った彼らは最後の市場としてヴェトナムをターゲットに定め、毎日のように正規軍を投入するようケネディに迫った。しかし、ケネディは応じなかった。当時ヴェトナムに送り込んでいた軍事顧問さえ引き揚げることを発表。暗殺1か月前の1963年10月だった。
ケネディが暗殺され、後継大統領・ジョンソンのもとでヴェトナム戦争は本格化し、何十万という正規兵が送り込まれ、アメリカは出口戦略のない泥沼へと引きずり込まれていった。
巨大な既得権勢力が牙を剥くと何が起きるのか、ケネディの死から我々が学ぶべきことは多い。
※週刊ポスト2013年11月29日号