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初期費用や手数料安く急速に米で拡大のモバイル決済サービス

 成長する企業は新しい生態系を形成するという持論のとおり、グーグルやアマゾンなどの新興企業の成長ぶりを検証してきた大前研一氏が、いま注目すべき新興企業のひとつ、アメリカ最大のモバイル決済サービス「スクエア」社について解説する。

 * * *
 注目すべき新種の生態系を形成しつつある企業が、2009年に設立されたアメリカ最大のモバイル決済サービス「スクエア」社だ。同社はスマートフォンやタブレット端末でクレジットカード決済ができるサービスを提供している。

 その仕組みは簡単だ。コンビニエンスストアの「ローソン」などで販売している切手大のクレジットカード読み取り装置「スクエア・リーダー」(980円)をスマホやタブレット端末のイヤホン端子に差し込んで無料アプリ「スクエア・レジ」をダウンロードすれば、スマホやタブレット端末をPOS(販売時点情報管理)レジとして使用してクレジットカード決済を行なうことが可能になる。つまり“モバイルPOS”である。

 店舗側がクレジットカード会社に支払う手数料は、既存のカード決済が1回の取引につき5~7%であるのに対し、スクエアは事業規模にかかわらず3.25%と安い。このため、これまで初期費用や手数料の高さからカード決済に二の足を踏んでいた個人店やパパママストアのような小規模店でも容易に導入できる。

 すでに北米では、個人店から企業まで420万以上の加盟店がスクエアを導入し、年間の推定取扱高は150億ドル(約1兆4700億円)に達している。日本では、ユニクロが大手小売りチェーンとしては国内で初めて、サービス向上と繁忙期のレジ待ち時間緩和を図るため、この10月から導入を開始している。

 さらにスクエアは、店頭決済ではなく、あらかじめ登録しておいた顔写真を店員が確認してクレジットカードで決済する「スクエア・ウォレット」などの新たなサービスも展開している。

 日本の場合、モバイル決済サービスには、スクエアのほか米ペイパル、楽天、ベンチャー企業のコイニーなどが参入しており、このスクエアを中心とした新しい生態系はこれからクラウドとの組み合わせで急速に拡大して既存のPOSシステムに取って代わる可能性も出てきている。

※週刊ポスト2013年11月29日号

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