芸能

視聴率1%=100万人説 総世帯視聴率の低下で定説に疑問も

 今年はドラマの『半沢直樹』(TBS系)や『あまちゃん』(NHK)のような大ヒット番組が生まれたが、総じていえば日本人がテレビを見なくなったことは明白だ。
 
  実際、テレビ番組全体がどれくらい見られているのかの指標となる「総世帯視聴率」(HUT)も、ゴールデンの時間帯で1997年の71.2%から63.5%まで大きく下がり、かつていわれた「視聴率1%=100万人」という時代ではなくなった。上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)が語る。

「今、視聴率1%が何人になるか、数字を挙げるのは難しいですが、視聴率1%で100万人に見られているというのは、統計学上はともかく、実態とズレている可能性は高い。いわば、業界で物事がうまく回っていくためのひとつの“物語”のようなものだったのかもしれません」

 こうなると、CM枠を売らなくてはいけないテレビ局の立場としては厳しい。

「業界では数年に1度、CM価格の『改定』が行なわれますが、実は『改定』で単価が下がったことはこれまで一度もないんです。つまり表向き、視聴率がこれだけ落ち込んでいても、CM料金は下がっていないことになっている。

 しかし、もちろんこれだけ視聴率が下がれば、企業も同じ条件で同じ額を払うわけがないですから、テレビ局側はあの手この手で、CM枠を売る努力をしているんです」(広告代理店関係者)
 
 つまり、その“営業努力”のたまものが、裏で料金を大幅値下げしたり、他の番組を買ってくれたオマケにしたりといった “バーゲンセール”につながっているというわけだ。また、視聴率が当初の予定を大幅に下回るケースも増え、無料で別の番組のCM枠を提供する“補償制度”もフル回転しているという。

 しかし、大手企業の宣伝部には未だに強いテレビ信仰がある。

「低視聴率に不満を抱いてはいても、やはり“マスに向けた情報発信力”、つまり宣伝効果という点では、テレビはまだ頭ひとつ抜けている。そうはいってもこれだけ視聴率が悪化しているといわれているのに、広告戦略の中核にテレビを置かざるを得ないというのは、スポンサーにとってジレンマに近い。このままの状況が続けば、さすがに企業のテレビ離れも進むことになる」(前出・広告代理店関係者)

 テレビは視聴者だけでなく、無料視聴を支える企業にも見離されようとしている。

※週刊ポスト2013年12月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン