昨年12月の生鮮食料品を除く消費者物価指数は前年同月比で1.3%上昇しているように、日本経済はすでにデフレを脱却しています。しかも、4月からは、これに消費増税の影響が加わるので、2014年度は4%程度の高い物価上昇が予想されます。
ところが、サラリーマンの賃金はほとんど上がらないと見られます。前述の毎日新聞のアンケート結果では、賃上げを「検討する」とした企業は12%に過ぎず、ベースアップを考えていると答えた企業は123社中たった2社。このように企業はベースアップについて、極めて慎重な見方をしている。経団連はベースアップ容認を表明していますが、実際にベースアップを行なう企業は一部の大手に限られるはずです。
私は、賃金上昇率は平均0.5%を下回る渋いものになると見ています。物価が4%上がるのに賃金が0.5%しか上がらなかったら、実質所得は3.5%下落することになるのです。
現役世代の収入が増えないだけではありません。年金生活者の年金支給額は、すでに昨年10月から1%減額されましたが、今年4月からさらに0.7%減額されます。日本のGDP(国内総生産)の6割以上を民間消費が占めています。現役世代の賃金はほとんど上がらず、高齢者の年金は削られる中で、民間消費は間違いなく落ちるはずです。それなのに、どうしてGDPが伸びるのか、そんなことはありえないと私は思います。
※マネーポスト2014年春号