国内

原発「リスクとコストは国民もち。再稼働は反対」と専門家

 脱原発の敗北――舛添要一氏(65才)の圧勝で幕を閉じた東京都知事選挙は、そう受け止められている。

 開票日翌日、それまで原発再稼働に関する発言を避けていた安倍晋三首相(59才)が衆院予算委員会でこう語った。

「新たなエネルギー基本計画を踏まえ、再生可能エネルギーの導入状況や原発再稼働の状況を見極め、できるだけ早くベストミックス(火力・水力・原子力など、各電源を最適なバランスで組み合わせること)の目標を設定する」

 これは事実上、原発の再稼働に向けた号砲なのだという。いったいどういうことなのか。民主党参院議員で、元内閣官房副長官の福山哲郎氏(52才)が言う。

「再生可能エネルギーの導入状況についてわざわざ言及したのは、要するに充分に導入されていない、だから原発を重要な電源として活用しなければならないという論法です。

 しかしそれは間違いです。再生可能エネルギーの導入を支援する仕組みを整えれば、それが広がっていくのは、ぼくらが政権にいた時に実証済み。きっちり予算をつけて普及を進め、技術革新を促進していけば、日本の技術力からいって、脱原発の実現は可能なのです。

 ところが、残念ながら安倍政権は、ともすれば原発を再稼働したいと考えているため、対応が後手に回っているのです」

 安倍首相が語った “原発再稼働の状況”については、福山氏はこう批判する。

「都知事選の結果を受けて、再稼働に向けた状況が整ったと言いたいのでしょうが、それは選挙結果をあまりにも自分たちの都合のいいように解釈しています。

 勝った舛添さんも原発を減らしたいと主張していたのですから、むしろ都民のメッセージは、脱原発に向けて現実的な対応をしてくださいということだと考えるのが自然でしょう」

 現在、全国にある54基(うち福島第一原発の1~6号機は廃炉が決定)すべての原発は運転をストップしている。それで特に大規模な停電などが起きていないにもかかわらず、安倍首相が原発を急いで再稼働させようとするのはなぜか。

 立命館大学国際関係学部の大島堅一教授(環境経済論)が言う。

「安倍首相は、原発のエネルギーコストが安いと考えているようですが、それは大嘘。事故のリスクを考えれば、コストは高く、しかもどれだけかかるか、計算できません。現に今、事故の損害賠償費用や収束費用が捻出できなくなっています。

 その結果、何をしているかと言えば、すべて国民に負担を押しつけている。いわば、リスクとコストはすべて国民持ち。再稼働に反対するのは当たり前ですよ」

 にもかかわらず安倍政権は、再稼働へと大きく舵を切ろうとしている。

※女性セブン2014年3月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
ジャンボな夢を叶えた西郷真央(時事通信フォト)
【米メジャー大会制覇】女子ゴルフ・西郷真央“イップス”に苦しんだ絶不調期を救った「師匠・ジャンボ尾崎の言葉」
週刊ポスト
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン